環境抜群の丹波へ移住して「盆栽」の魅力を発信

BONSAI LABO Tamba

近年、盆栽人気が高まり、若者や外国人にも愛好家が増えているようです。筆者も盆栽に興味があり、わくわくしながら丹波に移住した盆栽作家の宮里凜太郎さんを訪ねました。宮里さんは、妻のこずえさんと2022年2月に大阪から移住。盆栽に使う草木の生産と、商品の培養スペース「棚場」を整備して、2023年4月に「BONSAI LABO Tamba」をプレオープンしました。今後、アトリエ兼休憩スペースを整え、2023年内にグランドオープンする予定です。

近畿一円で移住先を探して丹波に決めた

商品の培養スペース「棚場」

大阪・松屋町で、2階建ての自宅の一部を盆栽の管理スペースとして使い、盆栽工房兼店舗にしていた宮里さん夫妻。15年前から、盆栽作家として活動をしていた凜太郎さんと、6~7年前から会社員をしながら、凜太郎さんのサポートをしていたこずえさんは、仕事環境と子育て環境を考え、移住場所を探し始めました。

築16年の離れをアトリエとして使用

農業倉庫は資材展示販売所として活用

東は滋賀県、西は兵庫県赤穂まで、くまなく回って、ご縁があったのが丹波市春日町でした。種をまいたり、挿し木をしたりして盆栽の素材を生産する場所、商品の培養スペース「棚場」、作品を作るアトリエ、さらに器や土など資材を展示販売スペースが確保でき、子どもをのびのびと育てることができると思ったのです。
「物件ありきで決めましたが、いいことしかないです」と笑うこずえさん。「三尾山を見て、ただただボッ~~とできる抜け感もいいですね」と話す凜太郎さん。夏でも朝晩涼しいし、暮らしやすい、広々としているので気持ちがゆったりしてスローライフを実践できる。宮里さん家族にとって絶好の場所を見つけたのです。

盆栽の魅力は「完成しない芸術」

盆栽作家の宮里凜太郎さん

盆栽作家として活動する凜太郎さんに「盆栽の魅力」を尋ねてみると、「完成しない芸術」という答えが返ってきました。手を加えて完成したと思っても、植物なので2カ月経つと格好が変わってきます。ずっと育ち続けていくからアーカイブできない、そんなところに惹かれるそうです。「100点が取れない。それが他と違う芸術品なんです」と凜太郎さん。市場で草木を仕入れし、植え替えてスタイリングして販売しています。

いろいろな種類の盆栽が並ぶ

イチョウ1,500円

ラボには、県下はもちろん、近畿一円の、初心者から上級者までいろいろなお客さんが訪れます。実は兵庫県は盆栽どころだそうですが、中国自動車道より北のエリアで専門店は数軒のみ。オブジェやインテリアとして飾りたい飲食店やギャラリーのオーナー、3~5割作ったものを素材として求め、自分のしつらえにしていく愛好家の方々など、団体で選びに来る人たちも多いとか。

価格帯も1,000円台から、何十万円台まで幅広く、目的によって選べるのもうれしいところ。
取材当日、買い付けに来ていた人は「自然のものなのに超人工的。自然の力と人の技術がいい感じに融合しているのが魅力です。アートの一種ですね」と話してくれました。

今後はワークショップなども展開したい

水やりをするこずえさん

ラボの運営を中心となって手がけるこずえさんですが、最も大事な仕事は「水やり」だそうです。夏は大体家にいて、1日2~3回、冬は2~3日に1回水やりをするそうです。雨が降ると、水やりがいらないので出かけることができますが、天気予報を見ながらなので、なかなか予定が立てられないとか。

生産事業もスタート

現在は、種をまいたり、挿し木をしたり、盆栽の素材となる草木の生産も開始しています。近い将来、ビニールハウスを建て、パレットで生産し、ビニールポットを素焼き鉢に移し、商品にしていく予定です。これらは10~20年という長いスパンが必要で、生産が安定するまでは、市場で生産者さんから買い付けをして作るものが中心となります。

こずえさんが講師となって、丹波市商工会主催の「わくわくコト体験」(9~11月)にも事業者として参加し、初心者向けの盆栽ワークショップを行います。

■わくわくコト体験ワークショップ
・日時:9月24日(日)、10月18日(水)、22日(日)、11月23日(木・祝)
・時間はいずれも10:00~12:00
・定員:各10人
・参加費:3,500円(材料費込み)
・申し込み:080-1461-5547

 

三尾山をバックにステキな笑顔のお二人

アトリエでも随時ワークショップを開催予定で、初心者にはこずえさん、中級者以上は凜太郎さんが講師を務めます。「初心者も上級者もウェルカムです。“かわいいな~”、“見るだけで楽しいな~”と来ていただくだけでもうれしいです。気軽に遊びに来てください」。澄んだ空気、広々とした緑豊かな風景、マイナスイオンがいっぱいの癒しの場所で素敵な盆栽を見ることができて筆者も大満足でした。

■ワークショップ
日時:随時(個別対応可)
参加費:
・初心者向け(90分)3,500円(材料費含む)
・中級者以上(1時間)5,500円(材料費別途、持ち込みも可)

 

<注意事項>

  • 掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更、消費税率変更に伴う金額の改定などが発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。