「推拿（すいな）」とは、中国では鍼灸や漢方とあわせて三大医療のひとつとされる伝統医学。医療器具や薬などは使わず、人の手だけを使って体の不調を整える療法です。“あんま”の原型とされ、現在日本に存在するいろいろなマッサージ法の源流ではないかともいわれているそうです。「すいなリラクゼーションサロン」は、その手技を使った丹波市唯一のサロンです。
症状にあわせたツボを最適な力やスピードで施術
肩こりや腰痛、むくみ、生理痛など症状に合わせて、全身に巡るツボを押したり揉んだり、つまんだりして刺激し、痛みや緊張を和らげていきます。
同店のオーナーセラピストの松井千佳さんは、そのほかの効果として、「心と身体はつながっているので、推拿を受けたことで沈んだ気持ちが前向きになったという方もいらっしゃいます」と、話します。
同サロンでは、最初にしっかりとカウンセリングの時間を設けます。その際、カルテに書かれた内容だけではなく、会話の声量やトーン、スピード、まとう雰囲気もあわせて、その方の調子をはかります。「例えば、早く話す人は強い圧を求めていることが多く、逆にゆっくり話す人は、マッサージも優しくゆっくりと行うことが多いです」。その人の症状やタイプに合わせて、マッサージの強弱やスピードも変えていくそうです。
すいなプラスαでここでしか受けられないメニューを
同店にはいくつかの施術コースがあり、推拿を使ったものは現在2つ。基本コースの「すいなコース」と一番人気の「カッピングすいなコース」。後者は、すいなコースにカッピングをプラスしたもの。カッピングは吸玉とも呼ばれ、ガラス玉を皮膚に吸着させて血流を促し、筋肉の張りを和らげたり、自律神経を整えたりする効果が期待できる中国伝統医学療法のひとつです。一層リラックス効果も得られるそうです。
そして、じわじわ人気を集めているのが、それぞれのコースにオプションでプラスできる「腸もみ」。硬くなったおなかをゆっくりほぐし、老廃物を排出しやすい腸へと導きます。腸もみ単体のコースもありますが、推拿で体のベースを整えてから選択すると、より効果アップが期待できるかもしれませんね。
お客さんの症状や要望に合わせて「BIO STEAM」という、よもぎ蒸しの一種もコースに加わっています。よもぎ蒸しは、よもぎなどの野草を煎じた蒸気を下半身からあてる韓国古来の療法。「BIO STEAM」は、10種の野草と発酵エキスをあわせ、より日本人に合わせた進化版です。腸活や生理痛、痔などさまざまな症状に改善の効果が期待できるといわれています。こちらも、「推拿で体を整えた後、自分の状態に合わせて選んでほしい」と、松井さんは話します。
貪欲に学び、知識と経験をお客さんに還元したい
同店は、2019年（令和1）5月にオープン。もともと大阪の都心で生まれ育った松井さんは、10年ほどスキンケアメーカーに勤務していました。よりよい肌のためには体を整えることも大事だと気づき、学生時代に受けた推拿を思い出します。「施術を受けた後、体がすごく軽くなってすっきりして、しかも持続していたんです。そのときの心地よかった感覚を思い出して、推拿の資格を取ろう！と、スクールを探しました」。会社勤めをしながら休日に受講し、3,4年かけて卒業しました。
その頃、配偶者の希望もあって丹波への移住を決め、やがて退社。人の勧めでハピネスマーケットに数回出展して部分マッサージを提供したところ、大盛況。開業の覚悟が決まりました。「丹波の移住アドバイザーがとても良い方で。丹波の雰囲気にも感覚的にしっくり来て、丹波に決めたんです」。
推拿を身に付けた松井さんは、その後、腸もみやよもぎ蒸しの師匠にも習い、セラピストとして着実に知識と技術を積み重ねています。
さらに、「腸の大切さをもっと伝えたいと思って、夏の終わりくらいに“腸活講座”を開講しようと考えています」。目下、講師になるために勉強中とのこと。
「ゆくゆくは、“嗅覚反応分析”のインストラクター講座も開きたい」と、学びへの探求心は留まることを知りません。これは、嗅覚を使ってそのときの心や体の状態をはかり、その人に合った食事や運動法などを知ることで体質改善に導く手法。子どもやペットにも使えるそうです。
「例えば、家族間で“会話がかみ合わない”“相手の考えていることが分からない”と感じるようなとき、嗅覚反応分析をすると、相手がどういう状況で、今何が必要、不要かが分かり、対処法を知ることができるんです」。松井さんは嗅覚反応分析士の資格を取得しているので、気になる方は同店で体験することができます。
松井さんの師匠たちも、「みなさん、今でもずっと勉強し続けているんです。わたしも、必要だと思ったことは取り入れたい。一生勉強だなぁと思います」と、向上心が漲っています。
サロンのオープン以来、リピーターも増え続け、今ではなかなか予約が取れないことも。「リラックスのための空間なのに、せわしなく予約を取っていただいている場合もあって、心苦しいですが、“予約の日までの頑張るモチベーション”とおっしゃってくださる方も」いるそうです。すいなリラクゼーションは、体の調子を整えるだけではなく、丹波女子の癒しの空間にもなっています。
※男性は、松井さんの知り合いか顧客の紹介、顧客の家族であれば受け入れ可能。
＜注意事項＞
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