1980年(昭和55)創業の「ステーキハウス松葉」では、黒毛和牛・国産牛のステーキをはじめ、ビフカツやハンバーグ、エビフライなどの洋食メニューも人気。とろけるような肉の旨味と甘味が愉しめ、また店内のシックな雰囲気も相まって、特別な日のディナーにもぴったりです。一つひとつの素材やソースに妥協しない、こだわりの味わいについてうかがいました。
とろけるお肉をなるべく低価格で提供
丹波市氷上町で1980年(昭和55)に創業し、以来この地でステーキハウスを運営する同店。創業当時は丹波市でステーキが食べられるお店がなかったことから、それならば丹波で最初の存在にと、40年前にオーナーの松場弘子さんがオープンしました。
最初の数年は珍しさもあって多くの人が来店し、認知度もどんどん上がっていきましたが、黒毛和牛・国産牛にこだわる同店は一般的なお店よりも高価格にならざるを得ず。経営が難しい局面もありましたが、それでもお肉の質は一切落とさず、ソースにも妥協せずに提供し続けた結果、お店のファンを少しずつ獲得。今では、京阪神からわざわざ訪れる人も多い人気のステーキハウスになりました。「焼き方やレシピは当時からほとんど変えていません。真面目に、昔からのやり方を貫き通しています」と、同店のチーフシェフ・松場時彦さんは話します。
使用する部位はヒレとロース、三角バラの3種類。
「ブランドがついてなくても全国には等級4や5のおいしいお肉がいっぱいあるので、なるべく安く提供できるように厳選して仕入れています」と時彦さん。
あらかじめカットして冷蔵庫で保管しておくのではなく、オーダーが入ってから塊肉から切り分け成形することで、肉の鮮度を維持。黒毛和牛や国産牛ならではの、とろけるような食感に焼き上がります。
2週間以上かけて作り上げるデミグラスソース
煮込めば煮込むほど旨味が出る
ステーキハウス松葉でお肉の質とともに大切にしているのが、デミグラスソースです。現在、息子の俊介さんが主にソースの仕込みを担当しています。
「タマネギ、ニンジン、セロリなどの香味野菜と、鶏ガラ、牛すじを焼いたものを2週間ぐらい煮込んで、2度裏ごしします。そこからまたコトコト煮込んで仕上げています」と俊介さん。42リットルの寸胴鍋いっぱいが1/3量ぐらいになるまで煮込み続ければ完成です。レシピは基本的には創業当時のものを踏襲しつつ、今の人の口に合うように最終的な濃度やスパイスの入れ具合などを調整しています。
松場俊介さん
「僕自身洋食が好きで食べに行くことも多いんですが、うちのデミはちょっと特殊で、ほかのお店とはかぶっていない感じがしますね。最近は甘めのデミにするお店が増えてきたと思うんですが、うちのはわりとビターかな。それが逆によさなのかなって思っています」。
デミグラスソースは、ステーキのほかハンバーグやビフカツなどにも使用し、同店の命ともいえるもの。このソースを味わいに多くのお客さんが訪れるのも納得です。
濃厚な旨味とコクがありながら、油っぽさは一切なくさらりと喉元を過ぎるこの味わい。老舗ステーキハウスの凄みを感じる実においしいデミグラスソースを、ぜひ味わってみてください。
親子3代で松葉の味を守っていく
2017年(平成29)にはお店の内装をリニューアル。レトロモダンな雰囲気はそのままに、靴を脱いで上がる座敷席を廃止して全席テーブル席へと作り変えました。こうして若い世代にも入りやすい店構えになったこと、そして俊介さんが厨房に立つようになったことでも幅広い世代の来店が増えています。
「息子が帰ってきてくれてラクになるかなと思ったけど、逆に忙しくなってね」と時彦さんが頬を緩めれば、俊介さんは「1日中忙しいという状態が続いていたので、僕が少しでも手伝えれば」と頼もしさたっぷり。
これまであまり積極的にできていなかったインターネットでの発信も、俊介さんが中心となって手がけるように。InstagramやFacebookをはじめ、ECサイトでのドレッシング販売にも着手しています。
「家族経営だからこその楽しさはありますが、父と母のこだわりと、僕のこだわりがぶつかり合って喧嘩もよくするんです(笑)」(俊介さん)
「新しい感覚と古い感覚の違いですね。でも、最終的には息子に任せたいと思っています」(松場さん)
ステーキハウス松葉の味が誰よりも大好きな松場さん家族が、この地でこれからも同店を運営していく。創業以来の味わいは、これからも大切に守られていきます。
<注意事項例>
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