買う・体験する…青垣で生まれた丹波布の魅力を伝えるアンテナショップ

KABURA 工芸の店かぶら

JR柏原駅から徒歩5分、木の根橋へ続く道沿いにある「工芸の店 KABURA(以下、KABURA)」。丹波布の反物や小物を中心に、竹細工や和紙、陶器など工芸品を扱うお店で、『丹波布に触れ、親しみ、丹波布との暮らしを提案するお店』をコンセプトに、2018年(平成30)10月にオープンしました。

伝統ある丹波布を身近に発信する工芸のお店

丹波布は、丹波市青垣地域で織られていた、平織りの手織り布で、手紡ぎの木綿糸を縦横に用い、絹糸を「つまみ糸」として緯糸に交織にしたものです。布がふっくらとしていて、使うほどにしなやかで丈夫になるのが特徴で、手織りならではの優しさや温かみが感じられます。

 

江戸末期から明治のはじめ頃まで盛んに織られていましたが、大正時代に衰退。昭和に入り再び価値が見いだされ、現在は国指定選択無形文化財/兵庫県伝統的工芸品に指定されています。丹波布の制作は、手で紡ぐ、草木で染める、手織りする、横に絹糸を入れるという4工程を一貫して一人で行います。昔は農家の主婦の副業で、京都に出荷し副収入を得ていたそうです。

「KABURA」店内

店名の「KABURA」は、紡いだ糸が玉になった「かぶら玉」から名付けられました。物販のほか、さまざまなワークショップも用意されていて、工芸品を身近に感じることができます。

大小様々な「かぶら玉」

オープンから3年経った今も、お店や製品が好きで通う常連客や、町歩きで訪れる人などで賑わっています。

 

身近に使える、かわいい作品がたくさん

店内には、現代生活にしっくりなじむ、かわいくて素敵な製品が並びます。同じアイテムでも色や柄が違えば、印象がガラリと変わるもの。KABURAの製品はすべて手仕事で作られているので、色や柄もさまざま。ひとつとして同じものがないのも魅力です。お客様は中高年の女性が多いそうですが、丹波布の味わいに惹かれた高校生が遠方から訪れることもあるとか。若い感性に響くものも、たくさん揃っています。

売れ筋はポーチや財布、ミニバッグなどの小物で、すぐ使いたくなるものばかり。オーダーメイドにも対応しているので、自分好みのものを作ってもらえます。実際手に取って、風合いや感触を確かめながら品定めをしたり、時にはお店の方に相談したり。お店の方と距離が近いのもKABURAの特徴。じっくり悩んで、お気に入りを見つけてください。

 

ワークショップで、より工芸品に親しめる

糸紡ぎワークショップの様子

 

ワークショップも店内で体験できます(一部工程を除く)。予約なしで体験できるコースター作り(1時間程度・1,000円)やブックカバー作り(1時間半程度・3,000円)は、気軽にできると人気があります。また、糸紡ぎや染色、はたおりといった本格的な体験もできます。

希望すれば自分で紡いだ糸を染色し、手織りをすることが可能で、唯一無二な「自分だけの作品」を作ることもできます。

丹波布に親しんで欲しくてお店を開業

イラズムス千尋さん

KABURAを立ち上げたのは、染織家のイラズムス千尋さん(以下、千尋さん)を代表とした丹波布技術認定者5名。開業当初、物販は行わず、丹波布技術保存会技術者協会の事務所を作る予定でしたが「丹波布を扱うお店があってもよいなぁ」との思いが強まり、現在の形になったそうです。

お店は「技術認定者」5名(現在は4名)で運営しています。「技術認定者」とは、丹波布伝承館で2年間に渡り、紡ぐ・染める・織るという、丹波布の全工程について学び、技術が認められた人のことを指します。メンバーは、主婦業や仕事をこなしながら制作活動を行う人ばかりで、生活に寄り添いながら、お店や丹波布に向き合っています。

機織りワークショップ用の機織り機

 

千尋さんは、陶芸家のご主人が丹波市で独立するにあたり、岡山から家族で移住してきました。岡山在住時にウールの糸紡ぎと染織に出会い、布作りの楽しさに目覚めたという千尋さん。木綿のことを深く知りたいと思っていたところに、丹波布に出会い、これは運命!と思い、丹波布伝承館で勉強をはじめたそうです。

 

「最初から最後まで全て自分で作業をするので、おかしなことがあっても誰のせいにもできない。それが潔くていいと思う」。丹波布の魅力についてお聞きすると、このような答えが返ってきました。また「自分の生活をしながら、ものづくりをしていく布という部分にも共感できる」とも。自分の状況や思いが、布に反映されるのがおもしろいのだそうです。

 

よりよいものを作って、丹波布の魅力を伝えたい

これからの展望を尋ねると「3年を経てペースがつかめ落ち着いてきたので、お店の中だけでなく、イベントなど外での活動もしたいです」とのこと。「でも一番大事なのは、良い布をつくり、良い製品を作り出すこと。その思いはこれからも変わらずに活動します」と力強く語る姿が印象的でした。

 

主婦の手で作られ、生活に寄り添ってきた丹波布。明治から令和に時代が変わりAI化が進んでも、人にしか作れないぬくもりのある風合いで、生活に彩りを与えてほしいと思います。

<注意事項>

  • 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、店内でのマスク着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンス等に配慮しています。ご協力をお願いいたします。
  • 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

 

<ワークショップ情報>

 

【コースターづくり】

時間:10:30~または13:00~ 1時間程度

基本料金:1,000円(材料費込)

 

【ブックカバーづくり】

時間:10:30~または13:30~ 1時間半程度

基本料金:3,000円(材料費込)

 

【糸紡ぎ体験】

時間:10:30~12:30または13:00~15:30

基本料金:2,500円(材料費込)

 

【染色体験】

時間:13:00~(糸染め希望の場合は12:30~

基本料金:2,000円(手ぬぐい一本分。糸染め糸持参の場合は100gまで)

(染織体験のみ、場所が「柏原古市場公民館」になります)

 

【機織り体験】

時間:10:00~15:00 のうち2時間まで

基本料金:2,800円(20cm×20cm)