〒669-3601 丹波市氷上町成松140-7

里山の郷愁あふれる風景のなかいただく、店主の夢が詰まった十割蕎麦

大名草庵

2008年(平成20)に創業、丹波市青垣町大名草にある「大名草庵(おなざあん)」。ここの蕎麦の特徴は「厳選した蕎麦粉で・加古川の源流水を使い・十割で打つ」ということ。十割蕎麦には職人の個性が出るといわれますが、大名草庵が目指すのは普通の蕎麦のようにツルツル食べられる十割蕎麦。「この蕎麦のためにまたここに来たい」と思えるような蕎麦を提供し続けています。

ひときわ目を引く黄色いのれん

店主自らの舌で厳選した、季節の味を感じる蕎麦粉

店主の西岡芳和さん

蕎麦には夏蕎麦と秋蕎麦があるのをご存知でしょうか。夏蕎麦は、春に植えて夏に収穫したもので、青味がかった香りがし、あっさりした味がします。秋蕎麦は10月末〜11月中旬くらいに収穫したもので、香り高くコク深い味がします。

季節に応じて味わえる夏蕎麦、秋蕎麦は、いずれも店主自らの舌で厳選した蕎麦粉を使っています。「毎年同じ産地にこだわらず、舌で味わって一番美味しいと感じる蕎麦粉を使用しています」という店主の言葉から、妥協なしの姿勢が感じられます。

 

塩で食べたい!蕎麦の香りがふわっと香る口当たりなめらかな十割蕎麦

「盛りそば」 1,000円

 

初めに頂いたのはシンプルな「盛りそば」です。薬味と塩、だしが添えられ「まずは塩で召し上がってください」と奥様。塩も店主が厳選したもので、塩自体に甘みがあります。蕎麦はとても香り高く、塩でいただくと、蕎麦そのものの味と香りが口いっぱいに広がります。塩で一皿食べる人がいるというのも納得です!

 

細めの蕎麦にはコシがあり、ツルッとしたなめらかさが感じられます。十割でこの喉越しは珍しいのではないでしょうか。だしは深みのある醤油が効いて、後味にカツオがふわっと香ります。だしに蕎麦をつけると喉越しがさらにアップ。だしの香りと蕎麦の香りがマッチしています。

 

辛味大根ののった「おろしそば」 1,300円

 

続いて、辛味大根ののった「おろしそば」。辛味大根の凝縮した辛味が後を引き、刺激的な味が楽しめる大人な味。おろしに使用しているのは店主の自家栽培の大根です。

 

甘みの効いただしで食べる「かも汁そば」や、肉厚ジューシーな絶品鯖ずし!

かも汁は机の上で更に温めていただく 「かも汁そば」1,600円

鴨だしがきいている「かも汁そば」は、甘みがしっかりあり、お蕎麦の柔らかさを感じます。鴨の風味と食感でボリュームアップ、冬に食べたいほっこりしたお味です。

「さば寿し」 2貫500円

大名草庵の「さば寿し」は肉厚ジューシー。さば特有の臭みがなく、中に挟まっているガリの甘い酸味がいいアクセントになっています。さばの脂身と蕎麦の組み合わせも好相性です。

濃厚な蕎麦湯

最後にいただいた蕎麦湯は、甘酒を連想するほどの濃厚さとトロミで深い味わい。お蕎麦をたくさんいただいたのに、コクのある味に蕎麦湯もついついお代わりしてしまいました。

<テイクアウトメニューでもさば寿司が人気。 十割蕎麦は店舗限定、お持ち帰り用は家庭のお鍋でも茹でやすい二八蕎麦をご提供。/span>

 

念願の蕎麦屋開業、ハーレーダビッドソンがつないだ縁とおいしさの秘密

右は奥様の順子さん。仲睦まじい雰囲気が素敵なご夫婦

開業前は、大阪・兵庫のスーパーに勤め、食品部門を中心に、水産関係のバイヤーなども経験していたという店主。定年後に「田舎暮らしがしたい」と丹波への移住を検討中、現在の物件に出会います。周りの里山の景色、茅葺屋根、きれいな川に惹かれ、何度か通ううちに購入を決断、改装の上開業に至りました。

座敷席。店主自ら棚や壁を塗ったりもした

 

オープンと同時にテレビ番組「人生の楽園」に取り上げられ注目された大名草庵。たちまち人気店になりましたが、初期投資などの回収のため、店主は趣味のバイク(ハーレーダビッドソン)を手放そうとします。その時、奥様は「きっと何かいい出会いにつながるから」と売却に反対されました。

 

奥様の予感は見事に的中。店主がバイクについて書いたブログを見て、週末にはバイカーが次々と来店するように。訪れるバイカーは一本気な方が多く、味について率直な意見をいただけるのもありがたかったと店主は語ります。

柔らかい光が心地よい店内

「景色も良くて美味しい蕎麦屋がある」と、大名草庵は口コミでたちまち評判になり、現在はバイカーのほか、ドライブがてらに遠方からも多くの人が訪れるリピーターの多いお店になりました。

 

「今後娘夫婦が店を継いでくれるということで、現在蕎麦は娘が全て打ってます。まだまだ修業中ですが、青垣の蕎麦を継続してほしいものです」と西岡さんは話します。

 

また、人気メニューのひとつ「さば寿し」には、サラリーマン時代にお寿司の担当をされていた経験が生かされているのだとか。「人生には無駄な事はない。その時は『嫌だな』と思っても、後の人生で必ず活きてくるのよ」と、力強く語る奥様の言葉が印象的でした。

 

美しい里山を感じる風景

取材を終えて振り返ると、少しずつ色づいた紅葉が光に照らされ、とても美しい風景が。店主も見惚れた里山の景色も楽しみに訪れたい場所です。行楽シーズンは遠方からのお客様で賑わう大名草庵。地元の人がゆっくり楽しむなら冬場がオススメです。

 

text: Seiko Tanaka

 

<注意事項>

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