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自給自足の生活を楽しみながら減農薬で特別栽培するブドウ農家

丹波ゆめ葡萄園(アグリネット丹波)

「自給自足の生活がしたい」と15年前に大阪から丹波に移住してきた代表の南信江さん。自然養鶏して育てたアローカナの青い卵、ペット用ヤギミルクのほか、3年前から本格的に取り組み始めたブドウは、今年から多品種の販売をスタートしました。

約10品種を栽培するブドウ農園

大きな横断幕は県道からもわかりやすい

直売所入り口

「丹波ゆめ葡萄園」があるのは、丹波市市島町与戸。県道283号(絹山市島線)沿いの「留堀城址」石碑が立つ場所からほど近い、県道を挟んだ反対側です。大きな横断幕がかけられているので、道からもよくわかります。

道の駅で販売しているブドウ

農園の入り口には、ブドウの品種を紹介したプレートがかけられています。2026年(令和8)は「ナガノパープル」や「シャインマスカット」「ピオーネ」など約10品種1,500房を、直売所と道の駅「丹波おばあちゃんの里」で販売しました。「100%オーガニックは無理だけど、減農薬の特別栽培で、安心安全な部分に近づけたい」と南さん。お客さんからは「粒が大きくておいしかった」など、上々の評判。シーズン中3回も買いに来たリピーターもいたそうです。

不織布を利用したポット栽培を手がけて新規就農

南さんがブドウの栽培を手がけるようになったのは、2024年のこと。「大阪に住む兄が、“ブドウ栽培をやりたい”といい始めたのがきっかけでした。幼い頃に食べたピオーネの味が忘れられなくて。“市島ぶどう”は地元の特産品でもあるし、いいんじゃないかと思って」と南さんは話します。
お兄さんは早速事業計画を立て、特殊なルートラップ(不織布)ポットを使用した、ブドウのポット栽培に取り組み始めます。ポット栽培のメリットは、早期成園化が実現できること。苗を植えてから1年半というスピードで収穫できるのが一番の魅力です。また、新規就農者でも、マニュアルに沿って行えば品質の良い商品を作ることができることも大きなメリットです。
1年目は、7アールの土地を借りて40ポットからスタート。お兄さんは、一人で短管を立てて棚作りをしたそうです。2年目には140ポット、3年目の今年は180ポットとどんどん面積を広げていきました。

自動で水やりをするシステムも手作りしたというから、まったく素人とは思えません。棚上配管と点滴かん水も自力でやったとか。

2年目を迎えた地植えの園

お兄さんがメインに進めるポット栽培と並行して、南さんは隣接した場所に35本の木を植えて、地植えの園をスタートさせました。

4月にビニールを張りブドウ棚を作ります。5月には芽が出てつるが伸びてきます。つるをまっすぐにのばして支柱にはわせていきます。脇芽を一つひとつ丁寧に取り、一本の木にしていきます。6月になると花が咲きますが、受粉は不要です。「つきっきりじゃないと畑は継続できません」。手がかかるので、何か別の仕事をしながらブドウの栽培をするのは難しいといいます。

「今年は、県の普及センターの指導員さんのおすすめで、“あずましずく”という早生の品種に取り組みました。7月23日に初収穫し、お盆までには販売はほぼ終わっていましたね。ポット栽培なのと、ビニールハウスの面積が大きいので温かいからでしょうか、他の農園さんより2週間ほど早かったと思います。」と南さん。

オーガニック食材にこだわり自給自足を実践

自宅で平飼いをするアローカナ

アローカナの卵とヤギミルク

20代からオーガニックの食材を使い、生活のなかに取り入れていた南さん。幼少期に祖父母の家で、お風呂を薪で炊いて、キノコ狩りに行ったり、トウモロコシを炭で焼いて食べたり、そんな田舎暮らしを楽しんでいたので、丹波に移住して、自給自足の生活を始めたときも、何の抵抗もなかったそうです。
「アグリネット丹波」として事業者登録をしたのは、10年以上前。ブドウ栽培のスタートにあたり、2年ほどお休みしていますが、かつては、無農薬野菜を加工したジャムや麴を使った田楽味噌、手作りこんにゃくなどを、道の駅「丹波おばあちゃんの里」やオーガニックマルシェで販売していたこともありました。

アローカナのヒヨコ

移住してから出会った鶏「アローカナ」。その青い卵は、濃厚で栄養価が高いことを知り、Iターンの家族など6家族でヒヨコを共同購入し、自宅の庭先で飼い始めました。その後、毎年アローカナのヒヨコを共同購入し、その輪を広げ、現在は約200家族がアローカナを飼育しているそうです。「せっかく丹波に来たんだから、庭先で平飼い養鶏をしたら良いと思い、潜在的に鶏を飼いたいと思っている人たちに、声をかけて、ひなを共同購入しています。生活のなかに取り込んだら生活が豊かになりました」と南さんは微笑みます。

自宅で大切に飼育している「メルちゃん」

おなかの下に頭が隠れているのは今年出産のヤギ

アローカナの卵からのご縁で、ヤギを飼うようになりました。健康のために人間の母乳に近いヤギミルクを毎日飲み、余った分をペット用に販売しているそうです。

現状を維持しさらにクオリティの高い商品を

今後は、ブドウ栽培をメインに、現状の30アールの広さの畑の中で、品質のいいものを作っていきたいそう。ブドウは、丹波の特産品でパンフレットなどでも紹介している割には、就農者が少なく、高齢化しているのが現状。「夏の暑さや作業時間の短さ、資金面での悩みなど、いろいろ課題はあります。でも、夜でも作業でき1年半で販売できるポット栽培など、根域制限栽培をもっと普及させたら、農業で生活できるようになり、若い就農者が増えるのではないでしょうか。若い人にもっと取り組んでほしいですね」と南さん。
背伸びすることもなく、自分にちょうどいいサイズで、生活も楽しみながら、クオリティの高い商品を提供して、消費者に喜んでいただく。理想的なウィンウィンの農業を実践しています。

 

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