そばの香りを最大限に生かす品種と製法の手打ちそば

丹波そば処 そばんち

のどかな田園風景が眼前に広がるそば処は、「丹波そば処 そばんち」。広い日本家屋でいただく、こだわりの手打ちそばを求めて、連日お客さんが絶えません。師匠から譲り受けた技にオリジナルのセンスや工夫を加味し、築き上げた蕎麦道を聞きました。

常識にとらわれないオリジナル製法

主役のそばは、三種類の粉を石臼で自家製粉しています。そば粉によって異なる“香り”をいかに引き出すかという点を追及していると、店主宮内秀勝さんは言います。「そばは、噛んだときに粗挽きの部分がふわっと香ります。それが醍醐味だと考えています」。十割そばに使う粉は福井県の丸岡在来種。小粒で青っぽい風味が引き立つ、香り高い玄蕎麦を仕入れています。

そば打ちは、職人仕事。師匠の技を見て学んだその後は、試行錯誤。そして、一番難しく、一番重要な水回しの工程で、宮内さんは独特な製法を編み出しました。「いかにダメージを与えずに麺にするかを考えています」。すべては、そばの香りをつぶさないために。

香り高いそばと花のような薬味の彩りに魅せられる

人気メニューのひとつ、「三色辛味大根蕎麦」(単品900円税込)には、三色の大根おろしが添えられています。どれも色を添加したのではなく、自然の色味、自家栽培している辛味大根です。緑色の辛味大根、紫色の辛味大根、そして後者にすだちをかけるとピンク色に。別名“あじさい蕎麦”とも。

手前)そばがき、右奥)そばアイス (各500円税込)

そば好きなら外せない「そばがき」は、ちょっと珍しい粗挽きタイプ。そばの香りが高く、穀物っぽい食感に、山の芋が入っているかのようなネバリがくせになります。

そばアイスは、炒ったそば粉とそばの実を使った自家製。香ばしさがまるでほうじ茶のよう。

みんながくつろげる、楽しめる空間や機会をもつくる

店の前には、家もビルもない視界の開けた、悠然とした田園風景が広がります。「あるようでない、この最高の風景が気に入っています」と宮内さん。お店に入る前、出てきた時、こののどかな景色に思わず足をとめてシャッターを切るお客さんも見かけました。

宮内さんは、「イチからつくれるものをやりたい」と、そばの道に入り、最近はそば栽培にも取り組んでいます。「お店で出せるほどの量ではないので、もっぱら観賞用ですね(笑)。いつか米も育てたいと思ってるんです」。

例年春におこなわれる、奥丹波のそば屋をめぐるイベント「奥丹波そば街道」の事務局をつとめたり、2階のギャラリーで奥丹波の作家作品を展示するなど、地域が盛り上がる機会もつくっています。

ペット同伴OKのテラス席があったり、子ども連れもOKなので、家族みんなで訪れ、ゆるりと過ごすことができる場所です。

 

<注意事項>

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