結婚式の写真を中心に全国各地に写真撮影に出向く、FUJIWARA FILMSことふじわらやすしさん。長く大阪を拠点に活動していましたが、2024年(令和6)4月に丹波市へ移住。デジタルカメラとフィルムカメラの両方を使い分けながら、さまざまな雰囲気の写真を撮影しています。穏やかであたたかみのあるふじわらさんの写真をたっぷりご紹介しましょう。
デジタル写真もフィルム写真も撮り分けられる
写真家、ふじわらやすしさん
大学卒業後、フォトスタジオに勤務。さまざまなフォトグラファーのアシスタントを務め、写真を学んでいったふじわらさん。約6年間にわたる写真修行を経て、華やかな雰囲気からシックな仕上がりまであらゆる写真を撮り分けることが可能になりました。
例えば結婚式であれば、その人自身の魅力を活かす雰囲気のあるテイストに仕上げたり、料理写真であればシズル感が伝わるライティングに調節したりと、さまざまな要望に迅速に対応。クライアントの希望に縦横無尽に合わせられる腕前に、多彩な依頼が舞い込むようになりました。
フィルムカメラで撮影した写真
現在手がける撮影はほとんどデジタルカメラを使用しますが、フィルムカメラでの撮影も一部あります。デジタルカメラと違い、技術がなければ扱えないフィルムカメラ。無限にシャッターを切ることはできず現像にも繊細な技術を要する代わりに、独特の質感と味とが写真にしっかり込められ、“今この瞬間”を写し出します。
父の住まいであった丹波市へ移住
丹波市の自宅
幼少期に住んでいた丹波市に改めて戻ってきた理由は、土木設計士を営んでいたお父さんの最期の住まいがあったからです。長年お父さんが暮らしていた家を訪れ、遺したものを片付けながら、自然な流れでここに住んでみたいと思うようになったのだそう。
作業中のお父さん
「父は自宅に電気水道をあえて引いておらず、独自の暮らし方をしていた人でした。そんな父の大量の遺物を仕分けし、生きてきた証を改めて目の前にして、なんとも言えない気持ちになって。家の片付けを通して父が少し理解できるようになったのかなと感じています」。
日本全国を旅しながら家族写真を撮影
自身の家族の生き方に改めて触れ、理解し直していったふじわらさん。ライフワークにしている「家族写真/記念写真の撮影」は、そんな経験を経てさらに豊かになっているのかもしれません。
ふじわらさんが手がける家族写真/記念写真の特徴は、依頼者の自宅や近所に赴いて自然の姿を収めること。表情、色合い、距離感、そしてとびきりの笑顔がナチュラルに映し出された、あたたかな気持ちになるものばかりです。
「写真って後に残るじゃないですか。だからこそ、1枚の写真をきっかけに依頼者さんの家族にとっての思い出が作れればと思ったんです。プライベートの空間に僕が入っていけば、作られていないそのままの家族の姿を残せるなと考えました」。
そんなふじわらさんの家族写真/記念写真の数々、まずはご覧ください!
いかがでしょう。カメラの存在を感じさせない超自然体の写真や、カメラによる緊張感が絶妙な味となっている写真、“映え”ではないいつもの場所でのウェディング姿など、1枚1枚とても魅力的な写真ばかりです。
撮影時に心がけているのは、依頼者が話したいことをとことん話してもらうこと。被写体の呼吸に合わせ、リズムを区切らないようにすることで「その方の本当の姿が見えてくる」と話します。
ふじわらさんはこのプロジェクトを「旅する記念写真」と名付け、毎年夏の期間、日本全国を旅しながら撮影する日々を送っています。2024年には愛知、東京、神奈川、青森、奈良、宮崎などなど、日本列島を駆け巡ることになりました。なお料金はデジタルカメラ・フィルムカメラ合わせて100カット、撮影時間1時間で19,800円と、かなりリーズナブル。ちょっとした記念日にも気軽にお願いしやすいのがうれしいですね。
やりたいことはまだまだたくさんある
ふじわらさんが撮影したCDジャケット
「旅する記念写真」プロジェクトのほか、もともと依頼の多いウェディング撮影や、企業パンフレットなどのクライアントワークもこなします。仕事内容は多岐に渡りますが、一つひとつの仕事と真摯に向き合い、感性豊かな写真を撮り続けています。
自転車で走るふじわらさん
そんな多彩なふじわらさんに、今後チャレンジしてみたいことはありますか? と尋ねてみると「フィルム撮影のラボ」だと教えてくれました。
「これまで父や母、きょうだい、被写体の方々と撮影をしながらいろんな会話や対話をしてきました。そんな中で、会話や対話を通じて自分の中で凝り固まっていた相手のイメージが崩れ、新たな見方ができ、関係性が再構築できることに気づいたんです。だからこそ構想中のフィルム撮影のラボでは、会話しながら撮り合いっこをしてもらうことを想定しています。撮ったフィルムは自分でモノクロ現像までしてもらう。そのために今、丹波の家に暗室を作ろうとDIYで整えているところです。いつできるかは分かりませんが(笑)」。
ラボの完成を楽しみに待ちつつ、まずは何か記念に残しておきたいことがあればふじわらさんに撮影をお願いしたいところ。
表面的な美しさだけではない、その人自身が滑らかに溶け込む写真。数年後に笑ってその時の思い出が話せるように、今の家族のありのままを撮ってもらいたいたくなりました。
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