
京都・祇園のお茶屋をルーツに、140年以上受け継がれてきたぬか床の味が、丹波の地で新たな歩みを進めています。それが、つむぎ株式会社の「ぬかの花」。伝統と発酵の知恵を大切にしながら、現代の暮らしに寄り添うかたちに進化しました。手間がかかるというイメージをくつがえし、気軽に始められる同社のぬか漬けの魅力を伺いました。
京都から丹波へ受け継いでいく味

宮階葉月社長(右)とスタッフ
つむぎ株式会社のぬか床のルーツは、京都・祇園のお茶屋「あさゆき」にありました。かつて祇園では夜通し遊んだ旦那衆が、お茶屋で朝ごはんを食べるのが粋とされていました。「あさゆき」でも同様に、夜明けに出されるお茶漬けが常連さんの楽しみで、そこに添えられていた、女将手製の「おつけもん」が評判だったそうです。そのぬか床こそが、つむぎの原点。140年以上にわたって受け継がれてきた、まさに秘伝のぬか床なのです。

料理屋から大きく舵を切ったのは、代表の宮階葉月さんの父、眞一さんでした。京都大学で発酵学を専攻し、45年間京料理に向き合ってきた眞一さんは、料理人としての経験と学問としての発酵の知識を融合させたのです。料理店で裏メニューとして提供していた自家製ぬか漬けが常連客に好評で、その味をより多くの人に届けたいという思いが、誰でも扱いやすいぬか床の開発へとつながっていきました。

熟成中のぬか床
そして現在、工房は京都から丹波へ移り、新しい環境で製造が始まっています。移転に先立ち、葉月さんは約4年前に丹波へ移住。2025年(令和7)12月、京都と丹波の二拠点体制を見直し、工房を一本化する決断に至りました。丹波は湿気が比較的少なく、ぬか床の管理に適した環境だったことも理由の一つでした。

専用の保管庫で熟成中
オリジナル無農薬ぬか床「ぬかの花」の強み

ぬかの花
オリジナルぬか床は、眞一さんが経営していた店の屋号、「祇園ばんや」として、通販で展開しています。最大の特徴は、「届いてすぐに漬けられる」こと。14種類の素材を合わせ、半年以上熟成発酵させてあるため、一からぬか床を育てる手間がなく、野菜を用意すればすぐに自家製ぬか漬けを楽しめるのです。

無農薬のぬかを使用
原材料のぬかは、無農薬栽培米のものを使用しています。そのため、ぬかを洗い流さずそのまま食べることもでき、調味料として料理にも活用できます。また、しっかり発酵した乳酸菌の力で良い状態を保ちやすく、管理もとてもラクなのです。夏場は冷蔵庫で保管し、1週間に1回ほど混ぜるのが目安とされています。この「続けやすさ」はとても重要。「ぬか床は上手に付き合えば10年、50年、100年と使い続けることができ、自分の家の味に育っていきます」と葉月さんの言葉が力強く響きました。

専用補充ぬか「ぬかの素」
漬け続けているうちに水分が出てきたら、販売されている「足しぬか」を加えて調整すればOK。これも、ぬかと香味素材を組み合わせてあるため、味の調整がしやすいのです。
ぬか漬け作りを気軽に楽しむ

ぬかの花を使ったぬか漬け作りは、とてもシンプルです。発酵済みのぬか床が届いたら、きゅうりやにんじん、大根など、身近な野菜を用意し、洗って水気をしっかりふき取ります。大きいものは適宜切って、ぬか床に入れてしっかり埋め、あとは保存するだけでOK。

同梱されている冊子には漬け方が丁寧にまとめられており、初めてでも安心して始められます。保管は、夏場は冷蔵庫、それ以外は冷暗所が基本。きゅうりは約12時間、にんじんは24時間、ナスは48時間といった漬け時間の目安も記載されているので、浅漬けからしっかりした味わいまで、好みに合わせて調整できます。さらに、豆腐や卵黄を漬けるアレンジも紹介されており、少し慣れてきたら挑戦してみたくなります。

ぬかの花には、カツオや昆布の旨み素材に加え、柑橘やトマト粉末などの香味素材がブレンドされています。そのため、ぬか漬けとしてだけでなく、調味料としても幅広く活躍します。唐揚げの下味やドレッシングに使ったり、お好み焼きに少し加えてコクを出したりと、日々の料理に自然に取り入れられるのが魅力です。肉にもみ込むとやわらかくなり、スープに加えると深みが増すなど、使い方の幅が広いのも特徴。食物繊維が豊富なぬかは、健康づくりにも生かせそうです。

注文はネットと電話のどちらにも対応しており、詳しい作り方は公式サイトのQ&Aや動画で確認できます。また、ぬか床の状態や使い方について不安があれば、スタッフに相談できる体制も整っています。サポートがあるのは、初心者にとって本当に心強いですね。
商品例
【ぬかの花スタートセット(容器、足しぬか付き)】
・小(1~2名用)5,680円
・中(3~4名用)8,175円
【ぬかの花】
・1袋(900g、メール便)2,829円
・2袋(900g✕2、宅配便)5,086円
【ぬか発酵食品「醸(かもす)」】
・醸お試しパック(200g、メール便)2,235円

「醸」は乳酸菌、酵母菌、食物繊維、ギャバ、各種ビタミンなどが豊富な超発酵の玄米ぬか食品。牛乳に入れたり、お吸い物にしたり、毎日スプーン1杯を目安に食べるものです。

今後は、丹波産の無農薬のぬかを使いたいと、地域の農家とのつながりを深めていく考えです。さらに、料理人への提案を進めて、ぬか床の新しい可能性も広げていきたいそう。また、高齢者には懐かしさを、子どもたちには発酵の楽しさを届けたいという思いから、介護施設や子ども向け施設での活用など、社会福祉活動にも取り組みたいと、夢はどんどん広がります。
取材した私自身、腸活や発酵食への関心が高まる中で、ぬか漬けを手作りしてみたいという思いがありました。でも、毎日混ぜる手間や管理の難しさを想像して、なかなか一歩を踏み出せずにいました。そんな中で出会った「ぬかの花」。初めて漬けて、半日ほどでおいしいきゅうりのぬか漬けができあがり、その手軽さに驚きました。今ではナスやプチトマト、大根など、さまざまな野菜のぬか漬けを楽しんでいます。気負わず続けられること、そして日々の食卓に発酵の恵みを取り入れられることが、暮らし自然に馴染んでいます。
<注意事項>
- 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
