
兵庫県丹波市で長年親しまれている「ステーキハウス松葉」。1980年(昭和55)の創業以来、ステーキをはじめとする洋食を提供し続けています。現在は3代目のチーフシェフが厨房に立ち、伝統の味を守りながらも現代の嗜好に合わせた新しい工夫を取り入れています。地域の人々はもちろん、遠方からもお客様が訪れる同店へ久しぶりにランチに伺い、お店の歴史や料理について話を聞きました。
3代にわたって紡がれる歴史と味

北近畿自動車道氷上ICからすぐの場所にある「ステーキハウス松葉」。長年変わらない看板と、コック帽にコックコートを身に着けたシェフ人形が目じるしです。

店内は、レトロモダンで落ち着いた雰囲気。カウンターの向こう側にあるキッチンからは、肉が焼けるジュッという音と同時に香ばしい香りが漂ってきて、思わずおなかが反応します。

チーフシェフの松場俊介さん
創業者である祖母、2代目で料理人の父。その味を受け継ぎ、現在3代目として腕をふるっているのが松場俊介さんです。父からチーフシェフを引き継いで5年。長年通う常連客の期待に応えるべく、「上質な肉を使って丁寧に手作りする」という創業当初からのコンセプトを大切に守り続けています。

ステーキハウス松葉で使用する牛肉は黒毛和牛と国産牛のみ。部位は、ヒレ、ロース、三角バラの3種類。長い付き合いの信頼のおける専門業者から、その時々の良質なものを仕入れています。肉はあらかじめカットして保管するのではなく、オーダーが入ってから塊肉を切り分けて成形して肉の鮮度を維持しています。やわらかな食感やジューシーな味わいは、このひと手間によって生まれているんですね。
3種の味で楽しむ絶品ステーキ

「特選黒毛和牛ステーキ」は、脂の甘みと旨みを楽しめるサーロインと、脂肪分が少なく上品な味わいのヘレを用意。「特選国産牛ステーキ」は、赤身と霜降りのバランスが絶妙なロースを提供しています。また、定型のグラム数だけでなく、希望に応じたグラムカットにも対応しています。

自家製ドレッシングをかけたサラダ
同店では創業当初からステーキをお箸で味わうスタイル。かつてはポン酢とデミグラスソースで提供していましたが、「塩でも食べたい」というお客様の声をきっかけに肉に合う塩を探し、フランス産の塩を採用しました。さらに、軽やかな味わいの和風オニオンソースも開発。こちらは特に女性客から人気を集めています。
現在はポン酢、フランスの塩、オニオンソースの3種類を添えての提供です。俊介さんおすすめの食べ方は、まずはそのままで肉本来の味を味わい、その後に塩、ポン酢やオニオンソースへと移りながら、ひと口ごとに変化する味変を楽しむスタイル。
ハンバーグはたっぷりのデミグラスソースで

「ハンバーグ定食」1,800円
この日私がオーダーしたのは、ハンバーグランチです。メインのハンバーグに小鉢が2品とサラダ、ごはん、味噌汁が付いています。お米は地元の契約農家のコシヒカリ。野菜もできるだけ地元産を使っています。具だくさんの味噌汁は、この日はキノコの旨みたっぷりのほっとする味わいでした。

ハンバーグは箸ですっと切れるほどやわらか。それでいて口に入れると、しっかりとした肉感があります。濃厚でありながら後味は軽やかで、口の中にしつこさを残さないデミグラスソースとの相性も抜群です。このデミグラスソースは、オーブンでじっくり焼いた鶏ガラ、牛すじに香味野菜を加え、煮込んでは濾す工程を繰り返し、約1週間かけて仕上げるもの。濃すぎず、奥深い旨みを感じるソースは、ハンバーグはもちろん、ビフカツとも好相性です。実はこのデミグラスソースは父の頃より、より軽やかな味に仕上げているそうです。

定食に付く2つの小鉢もすべて手作り。ヒジキの煮物や季節野菜の白和えは、やさしい味付けで、主役の肉料理を引き立てながらも、それぞれを美味しくいただけます。

「ビフカツ定食」2,600円
こちらは人気の「ビフカツ定食」。カラッと揚がったカツはやわらかくジューシーで、コクのあるデミグラスソースが肉の甘みを引き立てています。

ディナータイムには、オードブルからデザートまで楽しめるコース料理も用意。厳選したワインとともに、ゆったりとした大人時間を過ごせます。

法事の会食などにも最適なテーブル席
2017年(平成29)には、もともと座敷だったスペースをテーブル席へ改装しました。独立したスペースで貸し切りのように利用できるため、法事の会食や歓送迎会などグループ利用にも重宝されています。
手作りデザートもご賞味あれ

食後にはニューヨークチーズケーキもおすすめ。コーヒーと合わせて、ゆったりとした余韻を楽しめます。さっぱり締めたい人にはアイスクリームやソルベも用意されています。これらのデザート類もすべて手作りです。
テイクアウトで弁当やオードブルも楽しみたい

「ミックス弁当A(チキンカツ、焼肉、エビフライ)」2,300円
同店は、お弁当の注文も可能。しかも1人前から対応しています。春のお花見や秋の紅葉狩りなどにも人気で、シェフが手掛ける彩り豊かな料理を気軽に楽しめますよ。

「オードブル」(写真は5~6人前)12,000円
企業や学校関係、地域の集まりなど、人が集まる際にはオードブルもおすすめです。エビフライなども冷凍品は使わず一から仕込み、手作りならではの美味しさを大切にしています。

創業から46年、地域で愛され、節目やハレの日に重宝される一方で、ランチやディナーにも気軽に普段使いできる店。タイパが声高に言われる時代ですが、「これからも変わらず、手間をかけた料理を出したい」という俊介さんの言葉から、長く愛される理由の1つが伝わってきました。家族経営ならではの温かな空気と丁寧な料理。そのどちらもが、記憶に残る一軒です。
<注意事項>
- 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
