映像制作に関わって18年のキャリアを持つ上郡法之さんは、西脇市をベースに関西地域全般、さらには東京でも活動する映像クリエイターです。2023年(令和5)に独立し、「株式会社JASPER CREATION」として法人化しました。事業を起こした目的は、「地域や社会への貢献」で、そのための手段が映像制作だということで、熱い思いを伺いました。
ブライダルをきっかけに映像の道へ
上郡さんが映像に関わるようになったきっかけは、自身の結婚披露宴でした。二人の生い立ちや出会いを映像にまとめて披露宴で上映したのです。編集ソフトを扱うのは初めてでしたが、写真を組み合わせてストーリーを作っていくのは楽しかったそうです。そして当日、上映されると会場は大盛りあがり、それを見た結婚式場から「他のお客さんの映像も作ってくれないか」と声がかかります。
驚きつつ「喜んでもらえるなら」と、メーカー勤務の合間に独学で映像制作を始めました。そのうちにもっと映像のことを勉強したいと思うようになり、ブライダル映像の会社に転職。先輩に教わりながら現場で経験を積み、腕を磨いていきました。
結婚式の撮影は一瞬一瞬が大切なシーンです。絶対に失敗は許されません。準備は綿密に行い、当日何があっても臨機応変に対応できるようにします。また、依頼主の要望を叶えるために、打ち合わせでしっかりヒアリングして、よりよいプランを提案。気配りと技術とセンスがいる仕事ですが、納品したあとの感謝の言葉はなによりの励みになり、ずっと年賀状をやりとりしているカップルもいるそうです。
その後、広告代理店に誘われて移籍し、ブライダルだけでなく、採用向け、会社案内、テレビCM、映画館のCM映像、デジタルサイネージなど、幅広い映像制作を手がけました。ブライダルとの違いは、クライアントのターゲットが明確にあること。そこに響くように、アプローチできるかがポイントになります。企画、撮影、編集すべてのディレクションを行ううちに、人との縁がつながっていきました。
経験を生かし「ものづくり系」に力を発揮
スマートホンでの動画撮影が一般的になって、多くの人にとって動画が身近になりました。その分クライアントの、どんな映像がほしいのか、何を伝えたいのかがはっきりしています。依頼は多岐にわたりますが、中でも多いのはBtoBの映像制作です。
メーカー勤めの経験から製造業に強く、建築関係、鉄鋼関係、造船関係の映像もお手のもの。イベント、リクルート、展示会などの目的によって、ストーリーを考え、字コンテでクライアントに提案、調整していきます。よくよく聞いてみると、溶接や自動車整備士の免許も持っているそう。現場の業務の流れを理解していたり、専門用語もわかっているため、びっくりされることもあるそうです。
また、最新の機械は、安全のためにセンサーが働いており、人が近づきすぎると自動的に機械が止まってしまいます。機械によっては復旧に時間がかかったり、製造ライン全般が止まるなど、時間とお金のロスが出てしまうこともあります。どの距離でセンサーが働くのか、そんなことも気にしつつカメラを回すため、現場の信頼も得ていきます。
撮影現場では、どの位置から撮れば、よりよく伝わるかを考え、GoPro(ゴープロ)やドローンなども活用。
最近多いのは、人材不足で採用に苦戦している事業所からの依頼です。事業所の様子や経営者の思い、先輩たちの仕事ぶりを実際に映像で見せることで、仕事についてイメージしやすいからです。採用イベント会場での上映の他に、自社のウエブサイトやSNSでも活用できます。
また、記録として周年イベントや、学校行事、スポーツ競技会の撮影も行っています。トライアスロンの記録撮影も得意分野で、九十九里、琵琶湖、加西などでも撮影を担当しているそうです。
クリエイティブな仕事を通して地域を盛り上げたい
上郡さんの一番の想いは「地域貢献」です。結婚して子どもが生まれて、目線が大きく変わり、紛争地域や貧困家庭で苦しい思いをする子どもを見るのがつらくなったのです。平和な社会のために寄付をする以外にも、もっと身近で自分ができることは何かと考えた時に、やはり映像に行き着きました。
映像の仕事を通して社会に地域に貢献したい。地方都市でもクリエイティブな仕事ができることを実践し、仲間を増やし、雇用を増やし、地域にお金を落としたいのだそうです。「まだ先は長いです」と言いつつ、2024年(令和6)3月14日、「11住み続けられるまちづくりを」で、「ひょうご産業SDGs」の認証を得ました。法人としての着実な一歩ですね。
会社のロゴは、社名である「JASPER 」のJであり、「Japan」のJ、それを笑顔を連想させるデザインにしました。これからも、いろんな人を笑顔にする映像を撮ってもらえそうですね。
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