
兵庫県丹波市青垣町の豊かな自然に囲まれた「あまご村」は、一の瀬あまご養殖場の直営店として約38年にわたり川魚料理を提供しています。ここでは、生きのいいアマゴを使ったコース料理や、冬季限定のぼたん鍋など、四季折々の地元の味覚が楽しめます。初夏のひとときをあまご村で過ごして、その魅力を取材しました。
釣り好きの原点から地域唯一の養殖場へ

「あまご村」の始まりは、創業者が大の釣り好きだったいうことが理由の一つでした。創業当時は、旧氷上郡青垣町自体が養殖事業を行うなど、地域全体に盛んな産業でした。周辺には、アマゴの養殖を手掛ける業者が存在していたそうです。清らかな水がある自然環境がアマゴの生育に適していたのですが、近年は状況が変わっています。夏の気温上昇が著しく、水温が上がってアマゴがダメージを受けるようになってきたのです。現在も継続しているのはあまご村だけになりました。

あまご村では、注文が入ったその場で締めて調理します。鮮度を重視するための、この方法によって風味を引き出しています。
女将の朝倉育子さんに伺うと、初期の頃はおにぎりと塩焼きというシンプルな料理だったそうですが、わざわざ来られるお客様に色々な料理でアマゴの美味しさを味わってほしいと、少しずつ新しい料理を考案して、現在提供されている料理の形になったそうです。
鮮度を生かし様々な料理で味わうアマゴのコース

せっかく青垣に行くなら、ゆっくりいろんな味を楽しみたいですね。同店の看板メニューである「あまご満足膳コース」(5,060円)を紹介しましょう。

刺身は、20cm以上の大きめの個体でしか作ることができない一品で、完全予約制となっています。ほんのりピンクがかった身は、締めた直後はコリコリとした歯ごたえ、しばらく時間が経つと、ねっとり感のある歯触りへと変化するのが特徴。新鮮だからこその淡白な味わいが特徴です。

塩焼きは、じっくり炭火焼きにされています。餌切りをしているため、丸ごと美味しくいただけます。アマゴ自体、骨は柔らかいですが、焼き加減によって背骨まで柔らかく、頭からまるごと食べることができます。

唐揚げは、アマゴを背開きにして味付けて、カラッと揚げています。コースでは、三枚におろした際の中骨を揚げた「ほりほり」のから揚げも一緒に提供。カリッとした食感は、煎餅のようで子どもたちにも好評だとか。レモンをきゅっと絞れば、ビールのアテとしても抜群です。

小さめのアマゴは南蛮漬けに。甘露煮は、素焼きしたアマゴを甘辛く煮込んで山椒がピリッときいています。

食べすすめるうちに、釜めしが炊き上がります。お米一合分という一人用サイズで、アマゴの素焼き切り身、ごぼう、干し椎茸、にんじん、いんげん豆と具だくさん。秋には栗も加わるそうです。炊き上がりまで約30分、完全に火が消えてから5分ほど蒸らせば旨味がご飯全体に染み渡ります。フタを開けた瞬間に湯気とともに広がる香ばしい香りはたまりません。食べきれない場合は持ち帰り用のパックも用意されています。

コースにはこれらに加え、季節の小鉢が2〜3品と味噌汁が付きます。夏季の7月頃からは、味噌汁の代わりに冷たいだしにそうめんを入れた、冷やし椀が提供されます。
夏のつかみ取りと冬を彩る秘伝のぼたん鍋

あまご村では、お店の隣にある池で、ニジマス釣りとアマゴのつかみ取り体験ができます。水深は10cm程度と浅く、小さな子どもたちも安全に挑戦できる設計です。入場料は1人500円で、予約の際に予定の食数を伝えておきます。
※アマゴのつかみ取り期間:ゴールデンウィーク~9月末

捕まえた魚はその場で塩焼きや唐揚げに調理してもらい、「おにぎり」(198円)と一緒に食べる人が多いようです。捕まえられなくても単品注文で補えます。

冬場の楽しみは、期間限定メニューのぼたん鍋です(要予約。12月から3月まで)。猪肉に合わせる味噌だしは4種類の味噌をブレンドし、酒、砂糖、みりんを加えて煮詰めたもの。旨味を凝縮させた、少し甘めでコク深い味です。具材となる野菜の一部は自家栽培で、寒さで甘みを増した冬の野菜が贅沢に使われています。締めには猪肉や野菜の旨味が溶け出しただしの中にうどんを投入し、最後の一滴まで味わい尽くすことができます。この「ぼたん鍋セット」(6,160円)には、アマゴの塩焼きと小鉢3品も付いていて、さらに満足度が高まります。

店内には掘りごたつ席やテーブル席もあって、リラックスして過ごせます。また、お酒好きな方には単品の「骨酒」(1,100円)も見逃せません。炭火であぶり焼きしたアマゴに熱燗を注ぎかけることで、香ばしい香りが広がります。ドライバーを決めてゆっくり飲みましょう。

アマゴの甘露煮(1尾550円)はおみやげに
「夏の暑さや冬の雪など厳しい面もありますが、お客様が美味しいと喜んでくださる顔が何よりの励みです。これからも変わらずに美味しい料理を届けていきたいです」と語る朝倉さん。
清らかな水ときれいな空気に包まれたあまご村は、日常のあわただしさを忘れさせてくれる場所でした。夏に家族みんなでにぎやかにつかみ取りを楽しむのも、冬に温かいぼたん鍋を囲むのも、どちらも魅力的。四季を通じて温かいおもてなしに出合える店です。
<注意事項>
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