丹波の食材にほれ込んで移住して、古民家の洋食店をオープン

洋食鉄板料理 ピエトラグランデ

丹波市南部の山南町に「洋風鉄板料理 ピエトラグランデ」が2021年(令和3)3月にオープンしました。農薬不使用の丹波産の野菜や但馬牛など地元産の材料を使って洋風料理を提供しています。築約90年の古民家を改装し、広いオープンキッチンと大きな鉄板が印象的な店内。丹波の食材にほれ込んでこの地で独立開業したオーナーシェフは、食材の力を最大限に生かす調理法で新しい料理を創造しています。

大きな鉄板で食材の良さを最大限に生かす

料理に使う野菜は週3~4回ほど、丹波市内で農薬を使わず栽培する農家さんから直接仕入れています。イタリア野菜やフランス野菜など、スーパーなどでは見かけない少し珍しい野菜もリクエストしてつくってもらっているそう。オーナーシェフの大石豊和さんは、「野菜自体が美味しいので、鉄板を使い高温でそのうまみを閉じ込める調理法をとっています」と、説明します。

肉や魚介も同様に、高温で一気に火を入れて旨みを逃がしません。「ただ、焼き過ぎには細心の注意を払っています。鉄板料理は火加減がいのち。少しでも気を抜くと焼き過ぎてかたくなったりするので、鉄板に食材をのせたら一点集中です」というのがこだわりです。

25年の料理経験を総動員して独立

西脇市出身の大石さんは、大阪を中心にイタリア料理やフランス料理など洋食系レストランで25年間、料理経験を積みました。「若い時は、コンビニすらない田舎が嫌だ!と都会で店を持つことを目指していましたが、経験を積むうちに、価値観が変わってきたんです。食材にこだわり、のんびりした田舎で自分の店を持ちたいと思うようになりました」。そんなとき、丹波の食材に出会い、ほれ込んだといいます。「丹波は水も美味しいですよね。但馬牛や但馬鶏も含め、兵庫県は食材の宝庫だということに気づきました」。

独立・移住を決めてから、丹波や丹波篠山を中心に古民家物件を20件ほど見て回りました。「入った瞬間、店内のイメージがぱっと浮かんだんです。直観でしたね」。しかし、改装するためには問題点も出てきました。古民家であるがゆえ、解体する際に出る廃材処理費用の負担が大きくのしかかったのです。

そこで、使えるものは捨てずにできるだけ活用しようと、内装の一部に廃材を利用したり、自分たちでできることはやろうと、テーブルや店名の入ったロゴ看板も仲間と手づくりしました。「まだまだ手掛けていきたいこともあるんです」、という今後がとても楽しみです。

某ホテルの鉄板コーナーを担当したこともある大石さんは、「鉄板で調理すると素材の良さを最大限に引き出せるだけでなく、オーダーが複数入ったときも対応しやすいんです。つまり、オペレーション面から見ても利点が多い」と、鉄板料理を選択した理由を述べます。また、オープンキッチンなので、お客さんが呑んでいるワインの種類を見て、料理の塩の量やソースの濃さなどを微妙に調整します。「料理はライヴ。このキッチンだからこそ、それが叶うと考えています」。

いつか叶えたい“オール丹波”の料理

最近はテイクアウトの要望も多く、大きなハンバーグにデミグラスソースのかかった「但馬牛のハンバーグ弁当」(1,600円)や彩りに食欲そそる「海鮮サフランピラフ」(1,500円)など多数そろえています。また、オードブルは一人2,000円くらいからで、内容は応相談とのこと。

「イタリアンでもなくフレンチでもない。ときには和食のテイストを入れたり。国やスタイルの枠にとらわれず自由な発想で、お客さんが元気になってもらえる料理を提供していきたい」と、展望を語ります。一品メニューはこれからも増やしていく予定だそうで、「丹波にはこだわりある食の専門家がたくさんいます。ソーセージにチーズ、コーヒーなど、そういった方々とどんどんコラボしていきたい。いつか、イタリア料理でもなくフランス料理でもない、“丹波料理”ができるんじゃないかと思っています」。今後の展開に目が離せません。

※表示価格は全て税込

 

<注意事項>

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