「エムズマインド」の足立裕文さんは、一軒家はもちろん、アパートなどの建築塗装全般を担っています。社名の「エム」には、自分の名前、奥さんや子どもたちの名前のなかの文字を使っており、家族への深い愛情と支えてくれるその思いを背負って、日々の仕事に励むという心意気を表しています。
親方に惚れ込みこの道へ
大事な商売道具を積み込み現場へ
事業主の足立裕文さんが、開業届を出したのは2019年(令和元)11月。約10年親方の下で修業して、独立した形です。
足立さんは、高校卒業後、地元の企業でサラリーマンとして約5年勤めていました。ある日、居酒屋で人生を変える出会いが待っていました。それが、のちに「親方」となる塗装職人です。
「初対面で話すうちに、親方に男として惚れました。塗装に関する知識も経験もなかったんですが、この人の下で働きたいと思ったんです」と話す足立さん。いきなり「親方のところで働かせてください」とは言い出せず、「塗装に興味があります。どこか塗装屋さんを紹介してください」とお願いしたところ、「じゃぁうちにくればいい」と採用されました。
そこから約10年、体調不良以外で休むことはなく、現場の仕事をこなしました。元々、何かの仕事で事業主になりたいという思いがあった足立さんですが、塗装の仕事をすることになるとは思ってもみなかったそう。「親方は第二の親父としてリスペクトしています。いろいろな技術を教えてもらいました」と独立後も感謝の気持ちを忘れません。
最大の強味はコミュニケーション力
会社敷地内の倉庫にペンキが揃う
独立した当初は、9対1の割合で個人宅の依頼が圧倒的に多かったのですが、年を追うごとに法人案件が増え、現在は法人と個人の割合が7対3にまで増えてきています。現場は丹波市内にとどまらず、兵庫県内や近畿地方全域に仕事の範囲を広げており、「先日は豊岡市の日高町や岐阜まで行ってきました」と、フットワークの良さも強みの一つです。
足立さんが心がけているのは「お客さんとのコミュニケーション」です。どの現場に行っても、笑顔は忘れず施主さんとの会話を大切にしているため、「“お兄ちゃんに頼んでよかった”とどの現場でも喜ばれるんです」と屈託なく笑います。施主さんの希望に寄り添う姿勢と提案力で、「言われたことだけをやる」のではなく、「喜ばれることに全力を尽くす」仕事ぶりが信頼を集めています。頑固な職人気質の人が多いなか、施主さんとフレンドリーに接して、ニーズを丁寧にくみ取る力が、信頼感を生み、リピーターや紹介を生む大きな原動力となっているのでしょう。
現場をどう進めるかを考えるのも楽しい
技術的なことで大切にしているのは、高圧洗浄したあとの養生といった、塗装するまでの前段階に時間をかけることです。そこをきちんとすることで、仕上がりが全く変わっていくそう。
調色についても、施主さんと密にコミュニケーションをとって、しっかりやり取りをすることで、トラブルにならず、むしろ喜んでもらえることが多いとか。「同じ家は一つとないから、この現場をどう進めていこうかと考えるのも楽しいですね」。
足立さんの仕事の一部を紹介しましょう。
屋根のビフォーアフター
集合住宅階段のビフォーアフター
屋根、階段とも、サビがひどく劣化していたため、施主様からの依頼を受けて塗装しました。
どちらもきれいになり、かつての美しさを取り戻ました。
新築現場での仕事もあります。
書斎のカウンターと本棚をクリアー塗装して、ツルツルピカピカになりました。
家族の思いを背負って法人化を
人懐っこい笑顔が印象的な足立さん
今後の展望として考えているのは、法人化です。新規のお客さんを増やして売り上げを伸ばし、できるだけ早く法人にしようと考えています。「雇ってほしいといわれたことがあるんですが、当時は、その人の人生を背負うことに腹をくくれず、断ったんです。でも、今後は法人化することで雇用もしていきたい。覚悟を決めて自分自身も人として大きくなりたいと思います」と話します。
「自分自身が幸せじゃないと周りの人を幸せにできないし、関わってくれる人こそが自分の器を大きくしてくれる」という言葉も印象的でした。社名「エムズマインド」の「M」は、自分の名前「Hirofumi」と、奥さまの名前「Mika」、子どもたちの名前「Ema」と「Yuma」から。足立さんは、家族みんなの「マインド(思い)」を背負って頑張るという意気込みで、今後も走り続けるに違いありません。
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