柏原町に本社を構える東洋製材所。長年丹波市産木材の製材・販売を担ってきた同社で、ここ数年新たな事業が展開されています。専務の上田さんが中心となって手がけるログハウス&モバイルハウス事業について伺いました。
丹波産の木材を中心に扱う製材所
東洋製材所が創業したのは1904年(明治37)、柏原町でいちばん古株の製材所です。もともと大工だった初代が角材の販売をするようになり、徐々に規模を拡大。現在は専門業者への販売のほか、眠っている端材を一般向けに売り出す「木木市(もくもくいち)」も開催するなど、丹波産木材の良さを幅広い層に広めています。
そんな同社の4代目・専務の上田紗也さんがスタートさせたのが、丹波産木材を使って作り上げるログハウス事業です。
ドラマ『北の国から』の大ファンで、ログハウスに憧れていた上田さん。ログハウスに入ると心が落ち着き心地よくいられることもあって、日本のみならず海外のログハウスへも訪ね歩く日々がスタートします。いつしか「自分で作ってみたい」と考えるようになり、独学で勉強を開始。10年の構想を経て、2016年(平成28)に事業展開させました。
「ブランド名は3×3(サンカケルサン)。うちのログハウスは3坪でも建てられる小さな丸太小屋がベースです。木の良さを知っていただきたいという思いで、庭などにも気軽に建てられるお手軽さを叶えました」と上田さんは話します。
ログハウスを拝見します!
ではさっそく3×3のログハウスを見せていただきます!
ログハウスといえば、この三角屋根。朴訥とした雰囲気とかわいらしさを併せ持った、なんとも魅力ある外観です。地面に直接建てていない高床式の構造なので、多少の雨でも大丈夫なのもうれしいポイント。
中に入った瞬間に木のいい香りに包まれ、まるで森林浴の気分! 内部は柱や凹凸もないシンプルな空間なので、自分好みにアレンジできそうです。
中心に大きな釘を1本だけ通して
あとは丸太を組んでいく
金属製の釘の使用を最小限にとどめているので、サビなどによる劣化もしにくく、長く楽しめるのも魅力です。また普通の住宅と違って簡単に分解できるので、引っ越しなどの際にも便利。いったん分解して丸太の状態で新しい土地へ運び、約1日でログハウスへと組み立て直すことができます。
「大きな倉庫の中で作業できるので、丸太が雨にぬれたり泥で汚れたりせず、キレイな状態で仕上げられるのも特徴のひとつです。ログハウスのデザインも、施主さんの好みに合わせて自由に変えられるので、どんどん要望をお伝えいただければと思います」。
3坪から叶えられる小さなログハウスの夢。趣味を楽しむ場や子どもの遊び場、地域のコミュニティスペースなど、さまざまな活用方法が思い浮かびますね!
軽トラックで車中泊を叶える「モバイルハウス」
コロナ禍の影響を受け昨今高まってきたアウトドア需要。車中泊を楽しむ人も増加していますが、キャンピングカーを手に入れるのは金額的にも置き場所的にもハードルが高いと感じる人は多いはず。そこで注目を集めているのが、トラックの荷台に住居空間を積む「モバイルハウス」です。
上田さんは、そんなモバイルハウスを、なんと軽トラック(以下軽トラ)仕様で作成。対荷重などももちろんクリアした、とっても気軽な軽トラモバイルハウスです。
中に入ると、軽トラの荷台とは思えないほど広さを感じます。使う木材はすべて丹波産のもので、こちらも入った瞬間に木のいい香りが漂いました。
いちばん奥の小上がりになった部分は、運転席のちょうど真上。ちょっとした屋根裏スペースのような楽しみがあります。さらに、手前のテーブルを引き上げれば小上がりの部分とフラットになり、寝るスペースが確保できます。
入って右手側にあるベンチは、座面を開けると収納ボックスにも。たっぷり荷物も入れられるので、2、3泊ぐらいは問題なさそうです。
このモバイルハウスなら、趣味のアウトドアに使うだけでなく、移動販売や移動事務所などにも利用可能。軽トラだけ自分で用意すれば、約30万円(テーブルや窓などのオプションは含まない)〜という、手の届きやすい価格も魅力です。
「丹波産の木材はとても高品質。地元の木の良さを多くの人に知っていただくため、これからもさまざまな事業に取り組んでいきたいです」。
木材の新たな使い方に挑戦し続ける上田さんの思いが、丹波木材の健やかな未来へとつながっています。
<注意事項>
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