
漢方の里総合運動公園を西へ車で5分ほど。多可柏原線を北に少し入った狭宮神社のそばに建つ「ゆりの花庵」は、自家焙煎コーヒーを片手にボンボンショコラを味わえるショコラティエショップです。ショーケースに並ぶ、まばゆいばかりのフランスボンボンショコラを目当てに、地元だけでなく京都や神戸からもお客さんがやってくるそう。そんな噂を聞いてワクワクしながら「ゆりの花庵」を訪ねました。
子どもの頃からの料理好き

駐車場は全部で10台
「ゆりの花庵」がオープンしたのは2025年(令和7)6月。オーナーでショコラティエの隈本光一さんは、子どもの頃から料理を作るのが好きだったそうです。中学生の頃には、台所でお母さんの横に立ち一緒に家庭料理を作っていたほど。和食よりも洋食が好みだったという隈本さんは社会人になってから、仕事の合間に南フランス料理を本格的に学びます。その後、独学で更に腕を磨き3年を過ぎた頃には、コース料理を振舞えるほどの腕前に。月に1回、同僚を招いて開くホームパーティーは、仕事で多忙な日々を過ごすなかでの大切な息抜きの時間になりました。

並行して、400年以上の歴史を持つ茶道の流派“藪内流(やぶのうちりゅう)”に入門し、お点前を学びながら、茶懐石も習得します。

当時、福岡の自宅にも茶室がありました。茶道家の道は現在も修業中です。

棚には隈本さんが焙煎したコーヒー豆が並びます
さらに、福岡勤務時代には、コーヒーの焙煎から淹れ方まで学んでいたというから驚きです。お店で使っているコーヒーの生豆は、当時の師匠が仕入れていた東京の業者から直接仕入れています。
サラリーマンからショコラティエへ

社会人生活も晩年を迎えた頃、「退職後はレストランかカフェを開きたいけれど、まずは一人で無理なく始めたい。それには何がいいだろうか」と考えます。コース料理の最後を締めるスイーツ作りもこなしていた隈本さんは、前々から関心があった“チョコレート”を作ろうと思いつきました。タイミングよく、ボンボンショコラを手掛けていた一流のショコラティエがフランスから帰国し教室を開くことを知りました。迷わず東京へ通うこと約2年6カ月、技術を身につけ念願のショコラティエへと転身したのです。
フランスボンボンショコラって?

中央2列)「赤いハートのクランベリー」
フランスボンボンショコラは、内側にスパイスや季節を感じるフルーツなどを反映させたガナッシュがギュッと詰められているのが特徴です。
伝統ショコラ「赤いハートのクランベリー」を1粒口に含むと、あっという間に外側のショコラが溶けて、口中にクランベリーの風味が広がり、まるでフルーツを食べているような感覚に、びっくり!
その他のラインナップの一部をご紹介しましょう。

左から、「ムスカデューヌ」「紅茶のショコラ」「宇治抹茶のショコラ」「ほうじ茶のショコラ」です。「ムスカデューヌ」はフランスの伝統ショコラで、人気ナンバーワンの商品です。続く「紅茶のショコラ」「宇治抹茶のショコラ」「ほうじ茶のショコラ」は、それぞれ、紅茶の茶葉粉末、高級宇治抹茶、ほうじ茶粉末に、ビターチョコ・生クリーム・バターを合わせて作ったガナッシュにチョコがけしたボリュームたっぷりのショコラです。

こちらの7種類は全て隈本さんが考案したオリジナルショコラ。左から、「白銀(はくぎん)」、「レモンレモン」(季節限定品/9月末まで)、その隣の奥が「霧の小川」、手前は「つゆ青葉」、隣が「ストロベリーカカオ」、その隣の奥が「マロン・シナモン」、手前は「金のツメクサ」です。

ショーケースには、フランス伝統ショコラから定番ショコラ、季節限定ショコラなど常時、15~17種類用意していますが、週末が近づくと売切れ商品も…。
ショコラができあがるまでには徹底した温度管理の元、ガナッシュ作りからコーティングなど3日ほどかかります。だから営業は週に4日間だけなのです。

プレゼント用のパッケージも用意しています。フランスボンボンショコラを大切な人へのプレゼントや自分へのご褒美の時に利用すれば、ワンランクアップすること間違いなしです。
日本各地を巡り、暮らしたいと思ったのが丹波でした

畑ではハーブが生き生きと育つ
仕事柄、転勤が多くいろんな土地で暮らしてきた隈本さんが丹波を知ったのは、大阪勤務時代でした。サイクリングが趣味と知った同僚から「丹波はサイクリングにちょうどいいコースだよ」と教えてもらったのがきっかけでした。何度も通ううちに、自然が豊かで四季が美しい丹波に惹かれ古民家を探し始めました。店舗スペースにお茶室、畑と希望の条件が揃った現在の場所を手に入れたのが2022年(令和4)のこと。

当時は宝塚に住みながら丹波に通ってDIYで茶室を整えたり、畑を整備したり…。と同時に、地元の方とのふれあいも多くなり、どんどん魅せられてゆきました。

フランスのショコラティエショップの雰囲気が漂うお店は、地元の大工さんにガレージをリノベーションしていただきました。

イートインカウンターは隈本さんの手によるもの
イートインコーナーがあるので、地元の方がふらっと訪れコーヒータイムを楽しんでいくこともしばしば。カウンターの上のアロマディフューザーからは、ふんわりと柔らかな香りが漂ってきます。社会人時代に身につけた、ハーブやアロマの資格がお役立ち!

隈本さんの隣には「永遠の2歳児」NICOBO
ショーケースの上では、AIロボットのNICOBO(ニコボ)が出迎えてくれます。「大人がショコラ選びを楽しみながら迷っているあいだ、一緒に来てくれた子どもも楽しめたら」と、相棒に迎えました。

左)知人から贈られた“ゆりの花”
店名の「ゆりの花庵」は、茶室につけた名前で、元々は娘さんの名前が由来だそうです。

穏やかな時間が流れる「ゆりの花庵」。隈本さんは、将来は、サイクリストのエイドステーション(立ち寄り場所)になればと考えています。さらにその先には、仲間と共にこの地でエコツーリズムに取り組みたいという大きな夢もあります。着実に行動する隈本さんの夢の実現は、そう遠くないかもしれません。
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