地元の良さを伝えたい! 滝と山を愛する登山ガイド

登山ガイド おタキ

ゴウゴウと迫力満点の音や、近づけば顔や手にかかる水飛沫、圧倒的な大きさなど、自然の息吹が感じられる滝。「登山ガイド おタキ」で登山ガイドを務める中辻郁美さんは、そんな滝に魅了されたひとりです。「自然の美しさをもっと身近に感じてほしい」と話す中辻さんに、その魅力を伺いました。

「子どもの頃は丹波が嫌いだったんです」

滝と山が大好きで、いろんな人に自然の楽しさを知ってもらいたいと「登山ガイド おタキ」を立ち上げた中辻さん。「滝や山に行くために生きています!」というほど自然が大好きですが、意外なことに子どもの頃はむしろ登山が嫌いで、丹波にもどこかコンプレックスを持っていました。

「丹波で生まれ育ちましたが、親が何気なく言った『丹波は何もない場所だ』という言葉が幼い記憶にずっと残っていて。その影響か、いつの間にか私自身も、ここはつまらないところ。いてもしょうがないんだと思うようになっていました。」。

進学をきっかけに当然のように都会へ出て地元には戻らないつもりでしたが、初めて外から見る丹波には、大事にしたいものが全部あったことに気付かされます。さらに、のちの恩師との出会いもあり、この人の元で働きたいと就職を期に丹波へ戻ることに決意したのです。
そんな中、ある時父親とともに養父市にある天滝(てんだき)に訪れたことが、現在の道へと進む転機となります。
「日本の滝100選にも選ばれる美しい滝なのですが、初めて目の前で天滝を見て、本当に心から感動しました」と当時の興奮が蘇ります。

迫力満点の天滝。落差はなんと98m!

これがきっかけで、日本の滝100選にすべてに行ってみようと決意。休日すべてを滝巡りにあて、約7年かけて100選を制覇しました。今までに訪れた滝はなんと1500箇所以上にものぼります。

さらに滝に行くためには山登りをする必要もあったため、登山にものめり込むように。苦手だった山が、「そこにいるだけで楽しい」というまでに変わっていったのです。

地元の人にこそ丹波のよさを知ってほしい

2022年(令和4)1月現在、丹波市で有資格者の登山ガイドは中辻さん1人。
滝巡りの企画を立ち上げたり、依頼のあった個人登山をガイドをしたりと少しずつ活動を始めています。

丹波市で活動する上で大切にしていることは、子どもたちにはここで生まれ育って良かった!と思いながら大きくなってほしいという思いです。
「それにはまず、大人が自然豊かなこの土地での暮らしを心から楽しむことが大切」と中辻さんは話します。

滝の前では子どもに返る

市外の人はもちろん、丹波市に住む人も参加したいと思えるような自然と遊べる企画や、アウトドアクッキング体験・登山教室なども開催する予定です。
また、滝のガイドも積極的にしていきたいと中辻さん。予約はFacebookなどのSNSから受け付けています。

自然の内部に触れてみよう

今後は森林セラピーの資格を取得し、幅広く自然の中でのアクティビティを提案していく予定。さらに、「滝の前で瞑想したり、山頂でプロが淹れるロイヤルミルクティを楽しんだりと、仲良くさせていただいている皆さんと一緒にさまざまなイベントを企画していきたいです」と、やりたいことは尽きません。

「先日、年上の男女グループの滝ガイドをさせていただきました。その日は落ち葉がたくさん積もっていたので、滝に行った後の休憩時間に思い切って『この中に潜ってみましょう!』と提案したんです。最初は『えっ!?』という反応だったのですが、1人の女性が『やってみようかな』と実際に潜ってくれ、『わあ、あったかい! 大人になって初めてこんなことをした! 楽しいね』って大笑いしてくれて。その後、つられてまた1人。それがとってもうれしくて、自然が人を元気にするパワーって凄い!と心から思いました。
そんな風に、背伸びせず今ある自然の価値を見いだすキッカケ作りがしたい。自分も自然の一部なんだと感じられるような視点でのガイドを、今後も提案していけたらと思っています」。

皆さんも、身近にあってつい忘れてしまいがちな自然の豊かさに今一度触れてみませんか?

 

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