
丹波市氷上町に、朝6時30分から営業しているラーメン店があります。店主の久下智之さんが切り盛りするカウンター8席だけの店「麺屋とも」では、魚介出汁の旨みを引き出した、あっさり系中華そばが評判です。じんわり広がる出汁の香りに、やさしい口当たりのスープ、するりと喉を通る細麺。その一体感は、朝食としても心地よく、朝早くから仕事に行く人にも重宝されています。
朝から食べたい、やさしい味わいの中華そば

「麺屋とも」の看板メニューの中華そばは、魚介の旨みを生かしたスープが特徴です。じっくりとった魚介の出汁に煮干し油を合わせ、関東系のしょうゆ返しは控えめ。出汁がきいているから、全体的にまろやかな味わいに仕上がっており、やさしい口当たりで、すっと身体に染み入る感覚です。

麺は細めで、するりと食べやすいうえ、スープとの相性も良く、全体のバランスが整っています。トッピングのチャーシュー、味玉、味付けメンマなども自家製で、一つひとつ丁寧に仕込まれています。

中華そば
朝6時30分頃から営業しているため、仕事前に立ち寄る人、家族で休日の朝に訪れる人など、朝ならではの利用客もいます。朝メニューは中華そばのみですが、売り切れなしなので、「どうしても“とも”の中華そばが食べたい!」という人にはおすすめです。

台湾まぜそば
もう一つの定番メニュー「台湾まぜそば」は、パンチのある味わい。

泡ラーメン
さらに、月に1回程度登場するメニュー「泡ラーメン」は、豚骨と鶏と魚介出汁のトリプルスープを泡立てることで濃厚な旨みがありながら口当たりは軽やか。クリーミーな泡が麺に絡んで抜群のおいしさです。泡ラーメンのほかに限定メニューが出る日もあるのでInstagramでのチェックがおすすめです。ごはんやチャーシュー丼などのサイドメニューもあり、ガッツリ食べたい人にも満足感大!
■メニュー
・中華そば(チャーシュー、メンマ、のり) 1,000円
・朝のしんぷる中華 800円
・台湾まぜそば 1,000円
・泡らーめん 並1,100円、大盛1,200円
・ごはん 並盛200円、大盛300円
・ミニチャーシュー丼 400円
名古屋で磨いた腕を地元丹波で活かす

店主の久下さんは丹波市出身。名古屋のラーメン店で8年間、都市部ならではのスピード感のある現場で経験を積んできました。名古屋駅近くの11席だけの店舗は、昼になると多くのサラリーマンが訪れて短時間で食事を済ませるため、回転の速さが求められる毎日だったそうです。

人気エリアでの営業は学ぶことも多かった一方で、効率重視の空気に違和感もありました。その後、勤務先が入っていたビルの建て替えが決まったタイミングで丹波へUターン。就職も考えないわけではありませんでしたが、自分の理想を形にしたいという思いが強まり、丹波市商工会の創業支援も活用しながら独立へと進みました。

店を開いたのは、名古屋時代から帰省のたびに気になっていた場所でした。交通量があり、自然と人の目に入る立地。周囲には飲食店も並び、「この場所なら地域の流れの中に自然に溶け込める」と感じていたそうです。そうして2025年(令和7)11月、「麺屋とも」は静かにオープンしました。あえて大きな看板は出さず、Instagramと口コミを中心に広がっていったスタートに、経験を積んだ久下さんらしい堅実さが感じられますね。
ラーメンを食べて、ほっとする時間を届けたい

店に入ってまず感じたのは、シンプルで明るいカフェ風の内装。さらにカウンターだけとはいえ空間が広々ととってあることです。椅子も大きめで隣との間隔もゆったりしています。「急いで食べて出るのではなく、カウンターでもゆっくり食べられる場所にしたい」という久下さんの思いが込められています。

人気店になると、回転率を上げようとしがちですが、久下さんは無理な拡大を目指してはいません。一人で始めた店だからこそ、提供できる杯数を見極めながら、品質を守り、お客さんに心地よく過ごしてもらうことを優先したいからです。SNSでその日の提供数を案内しているのも、丁寧な営業姿勢の一つですね。

また、地元食材への思いも強く、お米は近隣農家から仕入れ、野菜もできる限り地域のものを使用。今後はさらに地元生産者との連携を深めたいそうです。地域にある良いものを、ラーメンという親しみやすい形で届ける。そんな未来像も楽しみです。
普段それほど頻繁にはラーメンを食べない私ですが、「麺屋とも」の中華そばは、あっさりしながら出汁の旨みが感じられ、また行きたい店リストに入りました。子どもから年配の方まで幅広い世代に愛される味、昼は売り切れ御免の日があるのも納得の一軒です。
<注意事項>
- 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
