住宅や店舗などのバリアフリー対策は、日々進歩していますが、住まいからどこかへ出かける際の移動手段はどうでしょうか?車椅子利用者が出かける場合は、専門のタクシーを予約することになりますが、介護保険を使うなら事前手続きが必要です。元気な頃は、自分で運転して自由に好きなところに出かけていたのに、とストレスを感じてしまいがち。そんなハンディキャップを解消する車両を提供する「合同会社 NEXT(ネクスト)」(以下、NEXT)が、2024年(令和6)12月、氷上町に誕生しました。
福祉車両って?
“福祉車両”という言葉は、「聞いたことがあるものの、具体的にはどういった車両なの?」という方が少なくはないのではないでしょうか。福祉車両は、身体に不自由を感じている方や高齢の方が、安心して乗車したり、運転出来るように、一般の車両に工夫が施された車両のことです。
福祉車両は2つのタイプがあります。1つは、車両の乗り降りをサポートする「介護車」で、介護される人、介護する人の両方にやさしい車両です。
ハンドルグリップ
もう1つは、手足が不自由でも運転できる「自操車」で、身体の状況に応じた装備を備えた車両です。
自宅に「介護車」や「自操車」があれば、気軽な移動が叶います。これらの車両を提供するのが、福祉車両を専門に取り扱う「NEXT」です。「NEXT」では、福祉車両の新車・中古車の取り扱いをはじめ、今乗っている愛車を福祉車両へ改造するのも可能なんです。
NEXTで叶うこと
車椅子のままで乗り降りOK!
スロープタイプ
車椅子に座ったままで乗り降りができる車両には、スロープタイプやリフトタイプ、シート着脱タイプがあります。
後部座席を倒すと車椅子を牽引するフックが出てくる
例えば、スロープタイプは、操作一つで車内から車椅子を引っ張ってくれるので、介助する人より体が大きい人が車椅子に乗っていてもまったく問題ありません。車椅子を使用しない場合は、シートを通常の位置に戻して一般車両として使うことができます。
シートへの乗り降りを楽に!
シート回転タイプ
車椅子を使うほどではないけれど、足の上げ下ろしなどが思うようにできなくてシートに乗り込むのが困難な人には、シート回転タイプや助手席昇降タイプ、後席昇降タイプを利用すれば楽に車両へ乗り降りができます。
自分で運転ができる!
手動運転装置
身体に不自由な部分があっても自分で運転ができる「自操車」には、補助装置が付いています。手だけで運転ができる「手動装置」や足だけで運転ができる「足動装置」などです。その人に合ったきめ細やかな改造で、諦めかけていた運転が可能になります。
アクセルとブレーキの踏み間違いもカバー!
しばしばニュースなどで見かける「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故。年齢を問わずドキッとしたことがある人は少なくないのではないでしょうか?車が日々の生活の足になっている場合は、そんな不安を抱えつつもハンドルを握らざるを得ません。ペダルの踏み間違いによる急発進を抑制する装置を後付けするなどの改造も可能です。
「NEXT」は足となる車両の提案をすることで、介助される人、介助する人の負担を軽減し、誰もが前向きに楽しく生活できる社会を応援しています。
自身の経験に導かれ
「NEXT」の展示車があるのは、北近畿豊岡自動車道と交差する国道175号線沿いの「株式会社 ジョイランド」内です。今回お話を伺った取締役会長の池田佳之さんは、2017年(平成29)に大腸がんを患い、翌年には肝臓への転移がわかり、余命宣告を受けました。それからは、抗がん剤治療や食事療法などを継続しながら、毎日40分のウォーキングも続けています。不安や絶望感に襲われながらも、ブログで闘病日記を公開したり、食事療法の情報提供を続けながら仕事に復帰したりと前向きに行動する日々。そんな中、闘病は自分だけでなく、家族の負担も非常に大きいことを痛感されました。「がん闘病中でも、仕事ができることや普通の生活ができることに感謝の気持ちが深くなりました」と、いわれています。
福祉車両の前に立つ池田さん
「交通の便が良くないところに住むとマイカーを利用・運転するのは日常生活の一部。何らかの理由でそれが出来なくなるのは、不便なだけでなく、心理的にも辛くなります。福祉車両は介護施設などが利用するだけの車両ではありません。一般の車両と同様に日常生活に取り入れて、家族で楽しく過ごせるお手伝いが出来ればと思います」と、池田さん。
現在も治療を継続中と話された池田さんに、がんとの闘いについて伺うと「闘ってはいません。食事で体質を改善して、がんと仲良く付き合っています」と、明るい声が返ってきました。
福祉車両を気軽に見学や相談が出来るだけでなく、メンテナンスも充実している「NEXT」。マイカーについて、自身や家族に不安を感じたら、一度訪ねてみてはいかがでしょう。じっくりと相談できる、事前予約がおすすめです。
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