自宅の倉庫をリノベーションし、グルメハンバーガー店「さとバーガー」をオープンさせた前川さんご一家。オーダーが通ってから焼き上げるパティは、但馬牛ミンチならではのうまみとジューシーさが楽しめ、ひと口ごとにおいしさが溢れます。
「自宅でハンバーガー屋をやってみよう!」
「さとバーガー」があるのは、山南町の山間。周囲に田んぼが広がるのどかな道を進んでいくと、手書きのほっこりとした看板が現れます。ここが「さとバーガー」の入り口。民家が並ぶ集落の中で、ちょっと不思議な存在感を放っています。
「さとバーガー」が誕生したのは2023年(令和5)11月。前川悟さんと母のかおるさんの二人三脚で立ち上げました。自宅にあった使っていない倉庫を飲食営業ができるようリフォームしたのは、大工として腕を鳴らしていた父の仁郎さん。前川さんご一家の思いが詰まったお店です。
「長くパートで働いていた私が辞めるとき、ちょうど息子も退職し、何か2人でできないかと。2人ともグルメバーガーが大好きで食べ歩きにもよく行っていたので、自宅でハンバーガー屋をやってみよう!と息子に提案したんです」(かおるさん)。
但馬牛をふんだんに使った贅沢バーガー
パティには、但馬牛のミンチ肉とほんの少しの合い挽き肉を使用しています。但馬牛ミンチは近くの直売店「てらミート」で仕入れているため、とても新鮮です。
「てらミートさんのお肉を使わせていただきたいと2人で相談に行ったところ、『それならぜひ』と快諾いただいて。但馬牛ミンチに、チチカブという牛脂と合い挽き肉をブレンドすることで、ジューシーな肉汁とほどよい食感が楽しめるようにしています」とかおるさん。
これにパン粉や塩胡椒、ナツメグなどを加えてパティに仕上げ、オーダーが通ってからじっくり焼いていきます。「こってりよりもあっさりとした食べ応えを目指したい」と、焼き方を工夫し、1枚1枚丁寧に仕上げます。
パティと一緒に挟むのは、レタスやトマトではなく、味付けしたキャベツのせん切りです。「テイクアウトがメインのお店なので、トマトだと持って帰るまでに水分が出てバンズがべちゃべちゃになります。キャベツのせん切りならフレッシュ感がありながら水分も出にくく、ベストだと思いました」と悟さん。
「ダブルチーズバーガー」1,100円
バンズもいろいろと食べ比べをしてこれだ!と思えるものを使用し、しっかりめに焼いてカリッとした食感に仕上げます。
食べたときの食感や味わい、フレッシュさなどのバランスを大切に作られたハンバーガーは、これまでファストフード店のハンバーガーしか食べてこなかった地元のお客さんにも大好評。「ご高齢の方も買いに来られます」(かおるさん)と、新たな味の登場に皆さん虜になっているようです。
但馬どりのテリヤキチキンバーガーも評判
メニューは但馬牛の「ハンバーガー(600円)」などに加え、但馬どりを照り焼き仕立てでサンドした「てりやきチキンバーガー(600円)」もラインナップ。そのほか、「フライドポテト(150円)」や「ジュース(各100円)」など、いずれも実にリーズナブルです。
但馬どりのもも肉を、自家製の照り焼きタレに絡めて仕立てた「てりやきチキンバーガー」には、キャベツに加えてマヨネーズもたっぷりトッピング。マヨネーズのほどよい酸味と、コク甘のチキン、キャベツのシャキシャキ感が一体となった、クセになるおいしさです。
出来上がるまでは待合スペースでしばし休憩
いずれも出来立てを提供されるため、10分ほどの待ち時間がどうしても発生してしまいます。そこで、オーダーカウンター前の空きスペースにテントを張り、椅子を置いて待合スペースを設置。無料で飲食OKなお茶とお菓子を置いて、待ち時間が退屈にならないよう配慮しました。
無料のお菓子でひと休み
ツーリングなどでこの地を訪れる人も「さとバーガー」に立ち寄り、休憩スペースでくつろぎながらハンバーガーを楽しむ人も多いそう。「ちょっとでもゆっくりしていただきたくて」とかおるさんは話します。
ハンバーガーに使うキャベツや玉ねぎなどは、できるだけ家の近くにある畑で自家栽培したもの。農薬などを使用せず育てた野菜を畑からそのまま調理場へ持って来られるので、安心で新鮮なおいしさを存分に味わえます。
前川かおるさんと悟さん
「2人で運営しているので、メニューを増やしていくよりも、今あるメニューをしっかり作っていきたい。グルメバーガーのおいしさを多くの人に知っていただけたら」(悟さん)。
ほっこりやさしくて、とびきりおいしい「さとバーガー」のハンバーガー、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょう。
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