新規就農で市島に移住して野菜づくりに取り組む

味のる農園

市島町は有機の里として、たくさんの農作物が作られている町です。車が行き交う国道175号から県道283号に入ると、あたりは急に静かになり、五台山のふもとに田畑が広がるのどかな景色に変わります。教わった農道に入ると、ハウスの前で「味のる農園」の梅内稔さんが迎えてくれました。

新規就農への道

伊丹市出身の梅内さんがはじめて農業に従事したのは15年ほど前のこと。会社に属するより自分でやりたい、デスクワークより自然の中で好きな仕事をして、お客さんに喜んでもらいたい、そんな思いでこの道を選びました。

まず茨城県の日本農業実践学園に入学し、1年間農業実習で有機栽培のことを学びました。茨城県は言わずと知れた農業県で、2020年(令和2)の農業産出額は全国第3位でした。レンコン、ハクサイ、ピーマンなどの生産量が多く、果物も多く出荷されています。水戸市内原町の広大な畑は、関西で見かける畑とは広さ、土ともに大きく違います。

実習修業後は、茨城県だけでなく違った土地でも経験を積みたいと、鹿児島有機生産組合で1年間働きました。もちろん茨城県とは土も気温も作物も違い、発見ばかりだったそうです。もともと「自分の田畑を持ちたい」と考えて修業に出たので、ある程度学びを得たら兵庫に帰ることを視野に入れていました。

市島で有機栽培をスタート

念願だった有機栽培に取り組みたいと出会ったのが兵庫県有機農業研究会です。そして縁もゆかりもなかった市島町に来て1年間の研修を受けました。その時に出会った2人の師匠とのご縁から、市島町への移住を決意します。
梅内さんは、まず師匠の田んぼを手伝いながら、小さい畑を借りて独自の生産も始めました。平日は師匠の元で働き、土日は自分の畑を管理するという日々。「師匠には、この地での農業の方法を一から教わり、機械も借りて、本当にお世話になりました」と、今でもなにかあると相談しているそうです。独立した当初は約5反からスタート、現在は畑とハウスで様々な作物を作っています。

「農業は天候に左右されるため、なかなか計画通りにはいきません」と梅内さんが言うように、茨城県や鹿児島と比べても土の性質や日照時間、気温などがまったく異なります。雨のあとの土の乾きが遅かったり、作物にとって良い状態ばかりが続くわけではありません。田んぼだったところを畑に変えたときには、粘土質の土壌で、なかなかサラサラの土にならなかったことも。「農業は、やってみないとわからないことばかりです」と、チャレンジは続きます。

栽培期間中は農薬や化学肥料を使いません。「僕は、そうやって作った野菜が美味しいと思うんです。その野菜の持つ味をしっかりと感じられる、おいしい野菜を継続的に出荷していきたい」と、虫に負けない強い野菜づくり、端境期をできるだけ少なくしたいなど、試行錯誤しながら前に進んでいます。

少量多品種を栽培して出荷

梅内さんの野菜は、地元スーパーの地場産コーナーで販売されています。名前が表示されているので、見つけたらぜひ味わってみてください。
もう一つのルートとして行っているのが、個人向けの宅配です。その時季の畑の状況で、おいしく実った新鮮なものを箱に詰めて発送。価格や配達回数は依頼者と相談して決めます。箱の中身は、だいたい8品目からで、多い時は15品目くらいになるそう。「いろんな野菜をおいしい状態で食べてほしいので」と、品数が少なくなる端境期をできるだけ短期間にしたいという、先ほどのコメントとつながります。

個人への宅配は、関西だけでなく、中部や関東方面にも発送しています。ずっと継続している人が多いのは、中身が美味しくて充実しているからでしょう。5月頃はスナップエンドウ、そら豆、実エンドウ(久留米豊)など。夏はトマト、キューリ、ナス、ピーマン、オクラ、ズッキーニなどの夏野菜がたくさん。秋は夏からの流れでナス、ピーマン、オクラなど。10月になればサツマイモや黒枝豆、生姜など、冬は大根、人参、里芋、小カブ、ハクサイ、キャベツなど盛りだくさんです。

「お客さんが喜んでくれるので、定番の野菜の他にその時季のめずらしい、おもしろい野菜を入れたりしています。時にはフェンネルなどのハーブ、パクチーやビーツなんかも入れて喜ばれています。僕が作ったおいしい野菜をすぐに食べてもらえるように、畑に来てもらって自分で収穫したものを持ち帰ってもらうようなしくみも作りたいですね」と次の展開を思い描いているそうで、消費者としては、それもまた楽しみです。

 

【個人宅配】
発送はゆうパックで。箱のサイズは80または
野菜セットは1,500円から3,000円。季節によって価格は異なります。
※それぞれ別途要送料。3~5月中旬は休み
詳細は下記のメール又はファクシミリでお問い合わせください。
・Mail minoru0831@zf6.so-net.ne.jp
・Fax   0795-71-5108

 

<注意事項>

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