カードケースなどを製造販売。インターネット注文が全国から

マービテック株式会社

ビニール製品などを製造販売するマービテックが現在主力としているのは、国際会議や学会、各種イベント、会社などで使用する名札ケースや全国の薬局で使用されるお薬手帳カバーなど。顧客は北海道から沖縄まで、全国に広がり、その多くがインターネットからの問い合わせや注文だとか。創業以来、顧客満足度の高い商品を届け続けています。

“ありそうでない”に応え続けていたら商品数が増えた

名札ケースは、規格品だけでも30種類ほどあり、大きさ、形、用途はさまざま。特筆すべき点は、その品質です。型崩れせず高級感があって、印字も読みやすい素材を使用しています。ストラップも多数品揃えし、平紐や丸紐など紐の形状も、カラーバリエーションも豊富。紐への印字も可能です。

販売開始当初は名刺サイズなど一般的なものだけでしたが、はがきサイズやカードが上下に二段入るタイプなど、「ありそうでない規格をご注文いただくことが増えていって、だんだんと取り扱うサイズが増えていきました」と、専務取締役の前川祐司さんは話します。

全国の調剤薬局700社ほどと契約実績のある、お薬手帳カバーも大きさやポケットの数、材質もさまざま。素材フィルムの品質にもこだわり、表面が傷つきにくくリサイクルに適した省エネタイプ。どの商品も国産品のフィルム素材を使い、国内製造で安心です。

透明タイプだけではなく、カラーも用意。こちらは受注生産で、カラーは色見本から選ぶことができます。顧客の希望に応じて、印字も自社で手掛けています。周年記念品など、さらに高級感を出したいときに注文されることが多いのだとか。

そのほか、大きさが少しイレギュラーな糖尿病連携手帳にぴったりのカバーにも応じます。あるようでなかった仕様で、重宝がられているようです。

最新商品は、素材フィルムに抗菌剤を練り込んでいる抗菌タイプです。カードケースやお薬手帳カバーのほか、4色のパステルカラーが目を引くマスクケースが人気急上昇中。二つ折りや子ども用のマスクにちょうどよいスモールサイズもあります。チャックの左右部分の角が丸くなった特殊加工で、ひっかかりにくくなっているのも特徴です。

顧客に寄り添った提案で受注販売も好調

名札ケースなどの規格サイズ以外にも、顧客の希望に合わせて特注品の製造販売も行っています。このような特別仕様のファイル製作も可能。代表取締役・前川謙一郎社長は、「何度も電話で担当者さまのリクエストをうかがって試作品をつくり、細かいやりとりを繰り返して完成させました。好評だったようで、その後、支社の方からも別のオーダーが入り、お取り引きさせていただきました」と、当時の様子を教えてくれました。

なお、受注生産の場合は、ミニマムの適正ロットは500程度とのこと。

こちらは、某有名スクールの生徒が生徒証を入れるのに使うクリアケース。スクール指定かばんのポケットにきっちり収まるサイズをオーダーされ製造。「もう10数年のお取り引きになります。通う子どもさんたちが怪我をしないように、角を丸くすることをご提案し、ご満足いただけました」と話すのは、専務取締役である前川祐司さん。

丹波だからこそのワンストップ

マービテック株式会社は、ビニール製品の加工業として1965年(昭和40)に創業。釣り具製造業者の多い地域だったため、釣り竿の包装袋などのビニール製造・販売からスタート。やがて、文具類も含めたさまざまなビニール製品を手掛けていきました。

1998年(平成10)頃、社会の環境汚染問題への意識が高まり、「脱塩ビ」「脱ダイオキシン」が叫ばれるようになり、同社も新素材「ポリオレフィンフィルム」の製造・販売を開始することに。非塩素系で柔軟剤を使わないので焼却時も有害物質を発生しないのだそう。「この素材開発は、わが社にとってひとつの変革でした。エコな素材というだけではなく、持ちがいいんです」と前川社長。名刺ケースなどを長期間保管していると、形がよれたりしがちですが、ポリオレフィンフィルムを使ったものは型崩れしにくく、在庫期間をより長く保つことができるようになりました。

10人強のスタッフが商品ごとに機械を使いながら、人の手で一つひとつ加工していきます。「簡単なように見えて、やってみると意外と難しいんです。うちのスタッフはみんな長年勤めてくれているベテランばかり。作業スピードがとてもはやくて、ぼくはとても真似できないほど」と、前川専務は笑います。

材料仕入れから製造、納品まで一貫して丹波の自社工場で担っています。裁断も印字も、自社で設備を持っているのでワンストップで対応できます。短納期につながるだけではなく、品質の安定にもつながっているようです。

これもひとえに、丹波だからこそできたことかもしれないと前川社長は言います。「都心にある同業社だと、スペースの都合上機械を設置できなくて、例えば裁断や印字は外注に出さざるを得ないこともあるでしょう。丹波は場所に余裕があるので、在庫スペースの確保も容易です。そうなると、新規の規格製造もできたり、お客さまの都合に合わせた出荷が可能です。出来上がった商品は、倉庫内に空調を入れて適温をキープし、在庫期間に製品の質が落ちないように保管しています」。

安価なものに満足できず、同社のホームページを見て問い合わせ、注文するお客さんも多いそうです。「やはりうちは品質で勝負したい。製品に質の良さを求めているお客様のご期待に今後も応えていきたいと思っています」と、親子二人三脚で、顧客満足度を第一に考えた商売を進めています。

なお、これまでは企業間の取り引きが多かったそうですが、今後は一般消費者への販路も検討中とのこと。さらなる挑戦をはじめています。

 

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