救世主として生まれた「あだちのたこ焼き」。地元をキッチンカーで駆け回ります

あだちのたこ焼き

氷上町が拠点の「あだちのたこ焼き」。ふわトロでクリーミーといった絶妙の食感がくせになる味わいのたこ焼きです。あたりに漂ういい匂いにつられてキッチンカーへ向かうと、代表の足立遥紀さんが笑顔でお出迎え。止まらぬ手元では、熱々のたこ焼きがくるくると小気味よく回っています。「あだちのたこ焼き」だけでなく他のお仕事もされているという足立さんにお話しを伺いました。

コロナ禍からの展開

「あだちのたこ焼き」の母体である「足立産業株式会社」は、自動車部品を製造している企業です。長引くコロナ禍の煽りを受け、受注量が減る中、売り上げ補填のできる新規事業を模索。そんな時、足立さんが過去に大阪のたこ焼き居酒屋でアルバイトをしていたことが頭をよぎりました。その店のたこ焼きはとっても美味しく、お客さんにも大人気。丹波の方々にも、そんな美味しいたこ焼きを味わってもらえれば…と、足立産業社長であるお母さんに話し、快諾してもらったのが2022年(令和4)秋のこと。

そこからは、本業と並行して、レシピ作りの試行錯誤が始まります。納得いく味を出すためのレシピ作りはオープン直前まで続きました。並行して、イベントでも活躍できるキッチンカーの準備も進めます。キッチンカーとは縁もゆかりもなかった足立さんは、丹波市内の知り合いの建設会社に相談。「やったことはないが、やってみましょう」と引き受けてもらえました。食品を扱うのですから、車内の壁や床の素材なども厳しい条件が付いて回りますが、一つひとつ着実にクリアし、やがて営業許可申請がおりたのです。

キッチンカーで熱々をお届け

オープン前の告知は、足立さんデザインの案内はがきを近隣に配布!

構想から半年足らずの2023年(令和5)3月16日に足立産業株式会社の敷地内でオープン。JR福知山線石生駅から車で10分ほどです。

こちらでの営業は月・火・木・金曜の週4日間です。午前中は従来業務を行うので、たこ焼き販売は15時~18時の3時間。ご近所の方や、会社やお出掛け帰りに立ち寄ってくれるお客さんでにぎわいます。

定番の「ソース味」

「なるべく焼き立てを提供する」という足立さん。多い時は約70食を一人で焼き上げるというから驚きです。「お客様には、できるだけ、熱々出来立てを味わっていただきたい」と、状況を見極めながら焼くのですが、キッチンカーの前に複数駐車しているのを見て素通りされたり、「時間がかかるのなら、いいや」と去られるお客さんもいるそう。せっかく立ち寄っていただいたのに申し訳ないという想いから「公式LINEで30分前までにご予約いただければ、焼き立てをご用意します」とのこと。

公式LINE:https://page.line.me/228ibtgo

リピーターが多い「ねぎ塩味」

気になるたこ焼きの味は、甘辛いソースとまろやかなマヨネーズがマッチした「ソース味」、細かく砕いた甘めの岩塩に刻んだネギの辛味のバランスが絶妙の「ねぎ塩味」の2種類(いずれも8個入り400円)。

期間限定の「みぞれあんかけ」

また、12月から2月末まで期間限定の「みぞれあんかけ」(500円)は、たっぷりの大根おろしが入った出汁のきいたあんがかかったたこ焼き。寒い冬場にもってこいですね。

フットワークの良いキッチンカーで、水曜は出張販売を行っています。丹波の企業さんの敷地内で昼休みや業務終了後に販売します。事前に告知ポスターを張らせてもらって、企業の担当者さんの協力により予約をもらうことも。希望時間に希望個数で、熱々のたこ焼きをサービスしています。

基本、土・日曜は休みですが、イベントへの出店要請があれば、イベント規模の大小にかかわらず、どこへでも出かけていきます。2023年の秋は週末の休みが取れなかったほど、丹波各地を駆け回りました。「お客さまと会話を楽しみ、おいしい!と喜んでくれた笑顔に出会えるのが嬉しい」と、足立さん。

実はアーティストなんです

あだちのたこ焼きのキャラクターの個性的なデザインは、足立さん自身の手によるものです。もともと趣味で絵を描いていた足立さんは、コロナ禍の受注減少でプライベート時間に余裕が出たのをきっかけに、作品制作に拍車がかかります。2022年1月、様々な画材で描いた40~50点の作品を、奥様が経営されている美容室「nenne(ネンネ)」で展示会を開きました。好評で購入してくださるお客さんも。

そんな中、数々のメディアで取り上げられる地元の「市島製パン研究所」から「SNSで作品を見ました」と、ハンバーガーの包み紙のデザイン依頼が舞い込みます。
足立さんは、主役であるハンバーガーを引き立てられるよう、単色でシンプルでありながらも、「市島製パン」の名前をひそませるというデザインに仕上げました。

市島製パン研究所記事はこちら:https://tanba.or.jp/pickup_company/8085/

あだちのたこ焼き、足立産業という二刀流の合間を縫って、アーティスト活動も続ける足立さん。今後の更なる活躍が楽しみです。

 

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