北近畿豊岡自動車道・氷上インターチェンジからすぐの場所にある「オフィスキムラ」は、丹波市を中心に様々な物件を扱う不動産オフィスです。早い時期からホームページに力を入れて田舎暮らしを全国にPR、Uターンだけでなく新規移住者へのアドバイスやフォローも含めて展開してきました。
田舎暮らしブームをチャンスととらえて
同社の創業は1998年(平成10)。現社長・木村裕輝さんの父が創業者です。まったく別の業界で安定した仕事に就いていた人が、不動産で丹波の役に立ちたいと44歳で退職し、同業者のもとで修業をして48歳で起業したのです。後発のスタートだから、従来の不動産業と違うことに挑戦できる、新しいことも取り入れたいと考え、今ほど普及していなかったホームページをつくります。さらに、ブームの兆しがあった「田舎ぐらし」をうたって全国紙や雑誌への情報発信に力を入れてきました。
豊富な物件情報
当初は手持ち物件も少なく大変だっただろうと想像できますが、地道に顧客を開拓してきました。大きく打って出たのは、田舎暮らしを考える人に向けて、山林分譲に着目したことです。当時の山林開発はほとんどが別荘地でしたが、そうではなく、定住できる分譲を目指して市島町内に作った17区画の分譲地はすぐに完売しました。2002年(平成14)にはこの分譲地だけの自治会も作って移住者が地元に馴染みやすいようにバックアップしました。
2003年から続けている移住者交流会
餅つきで盛り上がる交流会
オフィスキムラは、2003年(平成15)から、お客さんを対象に「里山人交流会」と称するイベントを開催して、移住者間のネットワークづくりを応援しています。参加するのは既に移住している人とこれから移住を考えている人。毎回50~80人が集まって、バーベキュー、ゲーム、ワークショップなどを一緒に楽しみます。コロナ禍で2020年は見送られましたが、毎年の恒例行事となっています。
毎年、参加を楽しみにしている人も多い
かつては移住を考える人は定年前後の人がほとんどでしたが、最近は若い人が増えています。インターネット環境の整備で地方でも仕事ができるようになったこと、ゆったりした環境で子育てをしたい人など、社会の状況が変わったこともありますが、丹波の人たちの受け入れ体制も変わってきました。積極的に声かけをしたり、共同作業の分担を軽くしたり…。多くの移住者が丹波に定着していることが、その関係性の良さを物語っています。
ITを使って合理化を進めた分、顧客サービスを
木村裕輝社長
木村さんが事業承継をしたのは2009年(平成21)。かつて父と一緒にシステム会社に依頼して作ったホームページからの集客、物件情報のデータベース化が功を奏して、業務の効率化が進んでいます。スタッフが煩雑な物件資料の整理に手をわずらわすことなく、情報を早く正確に顧客に伝えられるため、顧客サービスに集中できます。
コロナ禍の今は、特にこのシステムが効果を発揮しています。スマホでの見やすさを重視し、現地への案内も接触を避けるために現地集合するなど感染症対策にも力を入れています。
オフィスでもコロナ対策を実施
また、全国展開をするエイブルのFCに入っているのは丹波エリアで同社だけ。豊富な賃貸物件を扱えるメリット以上に「勉強会があるなど、顧客満足度を上げるための社員教育システムが魅力」と、木村さん。
「連絡をもらったら、物件だけでなく、地域環境も含めて情報を提供します。自治会長とおつなぎして地域のことを知ってもらったり。ここなら住みたいと判断してもらえたらうれしい」という木村さん。今後は、企業誘致も手掛けて、若い世代の雇用を確保して、丹波を活性化したいと夢はさらに広がります。
<注意事項>
- 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、店内でのマスク着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンス等に配慮しています。ご協力をお願いいたします。
- 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。