播磨屋は丹波市山南町で1896年(明治29)から続く老舗の料理旅館です。創業124年、地元丹波の旬の食材を使った心づくしのお料理を、落ち着いた和の空間で楽しめます。地元の人達をはじめ、大切な時間をここで過ごしたいと訪れる人々を、確かな味とあたたかな心でもてなしてきました。
家族で守り続ける味とおもてなし
創業から家族で支えてきた播磨屋。現在、暖簾を守るのは4代目の西田季哲(としあき)さん。高校を卒業してから10年間、京都と伊勢で日本料理を学び、2003年(平成15)にあとを継ぎました。
80人規模の宴会が可能な大広間、少人数で利用できる座敷、さらには5部屋の客室を有し、会合やお祝い、ビジネスから観光・レジャーと幅広いニーズに応えてきました。利用者の多くは、特別な日を本格的な日本料理とともに過ごしたいと訪れる地元の人。長年変わらぬおもてなしが、地域に根づいている証です。
出汁にこだわるふるさとの味を懐石コースで
季節を感じる山里のおもてなしコース 4,000〜8,000円/税・サ別
※予算や用途に応じて内容が変わります。
人気のコースは、腕によりをかけた日本料理が楽しめる懐石コース。何よりも大切にしているのは季節の味。地元の農家で収穫された野菜など、丹波産の旬の食材を中心に、月替りで献立を考えています。また、馴染みのルートから、日本海と瀬戸内海両方の新鮮な海の幸が揃うのも魅力です。
播磨屋のお料理の決め手は出汁にあります。昆布、鰹節、鯖節から丁寧に取る出汁は風味豊か。目指すのは繊細な京風懐石ではなく、素材の味と出汁をしっかりと効かせた山里の懐石。親しみ易い味わいに安心感があります。
初代から引き継ぐタレで味わう、捌きたての絶品うなぎ
うな重(肝吸い、漬物付き)4,200円/税・サ別(2日前までに要予約)
※うなぎは水温が下がると皮が固くなるため、夏季(5〜9月頃)限定で提供。
播磨屋で一度は試してみたいのがうなぎ料理です。皮が薄くて肉厚な愛知県三河一色産のうなぎを使用。仕入れてから1週間は生簀に放して、身が締り最高の状態になるのを待ちます。
創業時から継ぎ足してきた秘伝のタレに通し、炭でじっくり焼き上げたうなぎは、皮はぱりっと香ばしく、身はふっくらと柔らか。注文を受けてから捌くので、少し時間はかかりますが、“急かすのは野暮”とはよく言ったもの。最高の状態で提供されるうなぎを是非、味わってみてください。
観光客に向けた新たな名物、すっぽんの薬膳鍋
地元でとれたすっぽんと薬草の贅沢鍋 8,000円/税・サ別(2日前までに要予約)
※天然のすっぽんは夏季(5〜9月頃)のみ、冬季は養殖のすっぽんで対応可能。
丹波市山南町は300年以上の歴史を持つ薬草の産地。「この土地ならではの料理を」と、西田さんが地元の専門家と開発したのが「地元でとれたすっぽんと薬草を使った贅沢鍋」です。加古川の源流、佐治川に棲む天然のすっぽんを1匹丸ごと使い、白参(ハクジン)やナツメ、クコの実など7種類の薬草と一緒に煮込みます。
肉厚な天然のすっぽんは良質なコラーゲンたっぷりで低カロリー。滋養効果の高い薬草との組み合わせは、美と健康に関心が高い人なら是非試してみたい鍋料理です。京料理で使用頻度の高いすっぽんは西田さんが得意とする食材のひとつ。日本酒でだしを取り、醤油で味をととのえるだけのシンプルなすっぽん鍋の他、すっぽんを使った一品料理も充実しています。
丹波の冬の味覚、丹波産猪肉のぼたん鍋
鍋料理や宴会に 広々とした宴会場
寒い時期に体を芯から温めてくれるぼたん鍋も、丹波の冬の味覚として欠かせません。丹波市春日町にある猪肉専門店で適切に処理された上質な猪肉は臭みがなく、赤身は色鮮やかで、脂身も真っ白。煮込むほどに赤身は柔らかくなり、脂身は甘みが増し、山椒を混ぜ込んだ赤味噌仕立てのスープとの相性も抜群です。滋味に富んだ丹波産の冬野菜がさらに旨味を引き立てます。締めのうどんで、美味しさが凝縮したスープを最後まで堪能してください。
ぼたん鍋は、11月の狩猟解禁以降のご提供です。
(付き出し、うどん付)6,000円/税・サ別(2日前までに要予約)
地元に愛され続ける場所であるために
鯛の尾頭付きの唐揚げ(ネギ、出汁付) 8,000円/税別(3日前までに要予約)
時代が変わっても、目の前のお客さんにいかに喜んで頂くかを、変わらぬ想いとして貫いてきました。年配のお客さんのために野菜の多いメニューを考案したり、座敷に椅子席を設けたりと工夫を凝らしてきました。2代目の頃からの常連さんが、90歳を超えた今も、月に2回通い続けてくれているのは、その想いが伝わっているからこそ。また、お祝いの席で欠かせない尾頭付きの鯛を、冷めてからでも美味しく食べてもらいたいとの思いから、焼かずに揚げて提供するようになったのも4代目のアイデア。出汁茶漬けやお茶漬けにして食べるのがお勧めです。
柔軟に進化し続ける老舗の新たな挑戦
新型コロナウイルスの影響などもあり、宴会の需要が減る中、先代の頃に寿司屋として使っていたスペースをカウンター席として改装する計画があります。料亭としてだけではなく、少し敷居を低くして、予約をしなくてもふらりと立ち寄れる、割烹スタイルの導入を検討しているそうです。おもてなしの心はそのままに、時代の変化に合わせ柔軟に進化し続ける老舗の姿がしなやかな強さを感じます。
テキスト:保坂優子
<注意事項>
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