丹波のお店とお客さんをつなぐ架け橋 にじいろタブレット

遊び心たっぷり!くつろぎのそば屋でほっこり

手打そば木琴

6~7年前の開業当初は、木曜と金曜だけオープンしていたので、店名は「木琴(もっきん)」。10時53分から15時33分という営業時間一つとっても、個性的なお店であることは想像できます。丹波の名店「そばんち」の元店主が営むユニークなそば屋を紹介します。

お店作りはすべて良い加減

「何でこの営業時間なんですか」と、店主のベンちゃんこと佐藤勉さんに聞いてみると、「良い加減にやっているという意味。早く来ても準備ができていれば大丈夫だし、11時過ぎに来てもらってもやってないときもある。22時ごろまでやっているときもあるしね」とのお答え。なんともユニークです。
今から20年前の2005年(平成17)にオープンした「そばんち」は言わずと知れた丹波の手打そばの有名店です。ベンちゃんは「そばんち」の店主でした。「そばんちが有名になりすぎて遊べなくなった。だから、そばんちは弟子に任せてここを遊び場にしようと思って6~7年前にオープンしたんです」と話します。そばんちで一番お客さんが少ないのが、木曜と金曜だったので、その曜日に開いて「木琴(もっきん)」という店名にしました。

御年82歳のベンちゃんは、東京生まれの東北育ち。製紙会社の社員として移住し福知山工場の立ち上げに関わり、定年まで勤め上げました。
「定年退職した後、何して遊ぼうかと考えたところ、そば打ちにいきついた。そば打ちは世の中に顔を出していくための手段なんです」。そんな遊び心から始まったそば打ちは、遊びの粋にとどまらないレベルになり、そば屋を育てるそば屋になったのです。

そばを打つベンちゃん。この日は二八そばを20食打ちました

ベンちゃんは、丹波の蕎麦の名店が名を連ねる「奥丹波蕎麦街道」の発起人です。自らはじめた「そばんち」はその草分け的なお店。「そばんち」を譲った弟子も含め、ベンちゃんファミリーの店舗は、兵庫県内にとどまらず、徳島、和歌山など8軒に及ぶというから驚きです。

 設備は自らの手でリノベーション

木琴が置かれ子どもたちが喜ぶスペースも

「木琴」の店内は、木の温かみが伝わるようなほっこりする空間です。元カフェだった建物を借りた当初は、雑然としていたそうですが、少しずつ手を入れていろいろな遊びが楽しめるスペースへとリノベーションをしてきました。

お風呂

サウナ

店の内装・外装やテーブル、カウンターは手作りです。お風呂やサウナも自家製というからびっくりです。「誰が入るんですか」とお聞きすると「誰が入ってもいいんだよ」と。おおらかです。

図書館

図書館もあります。誰がどんな本を持ち込んでもよくて、気に入ったら持って帰るのも自由。もちろん出入りも自由で、かなりフリーダムです。

手打そば体験場

そば屋らしい施設もありますよ。「手打そば体験場」です。要予約で体験することもできます。

厳選した材料を使って丁寧に手作り

それではいよいよ実食タイムです。壁に貼られたメニューがズラリ。いろいろあってなかなか選べません。「これでも減らしたんだよ」とベンちゃん。一番人気の「2-8ランチ」をオーダーしました。

「2-8ランチ」1,200円

「2-8ランチ」は、二八そばとそばがきのセット。ベンちゃんが打った二八そばは風味豊かでとてもきれい。こしがあってキレもあります。そばがきもおいしくてトッピングの山椒との相性も抜群です。本わさび(100円)はオプションです。
この日の二八そばは、常陸秋そばの種をまいて、多可町で栽培してもらっている木琴オリジナルのそば。そばの実を乾燥してそば粉屋に搬入し、そこで皮だけ剥いた粉を納品してもらって使っているそう。
山の芋は地元産、卵も地元産で飼料は使わず平飼いの鶏が産んだものを使っています。
また器は主に、移住してきた陶芸家・山口匡弘さんの作品です。

「石臼挽き珈琲」500円

「石臼挽き珈琲」も人気です。ベンちゃん手作りの石臼のミルで、マイルドな豆と苦みがあるけどすっきりしている豆をブレンドして、その人に合わせて出しているとか。

「木琴の味」「そばんちの味」(各190ml)各700円、「木琴の味」(500ml)1,200円

人気の万能調味料も販売しています。「そばんちの味」は濃口醤油ベースで、「木琴の味」は薄口しょうゆベースです。そばやうどんなど麺類のつゆはもちろん、たまごかけごはんや炒め物、お刺身、肉類の漬け置きだれなどにもおすすめです。

 いろいろなイベント開催やFMで情報発信も

ベンちゃんの似顔絵が描かれたお皿

土・日曜に完全予約制で、「ベンちゃんおまかせコース」を提供することもあります。内容は、そば4種類と酒のつまみ。先日の「おまかせコース」は、そば4種類、新作のウニそばがき、マグロの漬け刺身、漬けささみ焼きなど。「時間のある限り、月に2~3回はしたいですね」と意欲的。
また年2回は、このスペースを使って音楽をする人などを応援する「村の音楽会」を開催したり、「FM805たんば」で「あほなそばやとイカレタ仲間」という番組を発信したり。
この店はべンちゃんを通じた交流の場となっています。移住者の方はもちろん、移住を検討している方も、ベンちゃんを頼って店に訪れます。「ここはお客さんも含めて遊ぶための場所です。外で飲み会やって、スタッフがまず楽しまなくては」と。ベンちゃんの遊び心は尽きることなく、次の遊び場づくりに余念がありません。

 

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