築200年のお屋敷でしっぽり、食事とカフェタイムを楽しむ

genten

江戸時代後期に建てられた2階建ての茅葺き民家は、200年もの歳月のあいだに幾度も手を入れられ、みごとな風格をたたえています。
ここに「genten」がオープンしたのは2008年(平成20)、レトロモダンなセンスのいい調度類と美味しい料理であっという間に人気店になりました。当時は、古民家を活用した店が今ほど多くなく、ある意味流行を先取りした店でもありました。コロナ禍で休業せざるをえなかった時期を経て再稼働したgentenのストーリーを、オーナーの蘆田祐二さんに伺いました。

国登録有形文化財「蘆田家住宅」をカフェに

gentenの建物、蘆田家住宅は、丹波市で第一号の国登録有形文化財です。そのルーツは戦国時代にさかのぼり、向かいの山の中腹にあった山城「小室城/東蘆田城」の城主で、明智光秀の丹波攻めによって落城。その後現在の場所に移り、江戸時代には養蚕農家で、庄屋も務めた家系だそうです。

歴史を刻んだ家ですが2000年代には空き家になり、身内の蘆田さんは手に負えないと一旦取り壊しを考えます。ところが、地域の人やまちづくり団体の熱い思いにふれて、保存を決意。
蘆田さんの妹さんが責任者として店を立ち上げました。人気店になったものの妹さんが結婚によって丹波を離れ、あとを受け継いだスタッフが運営するも、結婚とコロナ禍が重なり休業せざるをえない状況に。そして2年ぶりに、復活を決意した蘆田さんの会社が運営することになりました。

「genten」その変わらぬ魅力

設えの多くは2年前と変わっていません。玄関のくぐり戸を入ると土間があり、広い座敷にテーブルを配置、庭に面した縁側の席やテーブル席の個室もあります。

ふわふわ玉子のオムライス(1,100円)

ランチの定番人気は、オープン当初から変わらない、ふわふわ卵に自家製デミグラスソースがかかった「オムライス」。そして彩り野菜のココナッツカレー(1,100円)も再オープンを待ちかねた常連さんからのオーダーが続きます。

ライスコロッケ(600円)

ディナータイムは、食事メニューに加えて、馬刺し、生ハム盛り合わせ、合鴨ロースなど、お酒に合う一品料理も充実。同店の名物、ライスコロッケはホワイトソースとチーズが入って、とっても美味。

チューハイ、焼酎、日本酒、ウイスキーとアルコールメニューも豊富です。ふらっと訪ねての食事もOKですが、遠方からやってくる人は、予約がおすすめ。カップルや女子会、家族の食事など、素敵な雰囲気の店内でゆっくりと食事やお酒を味わえます。

ポニーと猫が出迎えてくれる

田畑が広がる集落の奥にあるため、初めて行く際は、どこに店があるのだろうと、ちょっと不安になるかもしれません。小さな看板を見つけたら敷地内に入り、立派なログハウスの前に車を停めて、ログハウスの左手を進みます。途中にオーナーのペットのポニーがいてびっくりしましたが、目が合うと静かに柵の近くまで寄ってきてくれました。

苔むす階段を上がると、広い庭と茅葺屋根のお屋敷に到着。まるで秘密の場所に行くような雰囲気です。

飼い猫のマツコちゃんはとても人懐っこくて、店に入るとすり寄ってきてくれました。2008年にオープンした時から代々猫がいるので、猫好きの人にとって来店の楽しみにもなっているようです。

敷地内の池にはザリガニが生息しており、玄関に置いてある竿と餌のスルメでザリガニ釣りができます。夏休み限定イベントでしたが、反響が大きくて秋まで延長。子ども以上に大人が張り切って釣っているそうです。

他にも夏の「はす祭り」は小学生のレンコン掘り体験、秋にはペットボトルのランタンで「あかり祭り」、早春には「節分草祭り」と、地域の人が参加できるイベントにも力を入れています。「取り壊そうとした時に、力を貸してくれた地域の仲間のためにも、新たな地域おこしの拠点になれば」と、蘆田さんの構想はさらに広がっています。

 

<注意事項>

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