
2025年(令和7)3月にオープンした「ゑにちうどん」は、讃岐うどんの本場香川県で修業した店主が打つ自家製麺といりこだしが名物。お客さん自身が麺をあたためてだしをかけ、トッピングをして食べる丹波市には珍しいセルフスタイルのうどん店です。オープン以来大好評のこのお店へ、さっそく伺ってきました!
うどん好きが高じて香川県観音寺市で修業

「ゑにちうどん」があるのは、丹波市山南町の愛宕山トンネルの近く。1375年(永和元)に建立された古刹「慧日寺(えにちじ)」の参道から少し入ったところにあり、慧日寺にちなんでこの店名が付けられました。

店を切り盛りする中西さんご夫妻
店主の中西剛三さんは、もともとトラックドライバーとして全国各地に出向いていた人物。香川県に立ち寄った際にはさまざまなうどん店に訪れ、食べ比べも楽しんでいました。そんな中、1軒のうどん店に出会います。
「大型トラックが駐車できるスペースが少ないのでなかなか行けない、だけどものすごくおいしい、そんな店でした。タイミングを見ながら通っていたある日の朝のこと、ちょうど客が自分ひとりになったんです。行列ができる人気店でそんなタイミングはほとんどありません。お店をもちたいという夢もあり、思い切って『修業させてもらえないか』と聞いたんですよ」(中西さん)。

自宅の倉庫を改装してセルフうどん店へ
突然の提案にお店側も驚いたそうですが、店長がオーナーにかけ合ってくれた結果、「数カ月で習得する」ことを条件に修業ができるように。運送会社を辞め、現地でアパートを契約し、すぐに修業がスタートしました。

メニューは修業先を踏襲
うどんの打ち方もだしのとり方も、接客に至ってもゼロからのスタートでしたが、数カ月ですべてを学ぶために必死に向き合う日々。「初日から大変なことばかりで、もうくたくた。釜の熱気で熱中症のような症状も出て、帰りの車の中では足が動かなくなりましたね(笑)」と過酷だった当時を振り返ります。

そんな毎日の中で、一つひとつ着実に技術を習得していった中西さん。粉の練り方、塩の配合、生地を寝かせる時間、等間隔で切る方法、だしのとり方など、あらゆる技術を体に叩き込んでいきました。
約3カ月間の修業を終えて丹波市に戻ってきた中西さんは、さっそく自宅の倉庫を改装。修業先と同じセルフうどん店にすべく、お客さんがうどんをゆでるための湯煎器も現地の業者から取り寄せてお店を作り上げました。
レッツメイク!セルフでうどんを作りましょう♪

中西さんの技術を余すところなく投入した、渾身のうどん。さっそくいただいてみましょう!

まずは入ってすぐにある天ぷらコーナーで、好きな天ぷらを選んでお皿に盛ります。天ぷらは妻・真弓さんの担当。鶏肉、卵、えび、季節の天ぷらなどその日ごとにさまざまな種類が並びます。
天ぷらのほか、日替わりご飯や生卵、温泉卵などもあり、さまざまな組み合わせが楽しめます。

次にうどんを注文します。うどんメニューは、「かけ」「ぶっかけ」「ひやかけ」の3種類。「かけ」は温かいうどんに温かいだしをたっぷりかけたもの、「ぶっかけ」は冷たいうどんに濃いめの冷たいたれをかけたもの、「ひやかけ」は冷たいうどんに冷たいだしをたっぷりかけたもので、それぞれ小・中・大の3種類のサイズがあります。
今回は定番の「かけ」をオーダー。ここでお会計を済ませます。なお、天ぷらやご飯は注文せずうどんのみの利用でももちろんOKです。

器にうどんが盛られて出てくるので、受け取ってセルフコーナーへ。湯煎器で軽くうどんを温め直します。

せっかくのコシをなくさないよう、約10秒で器へ戻し入れます。

次に特製のいりこだしをたっぷりと投入。

最後にトッピングコーナーへ。青ネギ、天かす、ショウガ、一味唐辛子が用意されているので、好きなものを好きなだけトッピングします。

「かけ」小600円、「ナス」200円、「かぼちゃ」150円、「たまご天」150円
完成です!
青ネギもショウガも天かすもすべてお店で仕込んだ新鮮なもの。苦手でなければ全部トッピングして、薬味のハーモニーを楽しむのがおすすめです。
噛むごとに味わいが増す麺と、甘い香りのいりこだし

ひと口いただいて思わず笑顔に、、とってもおいしい……! 讃岐仕込みの太めの麺は、しっかりとしたコシがあって食べ応え抜群。ほんのり塩気が利いていて、噛み締めるごとにうまみが溢れます。「製麺の際に生地を足で踏んで鍛えるのが特徴。熟成期間を含めると丸1日かかる」と中西さん。

また、いりこだしを使うのも讃岐うどんの特徴で、昆布とカツオでとる関西のだしとはまた違った甘い香りと豊かな風味が楽しめます。このだしに、修業先の繋がりで仕入れることができた香川県の醤油を合わせ、本場の味をそのまま届けます。

サクサク食感がクセになる天ぷらも、うどんによく合って箸がどんどん進みます。中でも卵や鶏肉は仕込みつゆに漬け込んでから揚げているため、何もつけなくても味がよく染みて忘れられないおいしさです……!

「ぶっかけ」小700円、「温泉卵」150円
濃いめのつゆをかけた「ぶっかけ」なら、温泉卵をトッピングするのがおすすめ。

卵の黄身と味わい深い麺、つゆが一体となった至福のひと口を、ぜひともお楽しみあれ。「ぶっかけ」にはレモンも入っていて、ほどよい爽やかさがアクセントに。これから夏にかけて、人気が出そうな一杯です。

お店のオープン前には慧日寺でイベントも行った
「慧日寺の近くで生まれ育ちましたしすべての始まりは慧日寺、慧日寺なしにゑにちうどんは語れません。そんな大切な慧日寺を盛り上げていけるような存在になれれば。境内でうどんのイベントなども行えたらなと思っています」(中西さん)。

うどん好きが高じてうどん職人となった中西さんが、次は地元の誇り、慧日寺の活性化に向けて動き出す。わくわくするような試みが着々と進んでいます。
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