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創業200年の老舗がうなぎ店へ!パリパリの皮とふくふくの身に秘伝のたれが絡む

うなぎ辻判

1819年(文政2)、丹波市春日町に創業した「割烹辻判」が、2021年(令和3)7月に「うなぎ辻判」として一大リニューアル。うなぎに特化してから約4年、京阪神から多くの人が足を運ぶ人気店になりました。人気の秘密は、ここでしか食べられないパリパリふっくらのうなぎ! リニューアルの経緯やおいしさのもとを探ってきました。

コロナ禍での苦境を乗り越え、うなぎ専門へ

「うなぎ辻判」があるのは、丹波市春日町国領。国領はかつて大阪―丹後方面の交通の要であり、西国巡礼街道の要衝として栄えた場所です。お店の近くには竹田川に掛かる「巡礼橋」もあり、古来の風情が今も確かに息づいています。

江戸時代の文政2年に旅館業としてはじまり、さまざまな旅人や軍人の休息の場所として愛された辻判。「割烹辻判」と名前を変えてからも、国領ならではのゆったりとした雰囲気の中で丹波市・丹波篠山市の豊かな幸が存分に楽しめると、地元の人を中心に長年愛されてきました。

「うなぎ辻判」を支える面々

そんな辻判、そして多くの飲食店に降りかかったのが、2020年(令和2)春から世界に蔓延し、猛威を振るった新型コロナウイルスです。
街から人がいなくなり、会食の自粛が叫ばれ、さまざまなお店が経営難に陥った2020年、辻判もまた厳しい日々を過ごしていたと若女将の上田裕美さんは振り返ります。

若女将の上田裕美さん

上田さん自身は辻判の娘として生まれ、将来店を継ぐことを想定し、サービス業の専門学校に通って一流ホテルの和食店で長年接客業に勤しんでいた人物。「200年続けている飲食店は、丹波市はもちろん関西でもそう多くはありません。ここで閉めてしまうのはもったいない、なんとか続けられる方法はないかと、もともと知り合いだった市島製パン研究所の三澤さんにも相談していた中で、懐石料理の最後にお出ししていたうなぎに特化してはどうか、というアイデアが出てきたんです」(上田さん)。

懐石料理をひと通り食べた後でもうなぎ丼をぺろりと平らげるお客さんが多く、とても好評だったことに改めて思い至ったのです。幸い、うなぎのたれは辻判の秘伝で、継ぎ足し継ぎ足し使い続けられてきたものがありました。

さらに、うなぎの扱い方だけであれば飲食店経験の少ない夫の隆さんも学ぶことができ、事業承継も可能です。「これしかない!」と、割烹からのリニューアルを決意したのでした。

皮目はパリパリ身はふっくら、ここにしかないうなぎ

やるからには辻判でしか食べられないうなぎを提供せねば、と試行錯誤の日々が始まります。これまで提供していたうなぎ丼をベースに、よりおいしいと納得できる味や食感を追求していきました。中でもこだわったのはうなぎの食感です。

うなぎは、蒸してから焼き上げる関東風と、蒸さずに焼きのみで仕上げる関西風の2つの焼きのスタイルがあります。関西のお店でも関東風で焼き上げる場合がありますが、辻判では直火のみで焼き上げる関西風を採用。加熱はコンロではなく備長炭の炭火を使用し、香ばしい香りと高温ならではの独特のパリッと感を演出します。

「それまでは炭火を扱ったことがあまりなかったので、経験豊富な父(料理長)も最初はうまくいかなくて。とにかく火加減が難しいんです。焼いては違う、焼いては違うを繰り返して、ようやく理想の食感に仕上がったときは、本当にうれしかった」(上田さん)。

「うな重」 半尾〜二尾までサイズ展開

辻判のうなぎは皮目がパリッパリで、包丁でカットするとパリッと音が響くほど。そんなパリッとした外側と浜名湖産のうなぎならではのふっくらとした身に、秘伝の甘辛だれと備長炭の香りも加わることで、ほかではなかなか食べられない食感・香り・味わいへ仕上げています。

リニューアルオープン以降、「こんなおいしいうなぎは初めて食べた」と絶賛の声が続々と届くように。割烹時代とは客層もがらりと変わり、丹波市からはもちろん京阪神ほか西日本各地からわざわざ訪れるお客さんもいるほどです。

「SNSやGoogle Mapで知って来てくださる方がどんどん増えていきました。『福井県までうなぎを食べに行っていたけど、これからは辻判に食べに来るわ』だったり、『ここのうなぎを食べるためだけに丹波に来ました』だったりと、うれしいお声もたくさんいただいています」(上田さん)。

個室で食べられるのもうれしいポイント

うなぎのおいしさに加え、長年続くお店だけあって年月を経た重厚な雰囲気の中で食事が楽しめるのも辻判の特別なところです。今では少なくなった絨毯敷の廊下を進み、個室へと案内されます。

昭和初期のような設えがそのまま残った個室は、なんとも風情たっぷり。2名など少人数であっても、空いていれば個室へと通されゆっくり食事が楽しめます。

小さな子どものいるファミリーには、お世話のしやすい座敷もありがたいです。

リニューアル当時は2階の個室のみでしたが、階段を上がるのが難しいご高齢の方や、大人数での会食の需要もあり、1階に新しく大広間も設けました。風情たっぷりの2階とは打って変わって、和モダンテイストの1階大広間もスタイリッシュで居心地抜群です。

コロナ禍で一時は廃業まで考えていた辻判が、うなぎの道を追求しうなぎと向き合い続けた結果、今では連日予約の絶えない人気店へ。特にこれからの時期、最盛期となる夏に向けてすでに毎日多くの予約が入っているそうで「本当によかった。ありがたい限り」と上田さんはホッと胸を撫で下ろします。

ちなみにリニューアルを機にYouTubeチャンネルもスタート! うなぎの魅力を伝えつつ“歌うま若女将”として歌唱も披露するなど、幅広い活動が見られます。また「市島製パン研究所」の三澤氏と一緒に丹波市のコミュニティラジオ『巨匠と(若)女将の食べるラジオ』のパーソナリティも務め、丹波のおいしい情報も広く発信中です。
「他店舗とのコラボもしてみたいし、丹波市をもっと盛り上げていけたら」と笑う上田さん。その多彩な活動から目が離せません!

 

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