「おそうじ本舗 氷上店」代表の岡本健太郎さんは、掃除のプロとして、丹波市から北西地域を対象に活動しています。丹波で育った岡本さんが、「人を助ける、人の役に立つ仕事をやりたい」と一念発起し、2023年（令和5）1月に独立開業しました。現在24歳、業界の中でもこの若さで独立するのはめずらしいそうですが、若さを生かして小回りをきかせ、気配りをし、日々エネルギッシュに動き回っています。
「困っている人を助けたい」という思いから始まった
以前から、地域のお年寄りが、これまで自分でやってきたことができなくなって、不便を感じている……、そんな状況が気になっていた岡本さん。勤め人だった頃に、自分に何ができるだろうかと考え始めたそうです。高いところに手が届かない、重いものが持てない、そんなふうに困っている人を助けられる仕事をと考えた末、「掃除ならきっと喜んでもらえる」、そんな思いが始まりでした。
そして、「おそうじ本舗」と出会い、研修を受けます。その時、一番心に響いたことは、「プラスワンのサービス」ということでした。オーダーを受けた部分の清掃だけでなく、例えばそのまわりにほこりが付いていたらそっと拭く、普段の生活目線で見えないところの汚れに気付いたら報告する、など。
「お客さんに喜んでもらえること」を自ら進んでやろうと奨励されたことが、自分自身がやりたかったことと一致したのです。研修では、掃除の技術に加えて接客や営業など、独り立ちに必要なことをひととおり習います。研修を終えたら、さらに先輩について現場経験を積みました。そして大好きな地元で念願の独立を果たします。
秋はエアコンクリーニングに絶好の時期
開業して初めての夏は、エアコンクリーニングに忙殺されました。今年の夏は特に暑かったせいもあり、どこでもエアコンはフル稼働です。ほこりっぽかったり、匂いが気になったり、長年掃除をしていないことが気になったり、お盆で親戚が集まる前にきれいにしておきたいなど、たしかに、オーダーする人の気持ちはよくわかります。
「普段からエアコンの掃除をしているから大丈夫」という人もいますが、ほとんどがフィルターの掃除を意味しています。しかし、岡本さんたち専門家がきれいにするのは、もっと奥にある、普通の掃除では手が届かない部分です。
エアコンは、あたたかい空気を取り込んで、冷たい空気として循環させるため、温度差で結露が発生します。そこにほこりなどの汚れが付くとカビが発生します。アレルギーのある人はもちろんですが、元気な人でも気になりますね。実際に薬剤を使って洗い流すと洗浄水が真っ黒になって驚く人も多いようです。
汚れの度合いは使用頻度によるのですが、ペットのために２４時間つけっぱなしにしている場合だと、細かい毛も吸い込んでいるので、毎年クリーニングしたほうがよさそうです。洗浄して目詰まりがとれると空気の通りがよくなり、熱効率も多少違ってくるはず。「夏にフル稼働したエアコンは、冷房が必要なくなった秋にクリーニングして、機械の上部からほこりが入らないように何かカバーをかけておくといいですよ」と岡本さん。
細部までの掃除はプロに任せて安心
エアコンの次に多いのは、キッチンや浴室などの水回りです。キッチンの換気扇やレンジフードは、普段から掃除をしている人が多いと思いますが、中のファンの汚れまでというと素人には難しいもの。「レンジフードから油がたれてきたら要注意」と岡本さん、ファンを分解して洗浄してもらうとびっくりするくらいピカピカになります。
浴室も湿気が多い分カビに悩まされますね。丹波市は特に水道のカルキが強いので水垢がつきやすいそうです。皮脂や石鹸カスは一般的な洗剤（アルカリ性）で落ちますが、水垢は酸素系、カビになると塩素系を使わないと落ちません。落ちにくい汚れと格闘するのも大変ですから、プロに頼んでしまうのもアリですね。
ルミテスターという計器を使って、汚れている状態と洗浄後のきれいになった状態を数値で比べるため一目瞭然です。３桁の汚れが１桁に改善されるそうです。またお掃除レスコーティングという方法もあり、特殊な薬剤でコーティングすることで、風呂上がりに水で流すだけで湯垢などがきれいに流れ落ちるというもの。半年ごとに剥がして塗り直せば普段のお手入れが格段にラクになるそうです。
洗濯機、窓ガラスなど、他にも掃除のメニューはたくさんあります。最近は共働きの家庭も増え、掃除する時間がとれなかったり、家事を極力省いて家族団らんに時間を使いたいという人も増えています。細部までの本格的な掃除はプロに任せて、時間を有効に使う時代になってきたのかもしれません。
法人へのサービスも需要大
おそうじ本舗には、個人宅だけでなく店舗、医院、企業に対しても、それぞれの業態に沿ったメニューがあります。ショールームの窓拭き、床のワックスかけ、床の剥離洗浄など、定期的な清掃でスタッフの負担を軽減したり、来訪者に快適に過ごしてもらえたり、掃除の外部発注は合理的かもしれません。
現在は、岡本さんを中心に地元の同級生がサポートしています。「なんでも気軽に相談してください」と笑顔の岡本さんは、できることはなるべく対応したいと、草刈りや枝の剪定を請け負うことも。「以前、なんでも屋さんに憧れたこともあるので（笑）」と、若さをパワーにフットワーク軽く、丹波の家や事業所をキレイにしてまわっています。
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