発達に特性があるこどもと家族に寄り添って

こども発達支援 Co-Co テラス

JR福知山線柏原駅から車で西へ2分ほど。田畑に囲まれた静かな環境の中に、元気をもらえそうなビタミンカラーの建物があります。2023年(令和5)4月に開所した「こども発達支援 Co-Co テラス」(以下、Co-Coテラス)です。こちらは、児童発達支援サービスと放課後等デイサービス、保育所等訪問支援を行う多機能型障がい児通所支援施設。間もなく開所1年を迎えようとしているCo-Coテラス管理者の山口洋子さんにお話しを伺いました。

自分のことが好きになるように

放課後等デイサービスの準備を行うスタッフさんたち

発達に特性があるこどもたちがどのくらいいるかご存じでしょうか?少し前までは、1クラスに4~6%の割合といわれていましたが、研究が進んだ現在では、2022年度の文科省調査で8.8%の割合だといわれています。1クラス35人で学習している教室では、3人ほどのこどもたちが、学校や行動に困難がある状態で過ごしているそうです。
「友達とうまくコミュニケーションが取れない」「一人で留守番をさせるのは心配」など、家族の心配は計り知れませんが、一番辛い思いをしているのはこども自身ではないでしょうか。

「ポップンボール」で体幹トレーニング!

会話はスムーズにできるのに文字になると分からなくなったり、ともだちとうまくコミュニケーションが取れなかったり、「どうせボク(ワタシ)なんか…」と思うこどもたちに寄り添って、一人でも「自分のことが好き」になる自尊感情・自己肯定を持てるような発達を促す療育を行っているのがCo-Coテラスです。

Co-Coテラスでできること

ゲーム感覚で視野を広げるトレーニング

Co-Coテラスでは、こどもたちが楽しみながら、自分自身に本来備わった力を引き出せるようさまざまなプログラムが用意されています。

学習の土台をつくる認知機能に働きかけるトレーニングの「学習プログラム」は、スモールステップでこども一人ひとりに応じた支援を行います。追視機能をトレーニングする、スープリゥームビジョンは、子どもたちが大好きなトレーニングだそうです。

スタッフさんによる、こどもとのやりとりを再現

器具や道具を使って自発的に楽しみながら行う「運動プログラム」では、協調運動や感覚統合運動により、目・脳・身体をつなぎます。

予定表もわかりやすい工夫があちらこちらに

「生活自立プログラム」は、こどもの自立につながるスキルが得られるようライフスキルトレーニングを実践します。
季節の行事や他のこどもたちと関わって行う「社会参加プログラム」では、社会性を無理なく楽しみながら身につけられるよう支援します。

多機能型福祉サービスって?

スタッフさん手作りのガチャの中身は何かな?ダイヤルを回すのもドキドキ・ワクワク!

未就学児(0~5歳まで)が対象の「児童発達支援」では、発達に遅れや課題のある在宅児やこども園在籍のこどもに発達を促す療育を行います。
座っていられない、伝えられたとおりに行動できない、場所見知りがある、ことばが出ないなど、さまざまな発達に凸凹のあるこどもが療育をうけています。

周囲の気配を感じながらも、仕切りがあるので集中して学習ができます

「放課後等デイサービス」は、小学校1年生から中高生(18歳)までを対象とした福祉サービスです。放課後や夏休みなどの学休日に、発達特性や障がいのあるこどもが利用できます。スモールステップの学習や、認知トレーニング、集団プログラムで、スキルを向上させ、「できた」を体感することで、自己肯定感や自尊感情を高め、将来的な自立に向かう土台作りをします。
「保育所等訪問指導」は、こどもが集団生活をしている学校や、こども園を訪問し、こどもへの直接支援や、担当者に専門的な支援を行います。

こどもにとって家庭と学校以外の第三の居場所となるCo-Coテラスは、家族にとっても心強い味方です。スタッフさんに相談ができるだけでなく、家族に代わって一時的なケアを受けることにより、心も身体も和らぐのです。

一人でも多くのこどもたちを支援

2023年(令和5)9月に開所した「こども発達支援Co-Coテラス+」の訓練室

10メートルのボルダリング

手厚い支援を行っているCo-Coテラス。開所後ほどなく定員に達しますが、「放課後等デイサービス」を必要とするこどもたちは、ほかにもたくさんいます。要望する声を受け、「こども発達支援Co-Coテラス+(プラス)」の開所へ。

■こども発達支援Co-Coテラス+
・住所:丹波柏原町柏原46
・電話:090-3660-7715
・HP:https://www.co-co-terrace.link/school2

 

マットの使い方を説明する山口さん(左)

児童発達支援のサーキットコース

「こどもたちと関わるのが大好きなんです」と、話す山口さんは、約40年もの間、小学校、中学校で教員、管理職の経験があり、時には厳しく、時にはやさしく、こどもたちと関わってきたスペシャリスト。その後は、美術館館長などを経て認定こども園の園長として携わった後、Co-Coテラスの立ち上げへ。開所してからは、昨日までできなかったことが、できるようになるという“目の前でこどもたちが変わる”瞬間に日々、立ち会っています。

左)Co-Coテラスのスタッフさん、右)Co-Coテラス+のスタッフさん

山口さんをはじめとするスタッフさんたちは、「こどもが大好き」なだけではなく、教員免許や保育士、精神保健福祉士、キャリアカウンセラーなどの資格を持ち、教育・保育現場はもちろんのこと、児童発達支援センターや、訓練校などで実績を積んだスペシャリスト集団です。子どもの将来に不安を感じる家族からは、就学に向けての相談や、進路相談を受けることも多いそう。
山口さんは「Co-Coテラスのような場所は“ねばならない”ところではありません。こどもにあった場所をみつけてください。」と、他の施設も複数見学・相談することをご家族に伝えているそうです。

こどもファーストの考え方を伺い、スタッフさんたちの笑顔に見送られながら、晴れやかな気分で、Co-Coテラスを後にしました。

 

<注意事項>

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