カラダと心をつなぐインドの伝統的なヨーガを指導

トモ・ヨーガ

春日町棚原にある本上田邸(ほんうえだてい)は、1894年(明治27)に建てられた屋敷です。現在のオーナーの祖父の代まで住居として使われていましたが、長らく空き家になっていました。かつて庄屋や村長を務めた上田家の屋敷を地域の財産として活用したいというオーナーの意向で、地域の人にイベントなどで開放することを条件とした「住み開き」で賃貸に出されていました。その二代目として2012年(平成24)から住んでいるのが渡辺顕 (けん)さん、トモコさん夫妻です。二人は共にヨーガの指導者として、ここでヨーガ教室を開いています。

ヨーガに興味をもったのは10歳の頃

埼玉出身のトモコさんがヨーガを始めたのは10歳の頃。母が持っていたヨーガ入門の本にあった動物のポーズが面白くて、自己流で真似をしていたそうです。その本は、美大に入学して親元を離れた時も、自身のバイブルとして持っていったほど。顕さんと結婚して東京にいた頃、初めてヨーガ教室に行ったのが30歳の時。それまでずっと独学でヨーガを続けていたのです。初めて習った先生が、長年大切にしていた本の著者の弟子だったのは偶然でした。

東京時代の顕さんは旅行会社でハードな日々を送っていました。その時トモコさんがすすめたのは、「生命保険より健康のためのヨーガ」でした。ほどなく顕さんは会社を退職、そして東日本大震災で自宅が被災。
その時二人は、動ける時に行きたいところに行こう、とヨーガをインドで学ぶことを決めました。トモコさんはヨーガを本場で学びたいと考えていましたが、インドに渡った経験はありません。英語ができる顕さんと一緒に行けるのは、またとない機会だったのです。

夫婦でインドに渡って伝統的なヨーガを学ぶ

二人は、ヨーガの聖地、インド・リシケシュの「シバナンダアシュラム」で、ヒンドゥー教の経典やヨーガの思想を学び、さらにリシケシのまちのヨーガ指導者向けの教室で実技を習いました。ビザが半年できれるため、朝から晩まで必死で勉強したそうです。「インドに行って、日本で読んでいた経典の答え合わせができて、納得できました。インド思想ならではの価値観が私にはよかった。でも胃腸が弱くて、滞在中の3分の1はおなかの調子が悪かったんです。そんな時、たまたま宿に日本語の生理学の本があって体のしくみに興味をもちました」。これが、帰国したのちにトモコさんが鍼灸師の資格をとることにつながります。

顕さんはインドに行ってヨーガへの見方が変わりました。「それまでは健康のためのフィットネスでしたが、究極の引き算の思想だと気づきました。ヨーガの目的は自己開放です。人によって祈る、マントラ、瞑想など方法は違いますが、極めると、何もいらない、なくてもいい、ない方が幸せだと思えるようになって、満ち足りた気持ちで一生を終えることができるのです」。たしかに、人生に対する満足度というのは自分が決めるものですね。

庄屋屋敷の座敷で体験するヨーガ

古い屋敷はきれいにリノベーションされ、8畳の続きの間3室を使って、一人ひとり場所を広くとってヨーガを行います。縁側の向こうは広い庭、さわやかな風が座敷を通りぬけます。生徒さんは30代から70代と幅広く、男女を問いませんが、カラダの不調を自分で治そうとする人や前向きな人が多いそうです。「人は健康になると不安がなくなります」と顕さんが言うのはもっともです。でも、ヨーガってカラダがかたい私には無理、と正直に言うと、「無理なポーズをとるわけではありません。90分間、深呼吸をしながら、自分で自分をいたわるようなものです」と、思いがけない言葉。

「ヨーガは人に見せるものでも競うものでもありません。あくまで自分のためのもの。だから、まわりの人の動きを気にする必要はありません。カラダが緩むと気持ちもゆるみます。カラダと心をつなぐのが呼吸なんです」と説明を受けて、人生初のヨーガを体験させてもらいました。ポーズはひどいものだったと思いますが、先生は目を閉じていたし、他の方も自分のことに集中していたので、まわりを気にせず、あっという間の90分。終えたあとはカラダがぽかぽかして心地よくなっていました。

ヨーガ体験の終盤に顕さんが、「自分の内面に意識を向けると今の自分の状態がわかります。慣れてくると疲れる前に気づくし、無理しなくなります。ヨーガはありのままの状態を受け入れ、自分を知る時間」と言われたのが印象に残りました。
教室は1クラス6人制。8畳の部屋に2人ずつヨーガマットを敷きます。ヨーガマットは借りることもできます。本上田邸のほかに、青垣住民センター、無量寺、岩盤浴温森館、四季の森(丹波篠山市)でも開催中なので、教室のスケジュールはウエブサイトで確認してください。

参加費/初回無料、1回2,000円、回数券(4回、3カ月有効)5,000円 ※岩盤浴温森館以外で利用可
電話またはメールで要予約。

トモ・ヨーガのオリジナルグッズ

顕さんはデザイナー、トモコさんは版画家としても活躍中。オリジナルグッズも生徒さんたちに人気です。
くわしくはこちらから

 

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