こだわりの配合飼料や育て方で、安心安全かつおいしい牛肉を提供する

神戸髙見牛牧場直売所 安食の郷

飼料にこだわり、データでもおいしさを証明している牛肉、兵庫県産黒毛和種。市島町でその肉牛の繁殖から肥育までを行うのが神戸髙見牛牧場です。直営の「安食の郷(あんしょくのさと)」では、精肉や加工品などを購入することができる直売所と、定食が食べられる食堂を併設しています。牧場直営なので新鮮かつリーズナブル。そして何より、おいしさにこだわって育てているため、味にほれ込んだ人が県外からも買いに訪れます。

データが裏付ける、旨味や栄養成分が豊富な肉質

神戸髙見牛牧場では、純血の但馬牛のほか、但馬牛と県外の黒毛和牛を掛け合わせたハイブリット牛なども含めて「神戸髙見牛」というブランドで販売しています。
こだわりは随所にありますが、まず飼料。「人間でも食べられるものの副産物ばかりを飼料にしています」と、同社取締役の髙見純さんは話します。独自配合の飼料のおかげで、うまみ成分であるグルタミン酸が一般的な牛肉よりも十数倍多く含まれ、オレイン酸値も非常に髙いそうです。

オレイン酸とは、オリーブオイルの主成分でもある不飽和脂肪酸ですが、牛肉や豚肉にも含まれていて、含有量が多いほど肉に甘味があり、口当たりも柔らかくなります。
「おいしい肉を作ることにこだわってきました。4年ほどかけて配合飼料に研究を重ね、10年ほど前に完成。全国で初めて、肉のおいしさを数値化しました。多くの牛肉に含まれるオレイン酸値は50%台が多いなか、うちの肉は平均63.8%あります」と、髙見さん。
飼料配合は研究を続けており、新しい配合を近々試験センターに出してまた数値を取る予定なのだとか。オレイン酸値を更新する可能性もありそうなので、どういう結果になるのか、楽しみです。

なお、最近は赤身肉が人気ですが、オレイン酸が多いため霜降り肉(ロース)などもよく出るそうです。くちどけが良く、旨み成分が高いので何枚でも食べられるほどだそう。適度な霜降りのあるイチボや柔らかくて脂身の少ないランプも、モモの赤身肉で希少部位。同店では自家製ローストビーフに使用するので、精肉の陳列には並びません。イチボやランプの生肉を手に入れたい場合は、事前に電話予約が必須です。

いただく命だからこそ、愛情を持って大切に育てる

もちろん、育て方にもこだわっています。神戸髙見牛牧場では、200頭弱の繁殖牛を有し、毎年130~160頭ほど生まれます。牛の負担を避けるため、次のお産までには1年半ほど期間を置くのだとか。また、お産はできる限り自然分娩なので、何かあったらスタッフが早朝深夜でもすぐに駆け付けます。

「私たちは牛の命をいただいているわけですから、生きている間その命は大切にしたい。“大切に育てる”と言葉でいうのは簡単ですが、実際は本当に大変。牛は基本的に怖がりだし、弱い生きもの。一頭一頭の特徴やエサの食べ方を見極め、ちょっとした体調の変化も見逃さないように気を配っています」と、髙見さんは牛に愛情を持って、牛にストレスを与えないように育てていると話します。

髙見牛牧場では32カ月くらいまで肥育してから出荷します。「長期間育てるとエサ代がかかるからと、26カ月や28カ月ほどで出荷するところが多いですが、うちはおいしさにこだわりたいので、3年弱まで肥育します」。長く肥育する分、こだわりの飼料をたくさん食べられるので、一層おいしい肉牛に育つのですね。そういった様々な努力の結果、和牛品評会では内閣総理大臣賞をはじめ、数々の賞を受賞しています。

おいしい神戸髙見牛を丹波から日本各地へ、そして世界へ。

直営のレストラン「グルメリア但馬」なども運営していますが、地元の人が普段着で気軽に訪れて、おいしいお肉を楽しんでもらいたいと8年ほど前に食堂をオープン。直売所ならではのリーズナブルな価格の定食メニューを揃えています。

メニューは豊富で、「髙見牛カレー」660円(税込)、「焼肉定食」935円(税込)、「ステーキ重」2,750円(税込)など。もちろん、牛肉は自家牧場の黒毛和牛のみを使用。「トンカツ定食」などの豚肉は、京丹波の豚を一頭買いしたもの。「私自身が獣臭などのニオイがする肉が嫌いなんです。ここの豚肉はそういったものは一切ない。生産者が分かっているものしか使わないので、味にブレがありません」と、自信をのぞかせます。

それぞれのメニューには持ち帰り用弁当もあるので、個数が必要な場合は、事前に電話予約を。

精肉やお弁当のほか、コロッケやミンチカツなどの加工食品も人気。精肉の隣にある冷凍コーナーを忘れずチェックしよう。珍しいのは生食用ユッケ。衛生基準を満たしているという許可が必要なため、扱う店はそう多くありませんが、髙見牛牧場は衛生基準にのっとった自社内の加工センターで製造しています。数量限定なので、見つけたら幸運かも!

現在、市内に3カ所ある牧場では1,100頭ほどの子牛を生産・育成・肥育し、年間400頭くらいを出荷していますが、そのほとんどが京都にある自社の小売店や「グルメリア但馬」を含めた自社のレストランで使われています。「飲食店さんからお取引のご依頼も多いのですが、本当に限られたところだけにしか回せないのが実情です」。今後は販売先を増やしたり、小売店や飲食店などの店舗展開、海外輸出も視野に入れ、肥育頭数を増やしていく予定なのだとか。

丹波が誇るこだわりの神戸髙見牛を、もっと多くの人に知ってもらえる機会が増えそうです。

 

<注意事項>

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