丹波のお店とお客さんをつなぐ架け橋 にじいろタブレット

古い倉庫を改装したおしゃれなカフェで過ごすひととき

カフェ やまんなか

2024年(令和6)5月、市島にある古民家ゲストハウス「やまんなか」のとなりに、「カフェ やまんなか」がオープンしました。夫婦2人で、ゲストハウスの運営をしながら古い倉庫を改装。内装工事や小物選びの様子など、開業までの準備をインスタグラムにアップしていました。それを見た人から、オープンを心待ちにする声も届いていたそうです。実は筆者もその一人。秋が深まる頃、山の中の小さな集落にぽつんとあるカフェを訪ねました。

オープン当日に開店告知

店主の柳川雅宏さんは、鉄と木で家具や雑貨を作るアーティストでもあります。もともと大阪にスタジオを持つカメラマンで、和室の撮影スタジオにしようと手に入れたのが、この家でした。そしてここにあった倉庫を改装したのが「カフェ やまんなか」です。DIYという言葉が流行る以前から「日曜大工」が趣味だったと言う柳川さん。解体する家からもらってきた建具などを内装に使って、古材ならではの味のあるお店が出来上がりました。

当初はカフェをするつもりではなく、自身の作品を展示するギャラリーにと考えていたそうです。5年ほど前から楽しみながら少しずつ内装を整えるうちに、奥様と一緒にカフェをすることに。「展示しようと思っていた作品は2階の隅に追いやられています」と言いながら、現在は2階をギャラリーにすべく準備中です。

市島ではゆっくりと流れる時間を大切にしたいから、オープンまでの期間もあせらずあわてず進め、オープン告知も、当日になってからインスタグラムで発表。初日のお客さんは身内のみでしたが、「そのくらいのスロースタートがいいんです」と柳川さん。

アンティーク家具やヴィンテージ食器にも趣を感じる

床や壁は、大阪のスタジオの内装材を取り外してリサイクルしたもの。窓枠やガラスも壊される古民家からもらってきたもの。棚に置かれているカメラは、知人の祖父が使っていたものを譲り受けました。

100年ほど前のオルガンは、古民家を持っているなら使ってほしいと、見知らぬ方からいただいたそうです。冬には薪ストーブに火が入って、やわらかな温もりが店内に満ちています。

鉄と木でできた椅子は、柳川さんの作品。

食器は、窯元でB級品を見つけたり、地方に出かけた際に掘り出し物を探したり、「これっ!」と気に入ったものに出会った時に買う主義。湯呑みやお皿など、揃ったデザインのものはないのですが、選ぶ目線が同じだから、なんとなくテイストが合っています。1970年代のカップなど、半世紀以上前のものの色使いがかわいらしいと、若い人の目をひくこともあるようです。

夫婦そろってバイクや車中泊が趣味という活動的なお二人。子どもさんが住む東京まで、あえて高速道路を使わず一般道を走り、車中泊をしながら2泊3日かけて旅を楽しんでいるそうです。20年近く前からのキャンパーで、車中泊用のハイエースも自分で改装して、とても快適に眠れるそう。日本海回りで金沢へ、内陸回りで岐阜から富士山、というようにルートを変えて思いつくままの旅路。いろんな街を見てまわる中で、器や小物との出会いを楽しんでいます。

ランチのメインは月替わりのソースがポイント

ランチは2種類で、Aランチが若鶏の唐揚げ、Bランチが黒豚ロースの重ねカツです。ソースは毎月月初に変わります。焼き野菜、フレッシュ野菜、豆腐の小鉢に、具だくさんの味噌汁付きです。

ランチの釜戸ごはんは、炊きあがるとすぐにテーブルに運ばれて、蒸らしている間に料理が配膳されます。野菜は主に地元のものを使い、端境期などで手に入らない場合でも国産にこだわります。

◎今月の釜戸ごはんA・B
・丹波米 0.8合 1,600円(税別)
・丹波米 1合  1,700円(税別)

コーヒー豆は滋賀県の「コーヒーロースト ボゴダ~bogota~」から取り寄せています。「いろいろ飲み比べた結果、一番おいしいと感じたから」と、主にエチオピアかペルー(オーガニック)の豆が中心です。訪れた日は、エチオピアの豆で、苦みはやわらかく香ばしさと旨味を強く感じました。
和紅茶やカフェラテも人気ですが、おすすめは山椒ラテ。和歌山のブドウ山椒の香りが良いと聞いて、二人でわざわざ現地まで買いに行ったそう。山椒の香りと刺激がたまりません。

暑い季節には、フルーツがたっぷり入ったひんやりスムージーやソーダですっきりと。地元産のブルーベリーがたっぷり入った「ブルーベリースムージー」は、ブルーベリーの濃厚な味が楽しめます

◎ドリンクメニュー(すべて税別)
・珈琲 500円
・和紅茶 400円
・カフェラテ 600円
・山椒ラテ 650円
・ブルーベリースムージー 700円

「カフェを始める前はケーキを作ろうとかいろいろ計画していたのですが、今のメニューだけでも大変なので、無理せずに自分たちのペースを守ろうと思うんです」と奥様。
柳川さんも、「カメラマン時代はとにかく忙しかったんです。それはそれで楽しかったけれど徹夜が続くこともありました。当時から、ここで家族とすごす週末がほっとできる時間でした」と、振り返ります。

「せわしなく仕事をするのではなく、気持ちにゆとりを持ってお客さんと向き合いたい、だからカフェの営業は平日のみ」と言うお二人。営業は不定期ですが、毎週金曜にインスタグラムで翌週の営業日を発表し、当日の朝はストーリーをアップすることにしています。

お二人のセンスが光るぬくもりのある空間で、レコードから流れる音楽を聴きながら、のんびり過ごす時間は絶好の癒しとなりました。わざわざ行く価値あり!のカフェです。

 

<注意事項>

  • 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。