
丹波市青垣町に拠点を構える株式会社アピックは、半世紀以上にわたり、この地でポリプロピレン(PP)製品の製造を続けてきました。テープやロープといった定番製品に加え、現在はオリジナルの「PPムシロ」を軸に新たな市場開拓を進めています。社長の篠田浩志さんに工場を案内してもらって話をうかがいました。
半世紀の実績と安定した供給力

株式会社アピックの創業は1969年(昭和44)。以来57年にわたって青垣町でポリプロピレン製のテープやロープ、紐などを製造してきました。私たちが普段何げなく使っている荷造りひもや紙袋の持ち手など、ここで作られた製品が商社や卸を通じて全国に供給されています。

創業当時、青垣地域では農閑期の副業としてこういったものづくりを支える家庭が多かったそうです。製造機械1台を自宅に置き、家内工業的に仕事をしていました。アピックはそういった地元の協力者にも支えられて事業を展開。安定した品質と供給体制を築いてきました。

工場では、原料のPPペレットから製品化までの工程が一貫して管理されており、無駄を出さない運用と安定した品質管理が徹底されています。受け入れから成形、加工、巻き取りまでを自社でコントロールすることで、生産のばらつきを抑え、継続的な供給を実現しています。
さらに、顧客の仕様に応じた長さや太さへの対応、巻き直しなどにも柔軟に対応できる体制が整っており、納期や仕様調整のしやすさは卸や商社にとって大きな利点です。安定供給とカスタマイズ性を両立できる点で、実務面でも信頼して任せられるパートナーになり得ます。

コロナ禍では紙袋需要の激減という事態に直面しましたが、2020年(令和2)のM&Aにより、神戸を拠点とするアマデラスグループの一員となり、体制を強化。人材の拡充や原材料調達の見直しを進めることで、生産・供給の安定性を一層高めています。こうした基盤強化は、継続的な取引を重視する商社・卸にとっても信頼できる要素となっています。
新しい商材「PPムシロ」の強み

現在、アピックが注力しているのが、ポリプロピレン製の「PPムシロ」です。従来の稲わら製ムシロに比べて、安価で安定供給が可能。その用途は多岐にわたります。

北海道などの寒冷地では樹木保護(こも巻き)、丹波市や高知県では収穫物の天日干し、羅臼漁業協同組合では昆布の天日干し資材として指定採用されています。さらに長野県の寒冷地でのコンクリート養生など土木分野でも実績を作っており、まだ知られていない分、今後の展開が期待できる製品です。

「PPムシロ」の利点として、わらくずが出ないということがあげられます。そのうえ軽量で扱いやすいため、作業効率の向上につながったという現場の声も。耐久性も高く、繰り返しの使用にも対応しやすい点は、コストパフォーマンスの高さとして評価されています。

さらに、従来の50枚単位の業務用に加え、購入者の利便性を考えて個包装の「あぴっくん」(1m✕1.8m)も販売。提案の幅も広がりました。この分野の競合は少なく、新たな商材として魅力的です。
幅広い製造対応力

PPペレット
工場で、米粒くらいの大きさのPPペレットを溶かし、シート状に成形し、テープやロープへと加工していく一連の工程を見学しました。「われわれにとって、材料はお米と同じ。一粒も無駄にしないという心意気で大切に扱っています」と篠田社長。

PPペレットを溶かして加工

テープが形作られていく
テープからロープへの加工、指定長さへのカット、巻き直しといった工程を組み合わせることで、顧客仕様に応じた製品提供が可能です。外注先との連携も含めた柔軟な生産体制により、大量ロットから細かな仕様対応までカバーしています。


色展開も柔軟で、顔料を混ぜることで多様なカラーに対応可能。紙袋の持ち手など、用途に応じた色指定にも対応できるため、OEM的なニーズにも応えられます。

長年使われてきた機械を活かし、新たな設備を加えて、効率的な生産を実現しており、安定供給とコストバランスの両立につながっています。

今後の展開を見越して、環境配慮型の製品づくりにも力を入れています。リサイクルPPの使用割合を増やし、環境負荷の低い製品へのシフトを段階的に進めていく方針です。これはコスト対策としてだけでなく、取引先企業の環境対応ニーズにも応えられるものです。
現在は、商社や卸を中心とした新規取引先の開拓を積極的に進めており、特に「PPムシロ」を軸とした販路拡大に注力しています。長年の製造実績による信頼性、競合の少ない差別化商材、そして柔軟な供給体制。この3点がそろっていることは、仕入れ先を検討する企業にとって大きな魅力です。安定供給と利益確保の両立を目指す商社や卸にとって、アピックは有力なパートナー候補になると感じました。
<注意事項>
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