山を資源に!丹波の森林整備が実りある自然への第一歩

株式会社 森のわ

豊かな森林がある丹波市。しかし、その森林がほとんど“資源”として使われていないことについてご存知でしょうか。「株式会社森のわ」は、そんな丹波の森林を“資源”にすべく、地道に整備に取り組んでいる会社です。活動内容について、また整備することが未来にどうつながるかについて伺いました。

美しい自然、その裏にある危険

豊富な自然や森林は丹波市の魅力のひとつです。森林は市域の約75%にもあたり、“緑で覆われた自然豊かなまち”というイメージは他府県民からも持たれているのではないでしょうか。そんな丹波市の森林のうち、60%近くが人の手で作られた人工林です。

これは戦後、政府が行った「拡大造林政策」に由来します。里山の雑木林や天然林を伐採し、代わりにスギやヒノキなど成長の早い人工林に置き換えることで増える木材需要に対応しようとした政策で、丹波市にもどんどん人工林が増えていきました。しかし外国産の木材が安く輸入できるようになったことで国産木の需要が減少、徐々に丹波市をはじめ各地の林業が衰退していきます。それに伴って手入れもされなくなり、荒れた森林が目立つように。丹波市にも、そんなふうに放置された森林が実は多く潜んでいるのです。

株式会社 森のわ 代表・足立龍男さん

放置された森林は、本来の自然の機能を発揮することができません。密集して木が生える人工林は、太陽光が降り注ぎにくいため常に薄暗く、土壌からの栄養も届きにくいため、木が十分に成長できないからです。そんな現状をなんとか変えられないかと立ち上がったのが、森のわの代表・足立さんです。

間伐した木で説明する足立さん

「本来、山は河川を通じて海とつながっています。きちんと手入れされた豊かな森であれば栄養たっぷりの土が育ち、雨が降れば土を通して栄養を蓄えた水となり、海へ流れついて生き物を育てます。けれど整備されていなければ、木がしっかりと根を張れないので降った雨は、山の斜面でダラリと流れてしまう。大雨や地震の際に土砂崩れや地滑りなどが起こる原因にもなるのです」。

現状を変えるためには、今ある人工林をきちんと整備しなければなりません。森のわでは、山主の負担をなるべく少なくできるように森林整備を進めています。

森のわでの森林整備の様子

こちらは、山南町のとある人工林の写真です。今でこそ木々の間から光が差し込みすっきりとした印象ですが、かつては針葉樹がうっそうと茂り、薄暗くて誰も入れないような林でした。

間伐(森林の木をある程度切ってまばらな状態にすること)の作業は重機などで一度に行えるものでなく、人の手を使った地道な作業の積み重ね。どの木をどう切るか、職人が見極めながら丁寧に行っていきます。

切りたい方向にチェーンソーで切り込みを入れて

チェーンソーで切り込みを入れ、クサビを打って切り倒す。すごい迫力!

1本1本このように切り倒すことで、うっそうとした林にも徐々に光が入っていきます。光が入れば木が逞しく育ち、土も栄養を蓄えることができ、やがて栄養豊富な水が海へと還元されるのです。

切り倒した木は大きさごとに選別し、建築用の資材として使われます。細かく切り刻んでチップにしバイオマス発電の燃料になるほか、家具などの木材加工品として使われます。

気になる間伐の費用について

放置している人工林が環境問題のリスクをはらむのはわかったけど、間伐するにはお金がかかるし…と、整備に二の足を踏む山主さんも多いことでしょう。足立さんに、気になる費用についても伺いました。

「間伐には基本的に費用が必要です。でも補助金をうまく活用しながら、間伐した丸太も販売していけば、山主さんには逆にプラスの利益として還元できることも。私たちは、山を持っているということを負担に感じていただきたくないと考えています。今眠っている山を手入れすれば、自然の資源になる。ぜひ前向きに考えていただきたいです」(足立さん)。

山主さんはもちろん、林業従事者の皆さんの負担にもならないよう、お金の流れの仕組みを作り上げる。長期的な目線で考え、しっかりとシステム作りがなされていることがうかがえます。

山をもっと活用するために

森林整備だけでなく、今後は整備した山をもっと活用するための活動に取り組んでいきたいと足立さんは話します。

例えばキャンプ場の設置。健全な森林には光がたっぷりと差し込み、森林浴やトレッキング、キャンプなどにも最適です。

また間伐した丸太でログハウスを建てるのも楽しそうです。森のわにはグループ会社の「木栄」で丸太の製材ができ、「栄建」でログハウスの設計・建設が可能。グループ連携で行えるのでコストも抑えられます。

さらに、果樹園などにも活用可能。太陽をたっぷり浴びた甘くておいしい自家製フルーツも叶えられそうです。

森のわの皆さん

山の保全は、地域住民の安全はもちろん沿岸部の環境保全にもつながります。丹波市や近隣の市や町の自然環境をより良いものにするためにも、ぜひ協力していきたいですね。

 

<注意事項>

  • 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、マスク着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンス等に配慮しています。ご協力をお願いいたします。
  • 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。