まざりものなし!市島産、天然蜂蜜のおいしさを多くの人に届けたい

ひょうご丹波五大山養蜂

市島町の白毫寺(びゃくごうじ)は5月頃に咲く九尺藤が有名で、多くの人が訪れます。この白毫寺のすぐ近くにできた『ひょうご丹波五大山養蜂』を訪ねました。ここは、6年ほど前から趣味で養蜂を始め、失敗と成功を繰り返しながら、こだわりの蜂蜜を採取し、商品化した荻野賢志さんの店です。多趣味で凝り性、やりだしたら徹底的に取り組む性分だという荻野さんが、ミツバチという生き物を相手にどんなふうに養蜂をカタチにしたのでしょうか。

自然相手の養蜂の厳しさに直面

もともと自分でモノを作り出すのが好きだった荻野さんが、市島の土地に根ざし、この地を活用できることはないかと考えていた時に思いついたのが養蜂だったそうです。書籍やネットで調べたり人に聞いたりして、準備を進めてミツバチを飼いました。飼ったのは、ニホンミツバチに比べて強いセイヨウミツバチですが、それでも寒さに弱かったり、ダニやスズメバチの被害にあったり、1年めはトラブルの連続だったそうです。

巣箱の環境を整えたり薬を用いたりして、順調に蜂蜜が集まって喜んだ2年目、なんとクマが巣箱を襲って蜂蜜を食べ尽くしてしまいました。ミツバチも全滅です。この地域は、クマが里まで降りてくることはそうそうなかったのに、おいしそうな匂いに釣られたのでしょうか。

ずいぶん気落ちしたそうですが、気を取り直して3年目に再チャレンジ、いろいろ工夫したかいがあって蜂の成長も順調で、蜜もたくさん集まるようになりました。ところが、なんと2023年の秋、良質の蜂蜜はとれたものの、酷暑の影響なのか蜂が全滅。またまた大きなショックを受けました。生き物と自然相手の養蜂の難しさを痛感しながらも、よりおいしい蜂蜜をとるために来春から気持ちも新たに挑戦するつもりで準備を進めています。

次のシーズンの蜜量を増やすために休耕田の草を刈り、耕して、蓮華の種子をまくこともしました。可憐な蓮華が一面に咲く中を、ミツバチが飛び回って蜜を集めてくれる様子が今から目に浮かびます。

まざりもの無しの100%天然蜂蜜

専用の冷蔵庫に保管してあった巣枠を見せてもらうと、ハチが集めた蜜が詰まって、ずっしりと重くなっています。採蜜はミツバチにストレスを与えないように丁寧な作業を徹底しています。荻野さんは、ミツバチが採ってきたばかりの蜂蜜を搾るのではなく、ミツバチ自身が乾燥熟成させて蜜蓋をした、糖度が乗った蜂蜜だけを選んで採蜜します。そのため、濃厚ながら後味はスッキリした蜂蜜が完成するのです。

加熱したり、糖や添加物を加えたりすると、酵素や栄養が少なくなったり、味に癖が出たりするので、「非加熱・非混合・無添加」にこだわっています。また、とった蜂蜜を一般的なスチール缶に保存すると容器の匂いが移ったり、品質劣化などの恐れがあるため、ガラス瓶に小分けして冷暗所に保管しています。手間はかかりますが、とれたての味をキープするためには重要だと考えています。

ミツバチは女王蜂を中心に家族を作ります。荻野さんは8家族ほどを育てますが、家族によって性質が違うそうです。凶暴ですぐに攻撃をしてくるグループは、活動的で蜂蜜の量が多く、おとなしいグループはそれほどでもない、とか。そんなふうに性質がわかってくると、かわいく感じられることでしょう。

専用の防護服を着ていてもハチに刺されることはあります。最初は腫れ上がったそうですが、今は抗体ができているのかなんともないとのこと。プロの養蜂家としての体質になったということでしょうか。

かわいいボトルでプレゼントにも喜ばれる

苦労は多いですが、良質の蜂蜜が集まっています。荻野さんの蜂蜜は、市島の豊かな自然の中に咲く花々の百花蜜。4月頃から、サクラ、レンゲ、ソヨゴと時季によって、少しずつ蜜の味と香りが変わります。でも、基本的に販売するのは、春にとれる蜜のみ。秋はセイタカアワダチソウの蜜が中心になるので、人間が食べるにはあまりおいしくなくて、もっぱらミツバチ自身の冬越し用です。

荻野さんの蜂蜜は、サイズによって形が違う小瓶に、それぞれカラフルなキャップを被せています。見た目におしゃれなのはプレゼントやお土産に喜ばれますね。
「ストレートにこの蜂蜜の味を楽しんでほしい」から、おすすめの食べ方はヨーグルトやパンにかけること。シナモンとも相性がいいので、フレンチトーストに合わせてもおいしそうです。

オリジナルブランド「ひょうご丹波五大山養蜂」の蜂蜜は、市島町の「キャンプリゾート 森のひととき」、春日町の「道の駅 丹波おばあちゃんの里」、青垣町の「FORESTDOOR旧神楽小学校」などでも販売中。直営店でも買えますが、不在のことも多いので、事前に問い合わせをするのがベストです。

効率はまったく考えずに、蜂蜜のクオリティだけを考えている荻野さん。「おいしい蜂蜜を食べてほしい、蜂蜜を楽しんでほしい」と一人で生産管理から瓶詰め、発送作業に至るまでを行っています。「心を込めたいですから」と、愛情いっぱいの蜂蜜を手にする荻野さん。ショップではBOSEのスピーカーから80年代のディスコサウンドなどが流れ、蜂蜜以外にも幅広い趣味がうかがえるものがちらほら・・・いろいろ話を聞きたくなるようなお店です。

 

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