「古民家和韓旬菜料理 きりん亭」は、水別れ公園のすぐ近くにある、古民家を改装したカフェレストランです。美しく整えられた庭を見ながら、広々とした室内でゆっくりとおいしい料理を食べる時間は格別。家族で切り盛りするアットホームな雰囲気と和韓旬菜という、このエリアではめずらしいジャンルで、2023年(令和5)3月のオープン以来、じわじわとファンを増やしています。
生産、調理ともに家族で手作り
重厚な造りの建物は築70年ほどだそうですが、とてもきれいに改修されています。
お店は川本さんが店主で、妹の石川さんとお母さんが料理を担当。お父さんが自家農園で野菜や果物を作っており、お店で使う食材はお父さん手作りの野菜が中心です。
「この家は本当に大切にきれいに保存されていました」と川本さん。改装の際に、室内の壁は川本さんたちのご主人方が塗装するなど自分たちでも手を入れましたが、できるだけ昔ながらの雰囲気を残すよう心がけたそうです。
広い玄関に靴を脱いで上がると、田の字型に配置された部屋。昔のこのあたりの農家のつくりそのまま、ふすまや障子を取り払った広いスペースにテーブル席が配置されています。
野菜たっぷり、ヘルシーなランチ
料理は、和食と韓国料理の両方を取り合わせたメニュー。誰にでも食べやすいように、野菜たっぷりでやさしい味が中心です。
「きりん亭御膳」スイーツ付き2,800円
ランチは野菜たっぷりの「きりん亭御膳」がおすすめ。いくつもの料理が並ぶ韓国の韓定食のように副菜がたっぷりで、酢の物や煮物などの和食2品と韓国料理がトレイで登場。この日の和食はポテトサラダとピーマンの和え物でした。ワカメスープ、冷奴には手作りの薬味しょうゆ、旨みがあふれ出るスルメ和え、カクテキ、3種のナムルに水キムチ・・・味のバリエーションが豊富で、それぞれの味をゆっくり楽しめます。
ごま油の風味が香る甘めのチャプチェ。韓国料理といえば焼き肉やキムチの辛そうなイメージがありますが、韓国で食べる韓定食は、さまざまな野菜を使ったバラエティに富んだ味。「丹波の人に、食べやすくておいしい料理を食べてほしい」と、韓国の調味料を使いつつ全体的にやさしい味に仕上げています。
御膳には蒸し豚も付いており、辛味味噌とキムチとともにチシャで包んで食べます。食欲が刺激されるピリ辛風味がたまりません。
早朝から畑に出て収穫。その野菜を見てメニューを決めて11時に開店するため、とれたての新鮮な野菜がテーブルに並びます。同じ野菜がたくさんとれた時でも1野菜1メニューにして、調理法や味付けを変えているそう。地元氷上産のコシヒカリのごはんも美味しくて、ゆっくり味わいながら完食しました。
デザートは豆乳ゼリーに自家製柚子ジャムをトッピング。
デザートの代わりに季節のパフェとコーヒーがついた、きりん亭御膳は2,800円です。この日のパフェは自家製のベリーが入っていました。子ども向けには、「お子様ランチ」がジュース付きで1,000円です。
おやつもディナーもゆっくり味わえる
「季節のくだものと豆腐シフォンケーキセット」2,000円
おやつタイムのメニューに自宅でとれた果物を使うことも。「自分たちが食べたいものを作っている感じです」と川本さん。季節のくだものと豆腐シフォンケーキは、豆腐と豆乳のシフォンケーキが隠れるくらい果物がたくさん。この果物は10種類以上あって15種類になる日もあるとか。
「フルーツサイダー」600円
フルーツのビネガー漬けも自家製。これを炭酸で割ると甘酸っぱいさわやかな味になります。訪れた時は、ブラックベリーの実がごろんと入っていました。
「ヤンニョンチキン」1300円。甘辛い味で小学生でもぺろりと食べる人気メニュー
夜はプルコギ、ハラミ、海鮮ユッケ、ケジャンなどの単品メニューが中心です。 コースは仕込みに時間がかかるものがあるので、前日までに要予約。小さいサイズでいろんな料理が出るので、楽しみもひとしおです(「夜のコース(9品)」4,000円)。気にいった味を次に来た時に単品メニューで頼むのもよさそう。
古民家の雰囲気に癒やされて
広い駐車場に車を停めてすぐに目にとびこんでくるのが、美しく整えられた庭の木々です。前の持ち主がきれいに手入れをしていた庭は、そのまま同じ庭師に管理してもらっています。最初にこの庭を作ったのは、今の庭師のおじいさんだそうで技術が受け継がれていることも素晴らしいですね。
いつの時代のものかわかりませんが、水屋や引き出し付き長火鉢も、もともとこの家で使われていたもので趣があります。
かつて酒屋だった時代もあったようで、お酒にちなんだ、ちょっとユーモラスな絵が掲げられていました。
緑あふれる庭をながめながら、一人でゆっくり食事をしたり、グループでおしゃべりしたり、リラックスしてすごせる家族経営のお店。リピーターが増えているのは満足度が高い証拠ですね。観光に来たからと立ち寄る人、きりん亭に食べに来たから観光していくという人、さまざまなお客さんがやってくるお店です。
<注意事項>
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