1930年(昭和5)に「大島屋建具店」として創業した株式会社大島屋は、現在、自社製造の建具や家具の販売、襖(すふま)、障子、網戸の張り替えのほか、ガラスの入れ替えやアルミサッシの取り付けなどをおこなっています。住宅事情の変化で建具店が減少するなか、地元に根付いた長年の商売は、確かな技術と細やかなサービスで厚い信頼を寄せられています。
木製建具の技術は継承しつつも、アルミ製サッシへのリフォームにも商機を見出す
かつての日本家屋は、間取りや造りが概ね決まっていて、畳の部屋が田の字に配置された“四つ間つづき(四間取り)”が多く、ふすまや障子、葦戸などの建具は、あって当たり前のものでした。時代の流れとともに家づくりもガラリと変わり、「昔ながらの日本家屋はほとんど建ちません。建具屋も随分減りました。自社製造しているのは、市内ではごく少数です」と、三代目社長の代表取締役 大嶋隆太郎さんは話します。
一方で、昨今アルミ製サッシへの入れ替え依頼が増えているそう。昔からの木造住宅に住んでいる方のなかには、窓枠や雨戸、雨戸袋などが木製のままという家庭が多いのです。
特に高齢の方は、それらが老朽化したり隙間風が入って不快だったりして困っていますが、どこに頼んだらいいのか分からないという人もいます。
左)窓シャッター設置前、中央・右)窓シャッター設置後
襖(ふすま)や障子の張り替えやガラスの入れ替えの依頼があった際に、同社がアルミ製サッシの交換もやっていることを知って、オーダーされるケースも多いそう。
「一つひとつの仕事が、信頼につながっていきます。今後、アルミ製サッシの交換の事業をもっと知っていただけるように、力を入れていきたい」と、大嶋さんは考えています。
今のベストを続けて、求められる仕事を提供していく
同社には建具職人がいるため、工務店や一般のお客様からのオーダーに、迅速に対応することができ、建具の製造から現場での設置までワンストップで仕上げます。
さらに、建具店ではありますが、要望があればリフォーム案件も請け負うことが可能です。「お客様が持っている“なんとなく”のイメージを具現化するのが得意なんです」と、大嶋さん。
現在、約10名の従業員とともに商いをする大嶋さんですが、「社員・職人一人ひとりの能力を心から信頼しています。みんなのおかげで私も気持ちよく仕事をさせてもらっているので、本当に感謝しています」。風通しの良い社風が、お客さんへの良質な商品・サービスの提供につながっています。
時代が移るごとに、建具店に求められることも変わっていきます。「仕事が減ること自体はしょうがないと思っています。今できること、現状のベストを私たちは続けていくしかない。例えば木製サッシでお困りの高齢の方への仕事は、確実に社会貢献になると考えています。お役に立てることがあれば、躊躇なく実行していきたい」と、大嶋さんは熱く語りました。
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