
丹波市で道路の拡張工事などの公共事業を中心に手掛ける「株式会社中川組」。1980年(昭和55)創業の同社は、地域の安全と暮らしを支える地元密着の土木会社です。住民への丁寧な説明と誠実な対応を大切にし、公共事業のほか、個人宅の外構工事や解体工事も行っています。地元から厚い信頼を寄せられる、その仕事ぶりについて、社長の中川日出夫さんに話を伺いました。
道路の拡張工事でまちをより安全に

中川組の仕事は、道路の拡張や改良、河川整備などの公共工事が中心です。地域の交通環境や防災インフラを支える、まちづくりの根幹ともいえる仕事ですね。私たちが普段目にするアスファルト道路は、舗装する前に下地づくりが行われます。人や車が毎日通る道路ですから、しっかりとした地盤が必要になります。地質は場所によって違うため、地盤改良を行います。一般的には砂利を入れますが、粘土質の土壌の強度を高めるためにセメントを入れるなど、安全で長持ちする道路にするために、見えないところに技術が生かされています。

工事の内容は多岐にわたり、3メートル幅の道路を6メートルに広げたり、歩道を新たに設けたりする改良工事も多く請け負います。通学路や住宅街などでは、歩行者の安全確保のために住民から要望が出ます。それを行政が受けて仕事が発生します。「限られた予算の中で最善を尽くすのが現場の使命」だと言う中川社長の言葉に地域への責任感を感じます。

こうした土木工事の現場にもデジタル化の波が押し寄せています。行政とのやりとりや図面の提出はすべてデータ化され、オンラインでの手続きが主流。「図面や指示書もデータでやりとりできるので、紙の時代から比べると、ずいぶん効率は上がりました」と、長年培った現場経験に加え、新しい仕組みにも柔軟に対応しています。
一方で、地域住民との関係づくりは、今も昔も変わらない、人と人とのやりとりが基本です。通行止めを伴う道路工事では、事前に説明会や個別訪問を行い、工事内容や安全対策を丁寧に伝えます。「私たちが関わる工事は、住民サービスの一つだから、サービス業だという気持ちで取り組んでいます。説明をきちんとすることが信頼につながりますから」と中川社長。たしかに、工事の内容やスケジュールの詳細がわかっていれば、見通しが立って、安心して協力できますね。
民間の外構・解体工事もおまかせ

中川組は公共工事に加えて、個人宅や企業の外構工事・解体工事にも力を入れています。駐車場の造成やカーポート設置、ブロック塀の施工など、その多くは知人や商工会のつながりから依頼されるそうです。「紹介してくださった方の気持ちに応えるためにも、お客さんの希望をしっかり聞くことから始めます」と中川社長。
ときには、お客さんに手描きでラフスケッチを描いてもらうこともあるそうです。「頭の中にあるイメージの輪郭だけでもわかれば、そこから仕様を考え、予算に応じていくつかのプランを提案します」。狭い敷地では小型の重機を使って施工し、必要に応じて造園業者や左官職人とも連携してワンストップで対応できる体制を整えています。

住宅に関わる工事では、ハウスメーカーを通さず直接依頼することでコストを抑えられるメリットがありますが、一概にはいえず、銀行ローンの関係で一本化したいお客さんもいるそう。もちろん、そういった事情は十分承知しているので、どんな形でも、お客さんの希望を尊重して丁寧な説明を怠りません。
印象的だったのは、「必ず他社と相見積もりを取ってください」とお客さんに伝える点。「うちだけじゃなく、他社さんの見積もりも見て、納得して決めてもらう方が、お客さんにとって後悔がありません。お客さんが主体的に決めることを大事にしています」と、この誠実な姿勢が信頼できる所以ですね。
地域に根ざし、信頼を築く“まちの土木屋さん”

地域の保育園からのお礼メッセージ
中川組は中川社長のお父さんが創業して以来、45年以上にわたって地元のインフラ整備を支えてきました。中川社長自身も20歳からこの道一筋。「昔は、仕事は見て覚えるのが当たり前でした。現場で父や職人さんの背中を見て学びました」と振り返ります。地域の人やお客さんに育ててもらったという思いが強く、生まれ育った丹波のまちを何より大切にしています。冬の大雪時には、重機を出して近隣の保育園の除雪ボランティアを行ったこともありました。園児たちから届いたお礼のメッセージは、今も大切に事務所に飾られていました。そんなエピソードからも、地域への深い愛情が伝わってきます。
「これからは、土木屋は公共工事だけ、というイメージを変え、外構や解体といった身近な工事でも地域のお役に立ちたい」それが今の中川社長の願いです。暮らしに寄り添い、生活設計や将来のリフォームの可能性までを見据えて提案・施工を行っています。「庭の草抜きが大変だからとコンクリートを全面に打つのではなく、一部を砂利にしておけば後から使い方を変えられます。そういう提案を喜んでくださる方が多いんです」と笑顔がこぼれます。
小さな会社だからこそ、一つひとつの現場に真心を込めて向き合う。その姿勢こそが、中川組の信頼の原点ですね。
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