合格祈願や“お母さん”の味に足繁く通う人も多い定食屋

地蔵茶屋

学業成就にご利益があるとされる首切地蔵尊。合格祈願に参拝する人が多いことで知られています。その入口のそばにある「地蔵茶屋」は、お参り前後に立ち寄る方も多く、合格にあやかったメニューも用意しています。新鮮な魚介を使った、“お母さん”がつくる料理を目当てに遠方から訪れるお客さんも多いお店です。

お母さんの手づくりごはんに癒される

「地蔵うどん定食」(850円)は、山菜ごはんとその日のおかずが数種類もついた、一番の人気メニュー。かつおと昆布の出汁がよくきいたうどんにも、山菜や薄揚げ、とろろ昆布などの具材がたっぷり。夏になると、冷たい出汁のぶっかけうどんになるのだそう。おかずは体にやさしい薄味に仕上げた手づくりのお総菜。実家に帰ってきたような、ほっとする味です。

野菜や米などの食材の多くは地元産を使い、フライなどに使う魚介は、店主・大原まちよさんの夫義弘さんが新鮮なものを京都・丹後から仕入れています。「お野菜はご近所の農家さんが持ってきてくれたり。お魚はお父さんが丹後の伊根まで通っています。美味しい伊根のアジは一枚ずつ私が開いて、アジフライにしてるのよ」と、まちよさんは話します。

お食事は定食のほかに、単品の「地蔵うどん」や、合格の「合」の字を入れたかまぼこや茹で卵の入った「合格うどん」なども用意。正月には多くの参拝客に、ぜんざいや甘酒もふるまいます。

「合格うどん」で学業成就に願をかける

「合格うどんを食べて志望校に受かりました」という方からのメッセージを発見!しかも、姉妹で合格したそうです。「わざわざこうしてお手紙までいただいて。本当にうれしいことです」と、話すまちよさんの頬がゆるみます。

ご利益をもたらすように、合格えんぴつやお地蔵さんのキーホルダー、ご祈祷をしてもらったお守りも販売。首切地蔵尊では販売していないものも置いているそうなので、立ち寄った際には覗いてみても。

絶景とほっこりごはんで、地元民も市外の人も集う場所に

お弁当(850円)は、定食の内容と同じになることが多く(うどんはつきません)、ご近所の方が買いに来られたり、お参りの帰りに買って帰られる方も多いそう。美味しい魚料理と野菜をたくさん使ったおかずで、栄養バランスも整っていてありがたい限り。

そして、隠れた人気メニューがしめ鯖のお寿司。京都丹後の伊根町にある蒲入漁港で獲れた鯖を仕入れ、2~3日酢漬けにします。「お父さんが仕事の関係で30年ほど伊根に通っていて、そのご縁で知り合った漁師さんから仕入れています」。この鯖寿司を求めに小野や明石から来られる方や、リピーターも。仕込みの都合上、毎日あるわけではないので、事前に問い合わせを。

家で切り分けてみました!身の締まった鯖は甘酢の塩梅がよく、あっという間に完食。わざわざ遠方からでも通いたくなる気持ち、よく分かります。添えられた山椒の佃煮と紅ショウガも箸休めにしては箸が止まらなくなるほどの存在感。“お母さん”の味にファンがつくのも納得です。

大原さんご夫妻がこの店を切り盛りしはじめたのは、10年前の2011年(平成23)。もともと店のオーナーだった女性が高齢になり、後を継いでくれる人を探していたところ、調理師免許を持っていたまちよさんに知り合いが声をかけたのがきっかけ。「いつかは自分の店を持ちたいという思いと、断り切れず…ということもあって」と、まちよさんは苦笑します。古い店の雰囲気は残しつつ改装。メニューを増やしたり、10人ほどが入れる離れの部屋もつくりました。

「最初はこんな場所でやっていけるのか不安だったけど、10年もやっていると知り合いができたり、通ってくれる人もいて。入院したりで何度か店を閉めて再開したときには、“なんで閉めてたの!”と心配してくれる人も大勢いて…」と、目を細めます。

学問成就にあやかりたい受験生、ふらりと立ち寄って大原さん夫妻との会話を楽しむご近所さん、茶のみ友達と離れを貸し切ってランチをするご婦人たち、丹波篠山の中心地に車を置いて、グループでサイクリングがてら訪れる都心からの常連さん…。店先には、四季折々の樹々や花々が美しく彩り、絶景も望める地蔵茶屋は、人々の憩いの場になっています。

※表示価格は全て税込

 

<注意事項>

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