ローコストでため池問題を解決!アイディア湧き出る町工場

三尾マシナリー

時間も手間もかかる作業に、「早く楽にできるような機械があればいいな」と思うことがあります。そんなとき相談できるのが丹波市春日町の町工場「三尾マシナリー」です。代表の近藤忠宏さんの頭の中にはアイディアにつながる引き出しがいっぱい。取材では、画期的に地域の課題を解決する機械も見せてもらえました。

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老朽化したため池にも活躍!エコでらくらくサイフォン式ポンプ

 

ため池は、雨水や川の水を貯えて田畑に送ることが一番の目的です。作物の種類や成長度合いによって必要なときに安定して水を供給するため、そして天候不順による農業用水不足に備えるためでもあり、田畑の多い地域にはなくてはならない存在です。

 

ところが、全国各地にあるため池の老朽化が問題になっています。老朽化したため池は保水力が低下し、洪水時に決壊などが発生する被害が懸念されているからです。ため池の機能を復元させるための改修工事はコストが高いこともあり、なかなか追いついていないのが現状です。

そこで、近藤さんは、「昔ながらの古いため池は、堤防に穴を開けて杭を栓にしています。放流のときには水中に入って杭を抜かなければならず、手間がかかる上に危険です。できるだけローコストで、水中に入ることなくため池の水を抜くことができないか」と考えました。

 

近藤さんが開発したのがこの「サイフォン式ポンプ」。水面より高い地点に水を通すため、サイフォンの原理を活用。燃料も動力も不要です。原理が適応する高低差があれば、池以外にも小川や用水路から水を取ることも可能。

 

大雨が予測されるときに予めため池の水を抜いておいたり、雨の少ない夏場の田畑に水を補給したりと、農家や水利組合が抱える課題を画期的に解決してくれます。

吐水口のレバー式バルブを開けるだけで吐水が開始される。

給水口の逆止弁

 

フロートで水に浮くよう設計された吸水口には、逆止弁がついています。吸水口が吐水口より高い位置になるようにセットすると自然と水がパイプの中にたまり、吐水口のバルブを開けることで、吸水口の逆止弁が自然と開き、バルブを閉めるまで連続的に排水します。

大がかりな工事をしなくてもため池の水を有効活用でき、災害の予防にもつながるこのサイフォン式ポンプは、「現代農業」2020年(令和2)7月号に掲載され、全国的に関心が高く問い合わせが入っています。詳細は三尾マシナリーに直接電話かメールでお問い合わせください。

昔ながらの「とうみ」の仕組みを応用!大納言小豆を傷つけない選別機

小豆選別機「大納言」

 

三尾マシナリーの開発商品でもう一つ興味深かったのがこちらの小豆選別機。丹波市春日町は「大納言小豆発祥の地」と言われ、大粒の俵型が特徴の丹波大納言小豆が多く栽培されています。小豆をさやから取り出したあと、無数の小豆を選別する作業には多くの手間と時間がかかります。

「金属製の選別機もありますが、近所の小豆農家さんから、小豆の皮が傷ついてしまったという報告を受け、先人の知恵である『とうみ』の原理を使うのが一番ではないかと思いました」

 

とうみは、手動でハンドルを回して風を起こし、実の詰まっていない軽い粒を吹き飛ばし、実の詰まった重い粒を手前に落とすという仕組みです。近藤さんが考えた小豆選別機「大納言」は、風を機械で起こすので、上部の入り口から無選別の小豆を入れるだけ。あっという間に軽い小豆と重い小豆が選別されます。

「木製なので中で小豆がぶつかっても傷つきにくい」と地域の小豆農家さんから好評の声が聞かれます。

 

課題解決の多彩な引き出しを持つ、近藤さんの想い

 

代表の近藤忠宏さんは、卒業後サラリーマン生活を送る傍らで精密金属加工技術を覚え、1988年(昭和63)に独立開業。工作機械や自動車の部品を主に製造してきました。

 

取引先は東京や大阪が中心。「都会では、部品ごとに製造工場が分かれていることが多いですが、うちは一貫製造なので、注文の意図に沿ったものを早く納品できます。具体的な注文もありますが、課題を伝えられ設計から行うものもあります」と、柔軟にアイディアを具現化してきました。

 

専門的な技術力を高める一方で、「誰でもできるノウハウを発見して広め、色んな人に使ってもらいたい」と、先述のサイフォン式ポンプも、組み立て方や仕組みを伝えることで応用できる再現性の高い作りになっています。「自分だけが儲けるのではなく、みんなで豊かになることが大事。先人の知恵もありがたくお借りしながら、5年後、10年後の世界を見据え、自分の持っている引き出しをどんどん伝えていきたい。これからも人の役に立てる仕事を突き詰めていきます」と、近藤さんは力強く語ります。

 

金属加工の技術者であり、発明家の一面もある近藤さん。「この課題を解決するような便利な機械がないかな」という時に相談することで、思わぬアイディアやヒントがもらえるかもしれません。

 

text:済木 麻子

 

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