災害時に活躍する「暖かばんざい(あったかばんざい)」を開発

株式会社サンエー開発

1995年(平成7)1月、真冬に発生した阪神・淡路大震災。津波に襲われた2011年(平成23)の東日本大震災も3月のまだ寒い時期でした。ライフラインが止まった環境の中、被災者が真っ暗な避難所で寒さに震え、空腹に耐えていた様子を知って胸を痛めていた髙一夫さん。自身の事業を息子に譲って、青垣町でのんびり暮らすつもりが、「自分が取り組むのはコレだ」と研究を始めました。試行錯誤を繰り返し、実用新案もとった製品が「暖かばんざい」です。今秋の本格発売を目前に、ひと足先に拝見しました。

ライフラインが途絶えた際に、灯り、暖、調理に利用できるスグレモノ

石油ストーブの上に乗っているのが、新製品「暖かばんざい」です。一見しただけではなにをするものかわかりませんね。実はこれは、(一社)防災安全協会の「防災製品等推奨品」に認定されているポータブル型の石油ストーブに取り付け、その熱を利用して、灯り、暖、調理に利用できるものなのです。

このタイプの石油ストーブは、持ち運びできる上、灯油さえあれば安定して使うことができるため、防災品として見直されているのです。そういえば今ほどエアコンが普及していなかった頃、石油ストーブは一般家庭で多く使われており、ストーブの上にやかんを置いていた光景を思い出します。電気やガスが止まっても使える点はたしかに優れていますね。

災害用に作られた暖かばんざいはブリキでできた半缶で底に穴が開いています。これは、やかんや鍋を入れて調理する際に熱効率を上げるためです。

ストーブの上に置くだけだと落ちた時に危険なので、磁石で本体にくっつけて、複数のネジをドライバーでとめて、しっかりとストーブに固定します。

料理中にふきこぼれた時にストーブに影響が出ないように缶の中にアルミトレイを敷いてから鍋を入れます。アルミトレイは一般的なもので、サイズさえ合って深さのあるものならOK。火を入れてフタをして40分ほどで、100℃~140℃(雰囲気温度)になります。

普段使いできる家庭用も完成

髙さんは、いくつも試作を繰り返し、自宅のリビングで使い続けました。そして、災害時だけでなく、普段にも使える家庭用も同時に開発。家庭用は見た目や、より使いやすさを考えてステンレス製にして機能もアップしています。

缶の中にアルミトレイを敷くのは災害用と同じです。四角でも丸型でも、この缶の中に収まるサイズで深さがあるものならOKです。

網を入れて餅を焼けば、ふっくら香ばしい焼き餅ができます。

小窓を取り外せば取っ手のある鍋を使うこともできるし、網を使えば餅を焼くこともできます。また、取り外したフタを器具の横に設置できるので、置き台としても使えます。

試行錯誤から生まれた暖かばんざい

特注した8つの部品

最初はブリキの半缶を加工するところから始まり、缶にしてもネジにしても、どれがいいか購入して実験を重ねたそうです。倉庫にはその名残の部品が山ほど残っています。細かい分析を積み重ね、図面を起こして缶から作り、プレスにかけて穴を開け、実用新案を取るところまでこぎつけました。引退してのんびり過ごせばいいのに、という家族の声が聞こえても髙さんの信念は変わらず、本格的に取り組み始めてから気付けば5年。「他にない製品だからなかなか理解してもらえませんでした。でも自宅でも使って、その便利さを享受しています」と髙さん。なにより「災害時、被災者が少しでもよい状態で過ごせるように開発しました。災害用の備蓄品として行政などにも活用してほしい」という思いでいっぱいです。

宅地開発と販売も手掛けている髙さん。青垣町西芦田にある「クラインガルテン丹波ゆりの郷」がその場所で、事務所兼自宅も緑豊かなこの地に構えています。

ちなみにいくつかの区画はまだ販売中です。豊かな緑に囲まれた青垣で生まれた防災器具「暖かばんざい」の本格的な販売が楽しみです。

※ストーブは必ず防災製品等推奨品の認定を受けているもので、電源がいらないもの。一部取り付けられない形のストーブがあるので、必ず事前に確認してください。一般的なストーブ使用時の注意事項と同様に、小さい子どもが誤って触れないように柵などを設け、製品は熱くなるので必ず軍手をはめること等の注意点を確認してください。

 

<注意事項>

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