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消防設備の設置と点検で、もしもの火災に備えを

西村商店

空気が乾燥する季節に、大きな火災のニュースを目にすることがあります。防災への意識が高まる中、火災への対応について柏原町にある西村商店で、消防設備点検資格者の国家資格を持つ荻野充央さんに話を伺いました。西村商店は、1957年(昭和32)から消火器販売と消防設備点検を行っている事業所です。

消防法に準じた消防用設備の設置が必要

「母の父、西村隆三が起こした事業を、代々西村家が引き継いでいます」という荻野さんは、創業者の外孫にあたり、尼崎で8年ほど消防設備点検の修業をして、2024年(令和6)6月に丹波に戻りました。そして、消防設備士の資格を持つ父と点検者資格を持つ母に消火器の販売を任せて、自身は主にマンションや飲食店・工場などの消防設備の点検業務を担当しています。

天井に取り付けた住宅用火災警報器

 住宅用火災警報器について聞いてみました。「住宅火災による死者は、就寝時間帯に多く発生しています。発見が遅くなって逃げ遅れが起こるからです」と荻野さん。そのため、消防法で「住宅用火災警報器」をすべての住宅、特に寝室を中心に設置することが義務付けられました。10年ほど前に設置した家庭から「『電池切れです』ってうるさいんですが…」と相談が増えており、その都度本体との取替をおすすめしているそうです。住宅用火災警報器のことなら、西村商店に相談すればよい方法を提案してもらえますよ。

業務用から住宅用消火器までを扱う

住宅火災の原因は、台所のコンロからの引火、寝たばこ、漏電などが多いようです。火が小さいうちに消すためには、設置している消火器の使い方を確認しておく必要があります。最近の住宅用消火器は、高齢者や女性でも簡単に取り扱えるように軽く、緑や白い色など、インテリアとしても違和感のないものが出ているので、台所などに置くといいそうです。
多くの人が出入りする防火対象物の飲食店や集会場、工場などは、法律や必要な設備が個人宅とは違うため、個別に相談することをおすすめします。

設置された消防用設備の点検を忘れないで!

消火器点検

消防設備を備えた防火対象物は、消防法で義務付けられた年2回の点検を怠ると法律違反になるだけでなく、もしもの時に大切な人の命を守れない場合もあります。

圧力漏れ(左)と正常圧力(右)

圧力が正常な場合は、指示圧力計の緑色の枠内に針があります。 

圧力不足の場合、針は緑の枠内にありません。

点検をせずに放っておくと、設備の経年劣化によって莫大な改修費がかかることもあります。荻野さんは「消防設備も人間と同じで、定期健康診断で早期発見・早期治療が必要不可欠です」と注意を促します。

誘導灯の点検

火災をキャッチしてベルを鳴らし、火事を通報してくれる自動火災報知設備の感知部分が故障していたら、正しく作動せず、逃げ遅れの原因になります。様々な不良個所や不良内容を早期に発見するのが、消防設備点検資格をもつ専門家による点検です。

自動火災報知設備の点検

「相談を受けたら、どんな設備があるか確認して見積書を作成、納得のいく説明をした上で点検に取りかかります」と荻野さん。内容と費用が先にわかれば依頼しやすいですね。協力店と連携して不良個所の改修工事もまるごと任せられるのも安心です。

消防訓練に参加してほしい

消火器の扱いに慣れている人は少ないと思いますが、扱い方を知っていても、いざという時に迅速に対応できるとは限りません。荻野さんは、「火事が発生したら、まず大声で『火事だー』と叫んで周囲に知らせてください。初期消火は大事ですが、炎が腰より高くなったら、すぐに逃げてください。一番怖いのは火災発生直後のパニックです。パニックになると人は予期せぬ行動をとってしまいます。避難方法を体で覚えるためにも、避難訓練に参加することは大切です。各自治会には消火栓と消火栓用ホースが設置されていますから、自治会で実施される放水訓練などにも積極的に参加してほしいですね」と言います。

防災のためにできること

個人住宅の火災の原因の多くは、天ぷらなどの調理中に油への引火、コンロの消し忘れ、石油・電気ストーブで乾燥中の洗濯物への引火など、日常のなにげないミスです。火を使っている時はその場を離れないなど、少し気をつければ防げますね。また、企業等では火災発生の原因はそれぞれに違います。「西村商店では、個人の住宅はもちろんのこと、企業の皆様に対しても責任をもってサポートしていきます」と、荻野さんは力強く語ってくれました。

点検業務は人命に関わるだけに、常に真剣勝負。気分転換に自身が描いた点描画が店内に飾られていました。「住宅用の白い消火器に絵を描いて、オリジナル製品として販売したい」と夢を話す荻野さん。かわいい消火器が部屋にあれば、防災意識も高まりそうですね。完成が楽しみです。

 

<注意事項>

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