丹波のお店とお客さんをつなぐ架け橋 にじいろタブレット

丹波栗と地元素材の魅力を余すことなく味わえる農園カフェ

ひろちゃん栗園 農Cafe

丹波市氷上町にある「ひろちゃん栗園 農Cafe」は、自家農園の丹波栗や地元素材を使った料理とスイーツを楽しめるカフェ&直売所です。カフェでは、自社グループで育てたお米や牛肉、規格外の野菜、そして丹波栗を食べて育った豚肉(丹波栗きん豚)を用いるなど、地域の恵みを余すことなく活かしたメニューを提供。栗を使ったスイーツが一年中楽しめますが、特に秋は、収穫して糖度が増すまで熟成させたとびきり美味しい栗を求めて、多くのリピーターが直売所を訪れます。

愛情込めて育てた栗を、より美味しく消費者へ

国道175号沿いにある「ひろちゃん栗園 農Cafe」は、2020年(令和2)に、かつてタバコや駄菓子などを売っていた空き店舗を購入・改装してオープンしました。代表の山本浩子さんは、未経験ながら義父が残した栗畑を受け継ぎ、栗剪定士の資格を取り、「丹波栗の価値をもっと高めたい」と、女性生産者を中心とした「丹波栗っこ会」を設立したバイタリティあふれる女性です。

「栗の木を育てるのは子育てと同じ」と言う山本さん。虫に食われた幹の穴をきれいに掃除し、雨水が入らないように丁寧に手当てをすると、木は自ら傷を修復して元気を取り戻すそうです。愛情をかけて育てれば毎年豊かな実りをもたらしてくれるからと、きめ細やかに世話をしています。

「ひろちゃん栗園」では、収穫した栗をすぐに販売するのではなく、一定期間低温で熟成させて甘みと旨みをさらに引き出し、「熟成栗」として提供しています。例年10月頃に出荷が始まると、「栗本来の美味しさがある」と、全国のリピーターから予約が入ってきます。しかし、農業は自然が相手です。台風で栗が落ちて廃棄せざるを得なくなることもありました。そんな経験から、収穫前に不確実な約束はできないと誠実にお客様に伝えています。発送の際も事前に連絡して日程を調整するなど、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。

自家栽培の素材を活かしたランチ

同店は、山本さんのご主人が経営する林業や農業、畜産業を展開する「山茂」グループの一員として、自社農産物の加工や販売の役割を担っています。そのため、カフェで使うコシヒカリや野菜は農業部門が、牛肉は息子さんが担当する畜産部門が手掛けています。

ランチタイムの人気メニュー「ひろちゃんの牛すじカレー」(1,000円)には、畜産部門で育てた経産牛のすじ肉が使われています。規格外で販売できない大根を加工した自家製切り干し大根や、自家栽培の玉ねぎ、トマト、人参などの野菜をたっぷりと加え、じっくり煮込んでいます。ほどよいスパイス加減で、後から心地よい辛さが追いかけてくるオリジナルの味わいが幅広い年代層に人気です。

「焼き豚どん」(1,200円)は、規格外の丹波栗を食べて育った豚「丹波栗きん豚」の肉を使用しています。九州から取り寄せた甘口醤油と味噌をブレンドした特製のタレに漬け込み、じっくりと焼き上げた自家製焼き豚は、脂の甘みが際立ち、自家製コシヒカリのご飯との相性抜群です。

「ご当地赤鬼ラーメン」に裏ごしした栗ペーストを乗せて食べる「栗トッピングラーメン」という遊び心あるメニューも新登場。トマトや黒大豆味噌、酒粕を使ったマイルドなスープに、栗の甘みが不思議とマッチしています。

熟成栗の味わいを楽しむ手作りスイーツ

栗や地元の味覚を使ったスイーツも充実。「丹波三宝 和風パフェ」(880円)は、ソフトクリームに熟成栗の甘露煮、丹波大納言小豆の自家製あんこ、濃厚抹茶わらび餅、丹波黒豆きな粉をトッピングした贅沢な一品です。

「モンブラン」(1,280円)はお客さん自身がクリームを絞り出し、柚子ジュレをかけて仕上げる体験型のスイーツ。ケーキ類も無添加にこだわって手作りしています。

「アイス焼きいもブリュレ」(650円)は、細くて規格外になったサツマイモを薪ストーブで焼いて凍らせ、表面をブリュレしたスイーツです。

ほかにも栗が入った「栗づくしぜんざい」(950円)や各種スムージーなど、豊富なカフェメニューがそろっています。

店内は、昔の建物らしい立派な梁や土間を活かした空間に、知り合いの大工さんが廃材を再利用してくれた棚などを配置。薪ストーブのうしろのレンガは山本さん自らが積みました。冬には薪ストーブに山茂の林業部門から出た薪がくべられ、そのぬくもりが店内を包むと、さらに居心地のよい空間になります。

無駄を出さない知恵で循環型農業を実践

「ひろちゃん栗園 農Cafe」のモットーは、素材を無駄なく活かすということです。「丹波栗きん豚」の飼料になるのは虫食いや傷みで販売できない栗や、機械で皮を剥いた時に出る粉かい粉などです。
カフェにソフトクリームの機械を導入したのも、自社で生産した牛乳の廃棄を少しでも減らしたいという思いからで、パフェやスムージーにも活用しています。

店内で提供されている「黒豆茶」も、シワや割れで規格外となった黒豆を利用したものです。煮出し終わった後の豆は、コロッケやハンバーグの具材として混ぜ込んで栄養アップを図り無駄なく使い切っています。黒豆茶は自宅用に購入もできます。(500円)

新たな試みとして、自家栽培した酒米の「五百万石」を地元の山名酒造に委託醸造してオリジナルの地酒造りを進めています。昨年試験的に造ったお酒が好評だったため、今シーズンは酒販免許を取得して店頭販売する予定です。栗から始まり、野菜、肉、スイーツ、そしてお酒へと広がる「ひろちゃん栗園」の挑戦は、地域の特産品の可能性を大きく広げていきそうです。

カレーに切り干し大根を入れたり、黒豆茶を煮出した後の豆をハンバーグの具材にするというエコなアイデアは、自宅でもすぐに実行してみたくなりました。温かい雰囲気と心地よいもてなしで、また食べに来たくなるお店でした。熟成栗は地方発送も可能なので、栗好きな人への贈り物にも喜ばれますよ。

 

<注意事項>

  • 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。