
丹波市春日町に2026年(令和8)7月にオープンしたラーメン店「麺屋 粋(めんや すい)」は、純粋においしい一杯を追求し、鶏と醤油、あるいは貝出汁の旨味を丁寧に引き出したラーメンを提供しています。木の温もりを感じる店内で、店主のラーメンへの深い愛情とこだわりが詰まった一杯に出会えます。素材本来の味を大切にするその想いと、おいしさの秘密を伺いました。
ラーメン愛から始まった新たな挑戦

丹波市春日町、JR黒井駅から徒歩約15分、舞鶴若狭自動車道の春日ICから車で1分ほどの場所に、2026年7月、新しいラーメン店が誕生しました。その名も「麺屋 粋」。元々うどん店だった建物の良さを生かした店内は、吹き抜け上部の壁紙など和のテイストを残しながらも、新設された白木のカウンターが清々しい雰囲気を醸し出しています。

店主の清水良家さんがラーメン店を立ち上げたのは、ラーメンへの純粋な愛情が原動力でした。10代の頃から独立願望があったものの企業に勤めていた30代半ば頃。「このままでいいのか」と自問自答し、趣味だったラーメンの食べ歩きを生かして仕事にしようと決心します。会社を退職後、三田市のラーメン店で修業を始めました。当初は数年の修業を想定していましたが、実際の店舗運営を経験するうちに「独立はゴールではなくスタート。自分のやりたいラーメンに合わせてお店を作っていきたい」という思いが強くなり、大将に許可をもらってわずか1年2カ月で独立の準備を始めました。

物件探しは難航しましたが、20年ほど空き店舗だった現在の建物を見つけてからは、自ら店舗の図面を描き、知り合いの大工さんに理想の空間づくりを依頼。清水さんの思いが詰まった店舗が完成しました。

外のショーケースには、両親から開店祝いとして贈られた可愛らしいタヌキが飾られています。縁起物の招き猫とふくろうを手にしたタヌキは、「スイタヌキ」の愛称で訪れる人に愛嬌を振りまいています。
旨味を引き出す二つの看板メニュー

清水さんはラーメンを単なるひとつの料理ではなく、和食や洋食と同じような「ジャンル」として捉えています。醤油ラーメンと塩ラーメン、豚骨ラーメンはそれぞれカレーとシチューほど違う料理だという考えから、すべての人に好まれる無難な味を目指すのではなく、この味が好きな人に刺さる一杯を提供したいと語ります。その言葉通り、「麺屋 粋」の看板メニューである醤油ラーメンと塩ラーメンは、それぞれ全く異なるアプローチでスープが作られています。

鶏醤油ラーメン1,100円
鶏醤油ラーメンのスープは、大量の鶏ガラに加えて、自店で丁寧に解体した丸鶏を投入することで、複雑な旨味を抽出しています。このスープに、特徴の異なる2つの蔵元の醤油をブレンド。一つは多可町足立醸造の杉桶仕込みの醤油、もう一つはたつの市の末廣醤油の天然醸造醤油で、一般的な醤油より価格が高いのですが、理想の味を表現するために妥協はありません。

貝塩ラーメン1,200円
一方の貝塩ラーメンはアサリを主体に、昆布やカツオ、サバなど数種類の乾物を合わせて深みを出し、そこに鶏醤油ラーメン用とは別に仕込んだ鶏スープを合わせたダブルスープ。塩ダレにもたっぷりの乾物を使用し、まろやかな塩味に仕上げています。旨味調味料を使用せず、素材本来の自然な旨味を最大限に引き出す手法です。
スープに寄り添う麺と自家製具材

丹念に作られたスープに寄り添う麺と具材にも、清水さんの細やかな計算が行き届いています。ラーメン用の細麺は自家製麺で、しなやかな食感でありながらもしっかりとしたコシを残し、麺だけが主張するのではなく、スープとの一体感を何よりも重視した仕上がりになっています。

特製鶏醤油ラーメン1,400円
チャーシューは自家製の2種類がトッピングされます。一つは豚肩ロースを使用したレアチャーシュー。あっさりとしたスープの風味を脂で損なわないよう、旨味が強く程よい脂身がいいという理由です。もう一つは鶏の胸肉を使ったチャーシューで、真空パックにしてから低温調理を施し、しっとりとした食感に仕上げています。メニューにある「特製」を選ぶと、これら2種類のチャーシューが各2枚に増量され、さらに味が染み込んだ半玉子が追加されます。

レアチャーシュー丼500円
サイドメニューには、唐揚げやレアチャーシュー丼が用意されており、唐揚げ2個と中サイズのライスがセットになったお得なランチセットも人気です。平日でもランチタイムは混み合いますが、13時を過ぎると比較的スムーズに入店できそうです。一人でも家族と一緒でも、純粋においしい一杯を堪能できますよ。
<注意事項>
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