資生堂の美容部員として勤務していた竹内沙弥香さんが、高齢者のための訪問美容サービス「SOUREI(ソウレイ)」をスタートして1年になります。体と心の状態をつぶさに見ながら、さまざまなコスメを使ってメイクを指導すると聞いて、どんなサービス? レッスンの様子は? など気になることを竹内さんに尋ねました。
健康で生き生きとした毎日へ誘う「メイク」
代表の竹内さん
竹内さんが「SOUREI(ソウレイ)」をスタートしたのは2023年(令和5)の夏です。資生堂の美容部員としてたくさんのお客さんと接する中で、高齢の方のメイクを担当することも多くあった竹内さん。一人ひとりに合ったメイクを提案することによって、見違えるように心身共に元気になる姿を何度も見てきたのだそう。
「メイクは外見を美しくしてくれるだけでなく、気持ちが明るくなったり、いい香りに癒やされたり、メイク道具を使うことで筋力が使えたりとさまざまなメリットがあります。高齢の方にこそ、心地よいメイクの時間が必要なのではないだろうか、そう思ってSOUREIを立ち上げることにしたんです」。
介護とは何かという知識を得るために、まずは半年間の「介護職員初任者研修」を修了。接し方や心構えなどをしっかり習得した上で「サービス介助士」の資格も取得して、準備を整えました。
使用するメイク道具は、竹内さんの馴染み深い資生堂のコスメに加え、「気に入っていただけたら、すぐに購入できるように」との思いで、ドラッグストアなどで手軽に揃えられるものもラインナップ。特別すぎない品揃えによって、「自分でもやってみたい」という気持ちを引き出します。
介護施設に訪問して行うメイクレッスン
「SOUREI」では、単に竹内さんがメイクをするのではなく、できるだけ高齢者さん自らの手によってメイクを完成するように指導しています。お顔に粉を塗布する動作ひとつとっても筋肉や脳が刺激されるほか、「自分で仕上げた」という達成感も得られやすいからです。
まずはカウンセリングシートを皆さんにお渡しするところからスタート。外出の頻度や化粧をする頻度、お顔のお手入れをする内容などを丁寧に聞き取って、その方の需要に合わせたメイク方法を思案します。
その後「今しているメイクを落としてみましょう!」と実際のレッスンに入っていきます。普段メイクをしない方でも面倒に感じないように、オールインワンのスキンケアコスメや手にフィットするリボン付きのパフを用意するなど、細かな部分にも配慮しています。
メイクはファンデーションからアイシャドウ、リップに至るまでフルメイクを指導。さまざまな色が並んだパレットは利用者さんからも大好評で、「キレイね〜」と笑顔が出ることも多いのだそう。
レッスンを経て完成したお顔は、血色がよくとっても朗らか! メイク後は竹内さんがスマートフォンで撮影し、LINE公式アカウントから送信してもらえるので、キレイなお顔の写真を無料で受け取ることもできます。家族に見せたり利用者さん同士で見せ合ったり、自分だけの密かな楽しみにしたりと、後々まで楽しみが広がるのはうれしいですね。
メイクが苦手な方にはネイルとハンドマッサージのレッスンも
普段あまりメイクをしない方に向けて、ハンドマッサージとネイルのレッスンも用意しています。クリームを使いながら手先をゆっくりマッサージすることで、血行がよくなりツヤツヤに! ネイルカラーもぐっと映えて、素敵な手元へと誘います。
こちらはネイルカラー後の手元写真。手の冷えをマッサージによってやわらげ、爪の割れや剥がれを予防するケアをした後、好きな色のネイルを使って仕上げていきます。手元はふとした時に目に入りやすいため、「見るたびに気分が上がる」と利用者さんからも評判です。
介護施設に訪問して美容レッスンを行うサービスのほか、個人宅へ訪問し、竹内さん自らがメイクやネイル+ハンドマッサージ、フェイスマッサージをするコースもあります。プロによるフルメイクが気軽に受けられるので、記念日など何か特別な日にぴったりですね。
メイクレッスンを受けた利用者さんからは「何年ぶりかにメイクができた。ありがとう!」と言ってもらえたり、介護職員さんから「この方がこんなに笑っているところを初めて見た」とびっくりされたりと、うれしい声も続々届いているのだそう。
「美容で、健康に過ごすためのお手伝いをさせていただきたい」と話す竹内さんの挑戦は、これからも続きます。
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