カナダから丹波市へと移住し、「ピエール・エ・オクスタット」を運営する三柳竜子さんとピエール・ジンマーマンさん。一つひとつ手作りの鍛造(たんぞう)製法ながら、実に滑らかな仕上がりのジュエリーを展開しています。世界的にも珍しいというこのスタイルのジュエリーについて、三柳さんにお話を伺いました。
カナダから丹波へ。柏原町の工房から生み出されるジュエリー
三柳さんとピエールさん
「ピエール・エ・オクスタット」の三柳さんは、京都のご出身。アクセサリー制作に心惹かれつつフランスの大学へと進学・卒業し、フランスに滞在していたときに鍛造製法の工房をカナダにて発見します。「この製法でこんなジュエリーが作れるなんて!」と衝撃を受けた三柳さんは、2010年(平成22)にその工房のあったカナダのケベック州ケベックシティへ。ジュエリー職人のミシェル・ジンマーマン氏に師事してこの道へと突き進むことになります。
兄弟子でもあったピエールさんとともに「ピエール・エ・オクスタット」を立ち上げたのは、2022年(令和4)のこと。ちなみに“オクスタット”とは、三柳さんのお名前「竜子」のローマ字を反対側から読んだものです!
カナダでしばらく活動したのち、日本に拠点を設けようと考えたおふたりは、ゆったりとした雰囲気で都市部へのアクセスがよいことを条件に移住先を探します。そんなときに見つかったのが、現在アトリエにしている物件でした。柏原駅から近くて雰囲気もよく、何より丹波のほどよくのどかな空気感が気に入って、ここをぜひ拠点にしたい!と、2023年(令和5)5月に移住をしました。
「ピエール・エ・オクスタット」が手がける鍛造製法とは
そんなおふたりのジュエリーがなぜ世界的にも珍しいのかというと、非常に繊細で難しい技術を駆使しているから。市場に流通するジュエリーの多くが、溶かした金属を型に流し込んで固める「鋳造(ちゅうぞう)製法」であるのに対し、おふたりが手がける「鍛造(たんぞう)製法」は叩いたり削ったりして形を作り上げていきます。
その上で一般的な鍛造製法は、叩く・削ることによる“手仕事感”を打ち出しているのに対し、おふたりの手がけるジュエリーは、あえて手仕事感をなくした均質な仕上がりを目指します。
「細かく何度も叩いたり削ったりすることで金属が鍛えられ、衝撃に強いジュエリーが出来上がります。細いリングなどは、鋳造製法だと数年で歪んでしまうことも多々ありますが、鍛造製法なら歪みにくく購入したときの状態を長く維持できます」と三柳さん。
例えばこのタツノオトシゴのチャーム。トンカチなどでトントン叩いたり、ヤスリで削ったりした様子がまるで見えず、滑らかかつフラットで、すっきり洗練された仕上がりです。
鍛造製法でこのような仕上がりを目指すジュエリーブランドは他になかなかなく、「同じジュエリー職人さんからも、なんて大変なことをやっているんだって驚かれます」と三柳さんは笑います。
「ピエール・エ・オクスタット」のジュエリーをご紹介!
型に流し込んで成形するのではなく、一つひとつ作り込んでいく鍛造製法だからこそ、デザインは無限大。今回は中でも人気なものをピックアップしてご紹介します。
ブレスレット
ブレスレット シルバー「Jaseron(ジャズロン)」124,500円
存在感のあるチェーンが印象的なブレスレット。チェーン一つひとつを手作業で均等に美しく仕上げていきます。気の遠くなるような作業を経て生み出されたこのブレスレットは、手首に巻いたときの美しさ、光が当たったときの輝き、シンプルな留め具のスタイリッシュさが際立ちます。
ピアス
ピアス シルバー「月と星」 29,800円
耳たぶを可愛らしく彩る小ぶりのピアスも人気のアイテムです。一つひとつ銀板から切り抜いて作られるので、若干の個体差も楽しめます。ピアスはほかに、動物モチーフや天然石をあしらったものなどさまざまなデザインがあります。
リング
「丸線リング」 シルバー 7,600円
直径2mmの丸線をつないで作ったシンプルなリング。叩いて削ったとは思えない滑らかな仕上がりに惚れ惚れします。男女ともに付けられ、重ね付けしてもすてきです。
ペンダントトップ
ペンダント トップ「百合の紋章“LA PAIX”」22,800円
カナダ・ケベック州のシンボルマークでもある百合の紋章をベースにデザインしたペンダントトップ。スターリングシルバーという素材から直接切り取って作っているため、2.1mmという厚さでもとても丈夫です。
シンプルなデザインから、装飾性の高い華やかなデザインまで幅広いラインナップも「ピエール・エ・オクスタット」の魅力。アトリエ兼ショップにはいろんなデザインが並んでいて、眺めているだけでうっとり楽しいです。
オーダーもOK。自分だけのジュエリーを手に入れよう
ショップの奥で作られるさまざまなジュエリー
素材はスターリングシルバー、18Kゴールド、プラチナ950のみを使用し、細いものでも抜群に硬く、金属ならではの美しい輝きを演出する「ピエール・エ・オクスタット」のジュエリー。
ショップにあるものをそのまま購入できるほか、デザイン一覧から選べるセミオーダーや、イチからデザインを相談できるフルオーダーも可能です。ネットショップもオープンしているので、まずは気軽にチェックしてみて。
ブレスレットは手首のサイズに合わせてチェーンの調節ができるので、できればアトリエでサイズを測ってもらい自分にぴったりのものをオーダーするのがおすすめです。長すぎたり短すぎたりしないちょうどよいサイズなら、美しさも段違いです!
「一般的なジュエリーと何がどう違うのかご理解いただくためにも、これまで以上に発信を大事にしていこうと考えています。SNSをはじめ、企画展に参加したり、アトリエにお越しいただいたお客様に丁寧にお伝えしたりと、さまざまな機会を活用していきたいです」(三柳さん)。
誰もが自由にお買い物できるショップ兼アトリエなので、ぜひ気軽に訪れてその美しさに触れてみてはいかがでしょう!
<注意事項>
- 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。